既存建築物、どう扱えばいいの?
一級建築士製図試験、平成17年度に出題された過去課題。
「防災学習のできるコミュニティ施設」
この課題は、敷地内にポツンと建つ既存建築物と新築部を一体化させて、新しい付加価値を生み出すというもの。



サプライズ



プルプル
縮尺1/1000の敷地をまえに、当時の受験生はかなり戸惑ったはず。
- 「お邪魔ですよ~」
- 「そこ、どいてくれません?」
- 「これって、どうやって組み込むの?」
エスキス初っ端から始まる肩身の狭いゾーニング。
既存建物を避け避けしながらL字型プランをやり遂げた夏の終わり。
「こんな課題、二度とお目にかかることはないだろう」と思っていました。



私の夏は終わり。





プルプルプル
ところが、令和8年度「ホテル」の課題発表日に悪夢が蘇る。
発表ページの留意事項に突然「既存建築物の現状保存」の文字が・・
まさか、21年ぶりに再登場するとは、私も思わず二度見しました。



出題者からの挑戦状だよ。
- 「もしかして、ネタ切れ?」
- 「これって、過去の掘り出し物ですか?」
- 「新しい課題を作るの面倒だから引っ張り出したとか?」
いいえ、どんなムチャ振りにも答えるのが、次世代の一級建築士に求められる対応力。
これを機に、受験生たちの「既存建築物の現状保存」に対する関心が高まると思い、私はペンを執ることに決めました。
この記事では一級建築士製図試験の視点から、既存建築物のつなぎ方と、そこに関わるL型ゾーニングの4パタンを徹底解説していきます。




「一級建築士」


「既存建築物」


「L型ゾーニング」
こんな人におすすめ!
- 既存部とのつなぎ方(ブリッジするか否か?)で迷っている人
- 既存建築物をジャマものではなく、エスキスの攻略要素に変えたい人
- L字型平面のエスキスが苦手で、プランニングに時間が掛かってしまう人
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- 「スパン割りどうなる?」
- 「サービス動線どうなる?」
- 「L字型ゾーニングどうなる?」
この記事では、エスキスに既存建物要素を絡めた徹底解説を繰り広げます。



既存に新築がガッチャンコ!
既存建築物との接続とL字型ゾーニングを理解すれば、エスキスの攻略要素の全てがわかります。
一級建築士製図試験における既存建築物の扱いについて


既存建築物の現状保存の背景
インバウンド需要や既存ストックの活用など、語ることは山ほどあります。
しかし、ここでは思い切ってバサッと割愛させてもらいます。
なぜなら、記事の後半では、もっと実践的で大事な攻略ポイントが詰まっているからです!



よし、建築の歴史を語るぞ!



一人でやって下さい。
受験生に堅苦しい話は後回し
まずは、手を動かすための実践編に集中しましょう。
この解説には、エスキス初心者には難しい「上級者向け」の内容が含まれます。
もし、途中で行き詰まった際は、埋め込み動画や関連記事をチェックして知識を備えて下さい。


既存部と新築部をどう繋ぐか?
既存建築物をまえに、受験生の皆さんが一番悩むポイントのひとつ。
「要するにブリッジを掛ければいいんでしょ?」と思いがちですが、それだけではありません。
新築部を既存に合わせて計画するうえで、大きく分けて2つの考え方があるので、先にお伝えしましょう。
物理的接続(ブリッジする直接的な接続)


既存建築物の現状保存とは?
既存建築物の現状保存とは、建物を壊さずにそのまま残し、歴史的価値の継承や資源の有効活用、または法規制や敷地条件への対応を図ること。
受験生の皆さんが大好きな、既存部と新築部をブリッジや渡り廊下で直接つなぐ方法。
「現状保存」という観点から、一般的な解釈では既存部に開口をブチ空けるような計画は非現実的です。
しかし、出題者側に「何としてもブリッジさせたい」という意向があれば、必ず課題文に直接的な注釈が入るでしょう。



既存にブリッジする派?
不安になりますよね?
この記事では、ブリッジ要求が出題された場合でも対応できるよう、技術的ポイントを押さえておきます。


- 既存側への介入を最小限にする
既存建物に必要以上に開口を作ったり、可動継ぎ手を付けることは避ける。
建物の過重負担や接続部分の補強や収まり処理は、すべて新築側で完結させる。 - 階高合わせとバリアフリーへの対応
接続する階では既存部の階高に合わせるのが原則となる。
階高を合わせられない場合、新築側の平面に緩やかなスロープを設けて段差を解消する。 - 構造分離とエキスパンションジョイント
地震時の不同沈下やねじれを防ぐため、物理的に繋ぎつつ、構造的には完全に分離する。
図面では接続部には必ずEXP.J(エキスパンション・ジョイント)を既存側に記載する。
空間的接続(ブリッジしない間接的な接続)
ここで解説するのは、「既存建築物の現状保存」を最優先としたブリッジ接続の代替え措置。
既存建物の現状を保ちながら、地上アプローチや景観、空間の一体感によって関係性や繋がりを創り出す手法です。


ブリッジすることが正義ではない!
- アプローチと屋外施設の計画
地上レベルで既存建物側からもアプローチできる動線を確保する。
既存部との外壁間にゆとりを確保し、そこにテラス等を設けることで相互関係が生まれる。 - 視覚的・空間的な”一体感”を創出
「一体感」や「連続性」といったキーワードに設計手法で応える。
既存建物に面して大きな窓やバルコニーを設けることで、空間的な一体感や連続性を表現する。 - ブリッジ接続による減点要素の回避
物理的接続に関わる法規・構造のチェックポイントを丸ごと回避する。
既存側との階高合わせ・高低差の調整に気を取られることなく、本来のエスキスに集中できる。
現状保存を最優先に配慮したプラン
アプローチや景観による「空間的接続」の引き出しを持っておくこと。
これによって、ブリッジ接続での「利便性」と「リスク」を天秤に掛けて検討できます。
曖昧なキーワードに過剰反応して、やみくもにブリッジに飛びつかないことが守備になるのです。



既存にブリッジしない派?
この記事では、不安解消のためのお守りとして「物理的接続」にフォーカスを当てて解説していきます。
その一方で「ブリッジで繋がない手法」も頭の片隅に置いておき、ブリッジの準備をしながらブリッジしない判断も合わせて持っておくとよいでしょう。


一級建築士製図試験「既存建築物」と接続、その落とし穴とは?


ブリッジ接続の落とし穴
既存建築物と新築部をブリッジで接続するときに、さまざまな注意点があります。
そのポイントを「計画」「法規」「構造」の3つのフェーズに分けて、コンパクトにまとめました。



チェックリストを作りました。
各見出しにある「チェックリスト」をエスキス脳に叩き込んでください。
この表を目に焼き付けながら、ブリッジ接続するときの注意点をしっかり押さえておきましょう。
既存建築物に関わる「計画」要素のまとめ
チェックリスト「計画」
□ 既存部の配置状況によるエスキスの難易度を理解したか?
□ 既存部へのサービス動線と利用者動線を分離する際、現状保存に配慮できるか?
□ 既存部の現状保存の配慮により接続を1ヶ所に限定する場合、双方の動線を確保できるか?
既存建築物の配置4パタン
その難易度をランク付け


A:既存建築物が新築部の形状に影響する
パタンA


(新築部が既存建築物を取り囲み、新築部はL字状に配置する)
計画の難易度:★★★★★
平成17年度「防災学習のできるコミュニティ施設」で出題されたパタン。
建物形状がL字状となるため、内部の使い方次第でプランニングの完成度が大きく変わる。
紹介する敷地条件のなかで最も難しいパタンのため、当記事ではこちらに焦点を当てて解説します。



このパタンを重点的にやります。
B:既存建築物が新築部の形状に影響しない
パタンB


(新築部が既存建築物が平行配置で、新築部の形状は矩形で計画可能である)
計画の難易度:★★☆☆☆
既存部を建物ファザードの一部として一体的に計画する。
近接しすぎると居室の採光に支障が出るため、一定以上の離隔距離が必要となります。
とはいえ、それ以外の要素については建物を整形状で計画できるため、特段の難しさは見当たりません。



街並み形成のシンボルだね。
C:隣の敷地の既存建築物とブリッジ等でつなぐ計画
パタンC


(既存部は新築部の付属施設)
(新築部と隣地既存部をブリッジ接続し、境界線を跨ぐ)
計画の難易度:★★★★☆
隣地側の建物位置や構造を確認しながら、計画を進める必要がある。
既存部と接続する場合は、ブリッジ接続部の階高や開口位置を見極めながら検討を進める。
このパタンは、敷地内のスペースを丸ごと計画しながら、既存部との調整も必要となるため難しいです。



これは法規のチェックが要るぞ!
D:同一敷地内の既存建築物とブリッジ等でつなぐ計画
パタンD


(既存部は新築部の付属施設)
(同一敷地内で新築部と既存部をブリッジ接続し、点線が敷地内境界を示唆する)
計画の難易度:★★★☆☆
敷地内にすでに既存建築物があり、残りのスペースは整形地として使える。
既存部と接続する場合、階高の調整などが必要となるが、敷地内の対象範囲は狭くなる。
敷地スペースを丸ごと使わないため、新築側の計画難易度は下がるのでは?
・・と思われますが、建物の寸法の取り方によっては内部がタイトな収まりになるでしょう。



部屋が入らない。収まらないぞ💦
既存建築物「現状保存」への配慮と、動線分離の扱いについて
サービス動線との動線分離




既存建築物を活かすうえで、ひとつ悩むのが「動線の交錯」
このような既存部を含む計画では、その部分をコンセプト空間として扱うケースが考えられます。
新築部が既存を取り囲むL字配置、ここに「サービス動線」と「利用者動線」をどう分けるか?
ポイントはシンプル
- サービス動線は新築のバックヤード側から既存部へ
- 利用者動線は正面やメイン動線から既存部へ横から入れる
- 【注意!】ブリッジする既存部への開口は最低2ヶ所必要となる



壁をブチ空けるぞ!



現状保存はどこいったの?
サービス動線との動線共有




既存建築物の「現状保存」を最優先にするとき、開口部をむやみに増やせません。
もし、接続部を1ヶ所に限定せざるを得ない場合、サービス動線と利用者動線をどう扱うか?
ここで「時間差共有」という考え方が、現状保存案と足して2で割るような計画として考えられます。



既存部の現状保存と
新築部の機能性どっち取る?
現状保存に配慮した計画
- 開口部は既存部の保存に配慮して1ヶ所だけ
- サービス動線は「準備」時間帯に限定して使う
- 利用者に向けては「開放」時間帯に切り替えて使う
これによって、既存部へのダメージを最小限に抑えつつ、動線計画との両立ができます。



現状保存と新たな付加価値、
これは難しいトレードオフだね。
朝の仕込みや清掃はサービス専用、営業中はゲスト専用。
利用する時間で役割を分けるだけで、動線の質がガラリと変わります。
既存部の開口を1つに抑えることで「保存の姿勢」を示し、図面には「開口は時間差共有」と書いておくだけで、採点者に意図が伝わりやすくなるでしょう。
ここで紹介したのは、あくまでも一案です。
本試験での解答は、必ず課題条件の注釈などを確認して対応して下さい。
既存建築物に関わる「法規」要素のまとめ
チェックリスト「法規」
□ ブリッジの水平投影面積を面積表に算入し、建蔽率をクリアできたか?
□ 既存部が新築部とは異なる用途の場合、異種用途区画(○特)を記入したか?
□ 延べ面積の合計が500㎡超えの場合、外壁間中心線からの延焼ラインを記入したか?
建築面積にブリッジを算入
建築面積への算入


ここで、絶対に忘れてはいけないのが「建築面積への算入」
新築と既存の間に架けたブリッジの部分(斜線部分)は、建築面積に加えなければなりません。
ポイントのまとめ
- ブリッジの水平投影面積は、令第2条により建築面積に算入される
- 同一敷地の場合、「新築」+「既存」+「ブリッジ」の合計で建蔽率を判定する
これを見落とすと、面積計算不整合もしくは建蔽率オーバーで一発アウト!
エスキスの始めで「ブリッジ幅×長さ」をプランニング最終地点にメモする習慣をつけて下さい。
既存部を活かすためのブリッジが、逆に面積不整合を誘発する落とし穴にならないようにしましょう。



面積表に先に書いておこう。
異種用途区画(〇特)の記載
異種用途区画


既存建築物を付属施設として使うとき、絶対に見落とせないのが「異種用途区画」
新築部と既存部が異なる用途になるケースでは、「特定防火設備」の丸特マークを忘れてはいけません。
(丸特マークは、新築部の開口部に記載する)
ここの詰めを甘く見ると、令第112条に基づく防火区画の記載漏れで即ランクダウンです。



〇特、必ず忘れずチェック!
外壁間中心線と延焼ラインの記載
延焼ライン


同一敷地内に2つの建物が存在する場合、延焼ラインが発生するのはご存知でしょうか?
延べ面積の合計が500㎡を超えると、建築基準法第二条第六号に基づき、外壁間の中心線からも延焼ラインが発生するので押さえておきましょう。
- 1階部分:外壁間の中心線から3mの範囲
- 2階以上:外壁間の中心線から5mの範囲
このライン内にある開口部には、防火設備の設置が必要になります。
隣地境界線や道路中心線からの延焼ラインと同じ扱いで、記載漏れは即減点対象です。



マジっすか?



めんどくさい



書き方を教えます。
外壁間中心線の書き方


まず、この外壁間の中心線を正確に書くことが第一歩です。
書き方の手順は以下のとおり
- 新築部と既存部の向かい合う外壁面を確認する
- 両外壁の最も近い部分の中間位置、開放面は斜め45度に線を引く
- この中心線から1階は3m、2階以上は5mの位置を延焼ラインとして記入する
・・詳細は次で解説します。
起点の取り方




- 新築と既存の向かい合う外壁で、最も近い角に印する
- 印した角から鉛直方向(または水平方向)に基準線を引き、外壁面との交点を取る
斜めライン出し




- 外壁面との交点から、45度の角度で開放面に向けて斜めの線を引く
- この45度ラインと外壁間中心線を組み合わせて、延焼のおそれのある中心線を決定する
外壁間中心線


延焼ライン




- 外壁間の中心線から左右それぞれ延焼ラインを引く
- 1階部分:中心線から左右それぞれ3mの位置にラインを引く
- 2階以上:中心線から左右それぞれ5mの位置にラインを引く
- 建物相互の開放部分では、先に出した45度ラインから延焼ラインを引く
このライン内に入る開口部には「防火設備」が必要になります。
同一敷地で延べ面積合計500㎡超えの場合には、必ず発生するので記載してください。



延焼ライン、多すぎるぞ!


既存建築物に関わる「構造」要素のまとめ
チェックリスト「構造」
□ 接続部にエキスパンション・ジョイントを既存側に記載したか?
□ 既存部との接続方針に応じて、外壁間のクリアランスを適切に確保できたか?
□ 既存部に階高を合わせるか、新築側にスロープや階段を設けてレベル差を解消できたか?
既存部のEXP.ジョイント
EXP.ジョイント


既存建築物と新築を近接または接続する場合、「構造的な分離」が必要不可欠。
図の位置にエキスパンション・ジョイントを設けることで、不同沈下や荷重の影響を防げます。
ポイントは以下のとおり
- 新築と既存の間の既存側にEXP.Jを記載する
- 接続部(ブリッジなど)の荷重は、新築側で全て負担する
- 片持ちスラブの跳ね出し長さを考慮し、離隔距離は2m程度を設ける
これで、既存部の現状を保持しつつ、新築部の構造計画を自由に進められます。
作図では一点鎖線や囲い線などで「EXP.J」を強調して示すとわかりやすいでしょう。



既存と新築をガッチャンコ
既存部とのクリアランスの考え方
建物を接続するときのイメージ


さきほど、既存部との離隔距離は2m程度と申しました。
それは、建物間を廊下でつなぐ、物理的接続(ブリッジ)をする場合の話です。
既存部とのクリアランスは、接続方針の考え方によって変わるもの。
空間的接続(ブリッジしない)の場合は既存部との一体感を出すため、新築側に開口部やバルコニーを設けることも考えられます。



クリアランスを解説します。
建物を接続しないときのイメージ


空間的接続(ブリッジしない)の場合は、2mでは足りません。
もし、採光が要求される居室を既存側に配置するときは、十分なクリアランスが必要。
エスキスの途中、「やっぱり開口部を向き合わせよう」となった際には配置計画の前提が変わります。
配置計画の初期段階で「ブリッジするかしないか?」を明確にし、それに応じた距離を確保してください。



バルコニーの出幅も見ないとね
既存部との階高合わせと高低差の処理
階高のレベル合わせ


既存建築物と新築を接続する場合、階高のレベル合わせが必要となるもの。
バリアフリーへの配慮や既存建築物の現状保存の観点から、そのシワ寄せは新築側に委ねられます。
そんなとき、もし、こんな条件が突き付けられるとどうなるでしょうか?



・・天井・・高さ・・指定・・?
「1階交流ホールの天井高さは 3.5m以上 とする」
理想は新築側の階高を既存部の床レベルに合わせたいところ。
しかし、この場合は大空間の天井高指定が最優先事項に変わってしまいます。


真っ先に考えるべきことは?
天井高さ指定のある部屋だけを二層吹き抜け(ダブルボリューム)として処理する。
これにより、既存との接続階の床レベルをそろえたまま、課題の天井高指定を満足できます。
しかし、1階2階の床面積のボリュームによって、要求室が入りきらない場合は話が変わってきます。



天井高指定にも階高が振り回される💦


その場合のポイントは次の通り
- 共用部の広い部分、又は長い部分を見つける
- 新築側に小階段やスロープを設けて床レベルを調整する
ここで、既存側とのレベル差の寸法によっては、断面的な検討を早めに行いましょう。
エスキス段階で「高低差を埋めるための階段やスロープの面積」を計算し、大空間上部の大きさと比べて、ほとんど変わらない場合は、大空間のみ吹抜け状にするほうが間違いなく賢明です。
・・いえ、そもそも「既存部との物理的接続が本当に必須なのか?」を疑っても良いかもしれません。
エスキス終盤になって収拾がつかなくなるまえに、一度立ち止まって「保存」と「活用」の観点から見直すべきでしょう。



既存と新築をつなげる難しさが
十分に伝わったでしょうか?


物理的接続と空間的接続のトレードオフを比較


ここで一旦、総まとめ
さきほど解説した、ブリッジする際の「計画」・「法規」・「構造」の3要素をまとめました。
それらの側面を受けて、「ブリッジする物理的接続」と「ブリッジしない空間的接続」との間には、明確なメリット・デメリットがあることが分かります。



接続の違いによるトレードオフ
既存とブリッジで接続するかしないかで、エスキスの難易度がどう変わるのか?
下記の比較表に一目整理しましたので、ブリッジ脳にしっかりと叩き込んでください。






スマートフォン等でご覧になる方は、本体をヨコ向きにすることで一覧表が見やすくなります。
物理的接続と空間的接続の比較
| 関わる要素 | 物理的接続(ブリッジ) | 空間的接続(屋外の一体感) |
|---|---|---|
| 【計画】 クリアランス | 2m程度で可能 (片持ちスラブ) | 十分な離隔が必要 (採光要求は特に) |
| 【計画】 建築可能な範囲 | 広くなる (離隔が少なくて済む) | 狭くなる (離隔を大きく取るため) |
| 【計画】 配置計画への影響 | 自由度が厳しくなる | クリアランスで調整可能 |
| 【法規】 法規の書き込み | ブリッジの建築面積 異種用途区画(〇特) 外壁間中心の延焼ライン | バルコニーを設ける際は、 1m超えの建築面積の算入 外壁間中心の延焼ライン |
| 【構造】 既存との階高調整 | 必要、EXP.Jの記載 (立体構成が厳しくなる) | 条件が無い限り不要 (高低差に影響されない) |
建物を接続するときのイメージ


建物を接続しないときのイメージ


新築を既存部と接続する場合、クリアランス寸法を短くできるため建築可能範囲が大きくなる。
新築を既存部と接続しない場合、クリアランス寸法に余裕が要るため建築可能範囲が小さくなる。
一級建築士製図試験「既存建築物」とL型ゾーニング4パタン(解説)


この動画を YouTube で視聴
ここから本領発揮!
先ほどまでの体系的な解説とは打って変わって、ガラッとフェーズが変わります。
ここから先は、実際のエスキスを見ながら、手を動かすための具体的な攻略に移りましょう。
頑張ってついて来てください
この解説には、エスキス初心者には難しい「上級者向け」の内容が含まれます。
もし、途中で行き詰まった際は、埋め込み動画や関連記事をチェックして知識を備えて下さい。



頑張ってついて来て下さい。
このパタンに焦点を当てる


(難易度:★★★★★)
この記事で徹底解説するのは?
既存建築物と「L字型平面」の新築部が共存するパタンAです。
エスキスの難しい要素が多く、その反面、攻略的要素も多く詰まっているからです。
それ以外のパタンB・C・Dのについては、基本型の延長線上で対応できるものばかりなので、ここでは解説を省略させていただきます。
「L字型平面」と「既存建築物」の鬼コンビを攻略すれば、エスキスは怖いものなし。
皆さんの大嫌いなL字型を取り扱い、ゾーニングの攻略要素を徹底的に掘り下げて解説していきましょう!



L字型にフォーカスを当てるよ。
交差点に面する2面接道


敷地は交差点に面した2面接道の敷地で、左下の塗りつぶし部分が既存建築物。
(既存建築物はRC造2階建て、X方向3スパン、Y方向2スパンとする)
この配置は道路からの視認性が高く、既存部をシンボルとして活かしやすい条件になります。
ゾーニング解説に使用するマス目は「3倍コマ」です。
縮尺1/400のプランニングではなく、平面検討のイメージ図なので誤解しないで下さい。
ゾーニングの考え方はこちら!


ゾーニングパタン.1
ゾーニングパタン.1


前提条件
- 既存部を独立した大空間ゾーンとして地域へ開放する
- 道路側からの直接アクセスできる外部アプローチを確保する
- 新築側には施設に応じた用途や機能を集中させ、既存と役割を分ける
- 既存建築物の現状保存に配慮し、既存部への廊下接続は1ヶ所を限度とする
動線ライン
EV・コア位置




- L字型の平面の主出入口を起点に動線ラインを想定する。
- このとき、基準階があれば、各フロアの室配置を先に想定しておく。
- 動線ラインと合わせて、内部空間の収まりを考慮してEV・コアの位置も仮決め。
駐車スペース
管理部門のゾーニング




既存部を大空間として独立させた配置に、駐車スペースと管理部門を加えたゾーニング。
(車寄せが要求される場合は、駐車スペースを大きくしてその中に計画する)
ポイントは次のとおり
- 駐車・駐輪スペースは既存部の近く、道路からのアクセスを確保する
- 大空間として独立させる場合は、L字型平面の突出部に出入り口を設ける
- 管理部門はサブ道路側に配置し、動線ラインに沿わせて管理コアを配置する
EV・コアの配置
中空間の確保




管理部門と大空間を配置した次に、EV・利用者コアと中空間を加えたゾーニング。
ポイントは次のとおり
- EV・コアは平面の端から1~2スパン離して置く
(ここでは、エレベーターを2スパン離す) - EV・コアの奥側に中空間スペースを予め確保しておく
(この時点では、用途を決めてなくてもよい)
利用者用のEV・コアを端ではなく離して置くことで、後からプランに効いてきます。
(廊下を短くしてスペースを節約、そのゆとりをホールに充てる戦略)
L字平面の特性を活かし、入り隅を起点に各ゾーンを配置すると、動線もスムーズになるでしょう。
L字平面
突出部の割り当て




L字平面の突出部に残りの機能を割り当てるゾーニング。
ここまでの流れは、このスペースを有効に残すためのプロセスと捉えて下さい。
ポイントは次のとおり
- L字の突出部を中空間・大空間ゾーンとして割り当てる
(使いにくいスペースを消費する) - L字の入り隅を起点に、各ゾーンへの動線をコンパクトにする
- 管理部門と既存部(大空間)との間のスペースに、残った小さな室を配置する
L字の突出部を大空間に充てることで、既存大空間とのバランスが取れます。
管理部門も大空間として扱い、L字型の角に大空間を押し込むことで平面に無駄がなく、残りの部屋のプランニングもしやすくなるでしょう。
設備スペースの割り当て


建物の用途によっては管理部門のボリュームが大きく、設備系が入りきらない場合があります。
その一方、1階の共用部門のボリュームに余裕が出来て、使わなかったスペースがあるとしましょう。
ここでは、中空間を「先に確保」したうえで、設備スペースを「後から割り当てる」パタンを紹介します。
ポイントは次のとおり
- 利用者用コアの奥に中空間を確保しておく
- 収まり切らなかった設備室をそのスペースに後から割り当てる
- 建物内での動線交差を避けるため、設備室は外部からのみ出入りする計画とする
この手順により、設備の必要面積が収まらなくても柔軟に対応できる。
中空間をバッファとして持っておくことで、プランの室配置の調整がしやすくなります。
このように、「先にスペースを確保しておき、後から用途を割り当てる」手法も持っておくと、エスキスや1/400図のプランニングも格段に速くなるでしょう。
動線ライン
EV・コア位置の再確認




ここで、ふり返り
L字型平面で大空間を角に収めるための動線ラインとEV・コア位置の再確認です。
最初に設定した動線ラインとコアの位置は、すべてこの大空間の配置を成立させるためのもの。
ポイントは次のとおり
- L字平面の角に大空間の配置を想定する
- 動線ラインはL字平面の入り隅を起点に小さくまとめる
- L字平面の使いにくい突出部は、最も大きな空間を収めることで消費する


「L字平面の利点を最大限に活かせるゾーニングを基準にする」
そうすることで、ゾーニングのパタン出しの選択肢が一気に絞られます。
既存部の独立性を保ちつつ、新築部の機能も効率よく柔軟に配置できるのです。
2階フロアに共用ゾーンを配置する場合は、専用のコア(EV・階段)が必要です。
コア位置の決め方はこちら!


サービス動線との動線共有




ここで、空間構成4要素の一つである動線分離について言及します。
記事の序盤でお伝えした通り、既存建築物「現状保存」の観点により、開口部を増やせません。
そうすると、「時間差共有」という考え方が、現状保存案と足して2で割るような計画として考えられます。
現状保存に配慮した計画
- 開口部は既存部の保存に配慮して1ヶ所だけ
- サービス動線は「準備」時間帯に限定して使う
- 利用者に向けては「開放」時間帯に切り替えて使う
これによって、既存部へのダメージを最小限に抑えつつ、動線計画との両立ができるのです。
ここで紹介したのは、あくまでも一案です。
本試験での解答は、必ず課題条件の注釈などを確認して対応して下さい。
既存棟(大空間)へのサービス動線


既存棟(大空間)へのサービス動線です。
ポイントは次のとおり
- 管理部門から既存大空間へブリッジを経由した動線を利用する
(この最中は、利用者の出入りを制限する) - 受付・管理との連携を取りながら、既存部を開放する際はブリッジへの通路を利用者側に譲る
(この最中は、管理者の出入りを制限する) - サービス動線は利用者動線と交差しないよう、コア経由で上下階の別フロアを通して交差を避ける
通常の建物計画では、このようなはイレギュラーな使い方はしません。
紹介したのは、既存建築物「現状保存」に最大限配慮した、極めて稀なケースといえるでしょう。
この動線計画により、既存大空間の独立性を保ちつつ、運営上の利便性も守られます。
3階の室配置イメージ


動線ラインに沿って室配置




こちらは3階(又は基準階)の室配置のイメージ。
動線ラインに沿って部屋を配置するオーソドックスな考え方を示しています。
ポイントは以下のとおり
- 動線ラインに沿って、両側または片側に室を並べる
- 管理部門の上には管理部門、そこから連続して室を配置する
(小さな部屋は1グリッドに2つずつ部屋を並べる) - L字平面の突出部やEV・利用コアの奥側には大きな室を収める
1階・2階の動線ラインをそのまま3階(基準階)にも通すこと。
そうすることで、室配置に規則性が生まれ、避難経路も確保しやすくなるのです。
L字の突出部にも奥行きのある部屋を割り当てることで、ホールのゆとりも確保できます。
要チェック
一級建築士製図ブログ:床面積の「ボリューム調整」L字平面の最大外形
(リンク先より下へ下へスクロール)
この記事で解説するゾーニングは、結果を覚えるのではなく考え方をインストールして下さい。


この動画を YouTube で視聴


ゾーニングパタン.2
ゾーニングパタン.2


前提条件
- 既存部をアプローチ空間として地域へ開放する
- エントランス等を既存部に、大空間は新築棟に計画する
- 新築側には施設に応じた用途や機能を集中させ、既存と役割を分ける
- 既存建築物の現状保存に配慮し、既存部への廊下接続は1ヶ所を限度とする
動線ライン
EV・コア位置




- L字型の平面の主出入口を起点に動線ラインを想定する。
- このとき、基準階があれば、各フロアの室配置を先に想定しておく。
- 動線ラインと合わせて、内部空間の収まりを考慮してEV・コアの位置も仮決め。
駐車スペース
新築棟へのアプローチ




既存部をアプローチ空間として共有する場合も、駐車スペースは既存棟の近くに配置する。
(車寄せが要求される場合は、駐車スペースを大きくしてその中に計画する)
ポイントは次のとおり
- 駐車・駐輪スペースは既存部と並べて、道路からのアクセスを確保する
- アプローチ空間として共有する場合は、L字平面の切り欠き部に出入り口を設ける
- サービス駐車場はサブ道路側に配置し、利用者用の駐車スペースと分けている
(車の台数が少なくて1箇所にまとめる場合は、ゾーニングも変わる)
動線ライン
L字平面の突出部の割り当て




動線ラインに沿って、管理部門と大空間を配置したゾーニングです。
ポイントは次のとおり
- 主出入口から遠い角の位置に大空間を押し込む
(管理部門も大空間として捉える) - 動線ラインに沿って、管理コアと受付カウンターを配置する
(大空間に沿って通路を通せばコア位置が決まる)
L字平面の特性を活かし、突出部に大空間を押し込めば、廊下を真っ直ぐ通しやすくなります。
EV・コア配置
中空間の確保




動線ラインに沿って管理コアを置き、EV・利用者コアと中空間を加えたゾーニング。
ポイントは次のとおり
- EV・コアは平面の端から1~2スパン離して置く
(ここでは、エレベーターを2スパン離す) - EV・コアの奥側に中空間スペースを予め確保しておく
(この時点では、用途を決めてなくてもよい)
利用者用のEV・コアを端ではなく離して置くことで、後からプランに効いてきます。
(廊下を短くしてスペースを節約、そのゆとりをホールに充てる戦略)
大きな室の配置に後で対応するため、コアは平面の端から1~2スパン離しておくということです。
ゾーニング完成形


→ L字平面の残りスペースに小さな部屋を割り当てれば出来上がり。
ポイントは次のとおり
- L字の突出部を大空間ゾーンとして割り当てる
(使いにくいスペースを消費する) - 主出入口の位置を起点に、各ゾーンへの動線をコンパクトにする
- 管理部門と既存部(大空間)との間のスペースに、残った小さな室を配置する
L字の突出部を大空間に充てることで、既存部とのバランスが取れて、動線も裁きやすくなる。
管理部門も大空間として扱い、L字型の角に大空間を押し込むことで平面に無駄がなく、残りの部屋のプランニングもしやすくなるでしょう。
2階フロアに共用ゾーンを配置する場合は、専用のコア(EV・階段)が必要です。


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設備スペースの割り当て




建物の用途によっては管理部門のボリュームが大きく、設備系が入りきらない場合があります。
その一方、1階の共用部門のボリュームに余裕が出来て、使わなかったスペースがあるとしましょう。
ここでも、中空間を「先に確保」したうえで、設備スペースを「後から割り当てる」パタンを復習します。
ポイントは次のとおり
- 利用者用コアの奥に中空間を確保しておく
- 収まり切らなかった設備室をそのスペースに後から割り当てる
- 建物内での動線交差を避けるため、設備室は外部からのみ出入りする計画とする
この手順により、設備の必要面積が収まらなくても柔軟に対応できる。
中空間をバッファとして持っておくことで、プランの室配置の調整がしやすくなります。
このように、「先にスペースを確保しておき、後から用途を割り当てる」手法も持っておくと、エスキスや1/400図のプランニングも格段に速くなるでしょう。
動線ライン
EV・コア位置の再確認




ここで、ふり返り
L字型平面で大空間を角に収めるための動線ラインとEV・コア位置の再確認です。
最初に設定した動線ラインとコアの位置は、すべてこの大空間の配置を成立させるためのもの。
ポイントは次のとおり
- L字平面の角に大空間の配置を想定する
- 動線ラインはアプローチ正面の主出入口を起点に小さくまとめる
- L字平面の使いにくい突出部は、最も大きな空間を収めることで消費する


「L字平面の利点を最大限に活かせるゾーニングを基準にする」
そうすることで、ゾーニングのパタン出しの選択肢が一気に絞られます。
既存部の独立性を保ちつつ、新築部の機能も効率よく柔軟に配置できるのです。
2階フロアに共用ゾーンを配置する場合は、専用のコア(EV・階段)が必要です。
3階の室配置イメージ




こちらは3階(又は基準階)の室配置のイメージ。
動線ラインに沿って室を配置するオーソドックスな考え方を示しています。
ポイントは以下のとおり
- 動線ラインに沿って、両側または片側に室を並べる
- 管理部門の上には管理部門、そこから連続して室を配置する
(小さな部屋は1グリッドに2つずつ部屋を並べる) - L字平面の突出部を無柱空間とする場合、大空間の上に大空間を乗せる
(基準階の場合は、PC梁の無駄使いになるため屋根にする)
1階・2階の動線ラインをそのまま3階(基準階)にも通すこと。
そうすることで、室配置に規則性が生まれ、避難経路も確保しやすくなります。
L字形状を活かし、突出部に大空間を割り当てることで、ホールのゆとりも確保できるのです。
この記事で解説するゾーニングは、結果を覚えるのではなく考え方をインストールして下さい。
ボリュームの考え方はこちら!


一級建築士製図試験「既存建築物」とL型ゾーニング4パタン(比較)


いよいよ大詰め!
ここまで、L型ゾーニングのパタン1とパタン2の解説を爆速で進めてきました。
(・・ついて来れましたでしょうか?)



何とか食らいつく。
ここから、パタン3とパタン4の解説に入りますが、作業の流れは同じなので結論のみ掲示します。
そのうえで、解説の切り口は、ガラッとフェーズが変わります。
残りのパタンを加え、接道条件と既存部の配置によるゾーニングの違いを詳しく解説していきます。
・・頑張ってついて来てください。



気合い入れていくぞ!
ゾーニングパタン.1と3の比較
ゾーニングパタン.3


(前提:既存建築物が大空間として独立している)
前提条件
- 既存部を独立した大空間ゾーンとして地域へ開放する
- 道路側からの直接アクセスできる外部アプローチを確保する
- 新築側には施設に応じた用途や機能を集中させ、既存と役割を分ける
- 既存建築物の現状保存に配慮し、既存部への廊下接続は1ヶ所を限度とする
動線ライン
EV・コア位置




- L字型の平面の主出入口を起点に動線ラインを想定する。
- このとき、基準階があれば、各フロアの室配置を先に想定しておく。
- 動線ラインと合わせて、内部空間の収まりを考慮してEV・コアの位置も仮決め。
ゾーニング完成形




これまでの要素を統合したゾーニングパタン.3の完成形です。
ポイントは以下のとおり
- 既存部を独立した大空間として位置づけ、現状保存を優先する
- 管理部門と受付を道路側に配置し、外部からのサービス動線を確保
(この場合、管理部門から大空間への動線も取れる) - EV・コアと動線ラインに沿って大空間を割り当て、残りの部屋を収める
L字平面の特性を活かし、既存大空間を保ちつつ、各機能を効率的に配置した完成形となります。



ゾーニングを比較してみましょう。
パタン1とパタン3の比較


(交差点近くに既存建築物)


(交差点から離れたところに既存建築物)
→ ゾーニングのパタン1とパタン3の比較です。
- 前面道路(南)に面する半分は「同じゾーニング」
- 隣地境界(北)に面する半分は「東西反転したゾーニング」
お気づきになったでしょうか?
- 利用者側のゾーニングは「既存建築物の位置」に左右される。
- 管理部門のゾーニングは「接道条件(歩道なし車道側)」に左右される。
この比較により、交差点の位置や既存部の位置に応じて、柔軟にゾーニングを反転・調整できるのです。



メインアプローチは、
既存建築物と接道条件だね。
駐車スペースへの車路は、横断歩道の端から5メートル以上離して下さい。


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ゾーニングパタン.2と4の比較
ゾーニングパタン.4


(前提:既存建築物を経由して建物へアプローチする)
前提条件
- 既存部をアプローチ空間として地域へ開放する
- エントランス等を既存部に、大空間は新築棟に計画する
- 新築側には施設に応じた用途や機能を集中させ、既存と役割を分ける
- 既存建築物の現状保存に配慮し、既存部への廊下接続は1ヶ所を限度とする
動線ライン
EV・コア位置




- L字型の平面の主出入口を起点に動線ラインを想定する。
- このとき、基準階があれば、各フロアの室配置を先に想定しておく。
- 動線ラインと合わせて、内部空間の収まりを考慮してEV・コアの位置も仮決め。
ゾーニング完成形


既存部をエントランス・ラウンジとして活用したゾーニングの完成形です。
ポイントは以下のとおり
- 既存部をアプローチ空間とし、道路からの動線を通す
- 新築内部に大空間を確保し、L字平面の突出部を消費する
- 管理部門と受付を道路側に配置し、サービス動線を整理する
(この場合、管理部門から大空間への動線も取れる)
L字平面の特性を活かした、現状保存と機能性を両立したオーソドックスな配置です。
既存部をアプローチ空間に使うことで、来館者の視認性を高めることが出来ます。



ゾーニングを比較してみましょう。
パタン2とパタン4の比較


(交差点近くに既存建築物)


(交差点から離れたところに既存建築物)
→ ゾーニングのパタン2とパタン4を比較してみましょう。
- 前面道路(南)に面する半分は「同じゾーニング」
- 隣地境界(北)に面する半分は「東西反転したゾーニング」
もう一度、再確認します。
- 利用者側のゾーニングは「既存建築物の位置」に左右される。
- 管理部門のゾーニングは「接道条件(歩道なし車道側)」に左右される。



サブアプローチは、
管理部門とサービス動線だね。
この比較により、交差点の位置や既存部の位置に応じて、柔軟にゾーニングを反転・調整できるのです。
駐車スペースへの車路は、横断歩道の端から5メートル以上離して下さい。
この記事で解説するゾーニングは、結果を覚えるのではなく考え方をインストールして下さい。
ゾーニング解説に使用するマス目は「3倍コマ」です。
縮尺1/400のプランニングではなく、平面検討のイメージ図なので誤解しないで下さい。
お疲れ様でした、まとめに入ります。


一級建築士製図試験「既存建築物」とL型ゾーニング4パタン(まとめ)


チェックリスト「計画」
□ 既存部の配置状況によるエスキスの難易度を理解したか?
□ 既存部へのサービス動線と利用者動線を分離する際、現状保存に配慮できるか?
□ 既存部の現状保存の配慮により接続を1ヶ所に限定する場合、双方の動線を確保できるか?
サービス動線との動線分離




サービス動線との動線共有




チェックリスト「法規」
□ ブリッジの水平投影面積を面積表に算入し、建蔽率をクリアできたか?
□ 既存部が新築部とは異なる用途の場合、異種用途区画(○特)を記入したか?
□ 延べ面積の合計が500㎡超えの場合、外壁間中心線からの延焼ラインを記入したか?
法規の書き込み




外壁間中心からの延焼ライン




チェックリスト「構造」
□ 接続部にエキスパンション・ジョイントを既存側に記載したか?
□ 既存部との接続方針に応じて、外壁間のクリアランスを適切に確保できたか?
□ 既存部に階高を合わせるか、新築側にスロープや階段を設けてレベル差を解消できたか?
物理的接続のイメージ


空間的接続のイメージ


二層吹き抜け天井


階高のレベル合わせ








スマートフォン等でご覧になる方は、本体をヨコ向きにすることで一覧表が見やすくなります。
物理的接続と空間的接続の比較
| 関わる要素 | 物理的接続(ブリッジ) | 空間的接続(屋外の一体感) |
|---|---|---|
| 【計画】 クリアランス | 2m程度で可能 (片持ちスラブ) | 十分な離隔が必要 (採光要求は特に) |
| 【計画】 建築可能な範囲 | 広くなる (離隔が少なくて済む) | 狭くなる (離隔を大きく取るため) |
| 【計画】 配置計画への影響 | 自由度が厳しくなる | クリアランスで調整可能 |
| 【法規】 法規の書き込み | ブリッジの建築面積 異種用途区画(〇特) 外壁間中心の延焼ライン | バルコニーを設ける際は、 1m超えの建築面積の算入 外壁間中心の延焼ライン |
| 【構造】 既存との階高調整 | 必要、EXP.Jの記載 (立体構成が厳しくなる) | 条件が無い限り不要 (高低差に影響されない) |


パタン1とパタン3の比較


(交差点近くに既存建築物)


(交差点から離れたところに既存建築物)
パタン2とパタン4の比較


(交差点近くに既存建築物)


(交差点から離れたところに既存建築物)
比較ポイントは以下のとおり
- 前面道路(南)に面する半分は「同じゾーニング」
- 隣地境界(北)に面する半分は「東西反転したゾーニング」
ゾーニングの影響は以下のとおり
- 利用者側のゾーニングは「既存建築物の位置」に左右される。
- 管理部門のゾーニングは「接道条件(歩道なし車道側)」に左右される。
この記事で解説するゾーニングは、結果を覚えるのではなく考え方をインストールして下さい。
既存建築物との接続とL字型ゾーニングを理解すれば、エスキスの攻略要素の全てがわかります。


既存建築物、どう扱えばいいの?
この問い掛けから始まった、今回の膨大な解説。
平成17年度のサプライズ出題から蘇った「現状保存」のテーマを徹底的に掘り下げてきました。
課題文に記載された条件をもとに「物理的接続か?空間的接続か?」
エスキスの序盤から、これらの要素をひとつずつ押さえていけば、既存建築物が「お邪魔もの」から「計画のコンセプト」に変わります。



既存をしっかり観察しよう。
どちらの選択をとる?
ここで改めて整理しておきたいのが、接続方針による建築可能な範囲の違い。
- 物理的接続(ブリッジ)
- 既存部と床レベルが異なる場合、新築側で高低差を合わせる必要がある
- 離隔(クリアランス)が2m程度で済むため、建築可能な範囲が広くなる
- 空間的接続(屋外の一体感)
- 既存部と床レベルが異なる場合でも、既存部と高低差を合わせる必要がない
- 離隔(クリアランス)を広くとる必要があるため、建築可能な範囲が狭くなる
物理的接続か?空間的接続か?
どちらを選んでもトレードオフが生まれます。
広さを優先すれば接続の工夫が必要になり、一体感を優先すれば使える面積が限られる。
このバランスを見極めながらエスキスを進めることが、自由度の高い出題への対応力といえるでしょう。



既存と新築の橋渡しです。
実践編で扱ったサンプル課題、そしてゾーニング解説には、エスキスの格となる要素が詰まっています。
一級建築士として既存を活かす視点は、試験を超えて実務でも必ず役立つ力になるでしょう。
この記事が、あなたのエスキスを一歩前に進めるきっかけになれたら嬉しいです。
ひとつひとつを丁寧に潰していき、栄光の合格を掴み取りましょう。



既存建築物を制する者は時代を制する!
参考情報はこちらを要チェック!













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