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角番センパイ
(一級建築士)
私は受験歴3年を経て合格をつかみ取った一級建築士です。
学科試験には通過したものの、製図試験に2度目落ちして角番に昇格!?
そこからメンタルを鍛え上げ、角番スピリッツで合格をつかみ取りました。
(今では、こっそりブログ活動中。)
私は”夢を諦めない受験生”たちを応援します!
角番に昇格してしまった方、角落ちからの復活を目指す方に向けて「役に立つ知恵や技術」を投稿していきます。

一級建築士|エスキスがまとまらない受験生に贈る、攻略のコツ(7選)!

一級建築士製図試験:エスキスがまとまらない人に贈る3つの攻略のコツ

一級建築士製図試験に合格するためには、エスキスは「必須のスキル」

初受験生にとってエスキスは未知の世界、試験攻略には避けて通れないハードルです。

  • 時間が足りない。
  • アイデアが浮かばない。
  • エスキスがまとまらない。

悩みや不安を抱えたまま、資格学校に通い続ける日々も辛いですよね?

本試験に向けて時間だけが刻々と迫っている現状に、頭を抱える方もいるでしょう。

この記事では、エスキスがまとまらない”見えない要因”を明らかにします。

その理由を踏まえたうえで、攻略法となるいわゆる「コツ」をお伝えしましょう。

読者(受験生)の皆さんにとって”新しい景色”が、きっと見えて来るはず。

私自身もエスキスに苦しみ、考え方や思考プロセスを何度も何度も改善してきました。

その私がエスキスを克服するために身につけた7つのコツをぜひ習得して下さい。

エスキスに少しでも興味のある方は、ブックマークの追加をお願いします!

読み取り術

PDCAサイクル

プランニング

こんな人におすすめ!

  • エスキスの力が伸びない
  • エスキスのコツが知りたい
  • 情報処理スキルを習得したい

お悩み解決は
私にお任せ下さい。

記事のメニュー。

1時限目:見えない要因(3選)

2時限目:基礎スキルと経験スキル

3時限目:PDCAサイクル

4時限目:情報処理スキル(3選)

5時限目:プランニングマスター(7選)

目次

一級建築士の私のエスキス・エピソード

エピソードをスキップする

やってやる!

私は資格学校の生徒として学科試験を突破し、製図試験に向けて気合は十分。

受験勉強を始めたときは、製図試験もこのまま順風満帆に進むだろうと思っていました。

製図試験における3種目

  • 作図
  • エスキス
  • 計画の要点

この中でも私が最も苦労したのがエスキス。

いつも何から手をつけて良いかが分からずに困惑していたエスキス。

周りの受講生たちは素直に出来ているのに、私だけが的外れな結果になり自信喪失する毎日でした。

講師に何度も原因を聞きましたが、その説明が私にはマニュアル的な回答に聞こえてしまい、いつもスッキリしません。

こんなはずでは・・・

私は毎回、課題と対峙しては玉砕して身も心もボロボロになり、通学する足取りは重たくなる一方。

「資格学校が指導するエスキスプロセスでは攻略できない」という不安はさておき、自分が動かなければ状況は変えられません。

私は独自にマーカーで分かりやすく色分けしたり、立体構成のアイソメ図を描くなど「情報を見える化」するための創意工夫を試みました。

自分のエスキスを講師に見せたところ「オリジナル要素を入れるな!」と一蹴されて、心がポッキリ。

苦手なエスキスを克服しようと試みたアイデアが全く認められないことで、私はますます戦意を喪失していきました。

「解答例だけに縛られる定型的なアドバイスでは、自分のプランや考え方についてのヒントは得られない」という愚痴はさておき、やはり自分が動かなければ可能性は見えて来ません。

エスキスしんどい

私は自分に「センスがないのでは?」と思い始めました。

何度トライしても自分が作り上げたものに納得できずに、細かいところに目線が向くばかり。

(気が滅入ってしまいます。)

・・・

  • 指導されるエスキスプロセスではダメ
  • 自己流でエスキスを改善しても認められない
  • 誰にも相談できずにグループの中で孤立してしまう

エスキスは資格学校で教えられたプロセスに戻しても、自分の考えを試してもうまくいきません。

こんな悩みを誰にも相談できずに独りで苦しむ日々でした。

周りの受講生が「資格学校が指導するエスキスプロセス」であっという間にエスキスを築き上げる一方で、私はなかなか手が進まず、焦る気持ちに拍車が掛かるばかり。

クラスメイトにもエスキスの描き方を見せてもらいましたが、その人の頭の中までは読みとることが出来ません。

ヒントや解決策が見出せないまま、光が指すことはありませんでした。

孤独の戦士

「ヒ●シです。」博多弁

「角番です。私のプランは間取りではなく、うなぎの寝床と言われたとです!」

「角番です。私のエスキスはただのお絵描き、プランはジグソーパズルと言われたとです!」

「それはゴミではありません!私のエスキスです。」

「角番です、角番です、角番です↓・・・Byヒ●シ。」博多弁

♬:Peppino Gagliardi「ガラスの部屋」

惨敗・・・

私は不完全燃焼のまま資格学校でやった課題の解答例をすべて記憶に叩き込み、本試験に挑みます。

資格学校では見たことのない初めての課題を目のまえにして、私の思考は”正解さがし”に陥りました。

時間内にエスキス・記述・作図までを完成させることに精一杯だった私に勝機はなく、結果は不合格。

独りにしてほしい

結果発表を受けてから翌年の3月になり、私は資格学校に通い始めます。

作図時間の短縮に限界を感じていた私はフリーハンド作図法を習得し、図面のトレースでは圧倒的な速さで描き上げることが出来ました。

・・・がしかし、講師には「フリーハンド禁止!」と怒られてしまい、私にはわけが分かりません。

「問題文には”フリーハンドでも良い”と書いてあるじゃん」という愚痴はさておき、私が独自に考案したフリーハンドと平行定規を組み合わせた「ハイブリッド作図法」により、フリーハンド禁止事件は終息しました。

フリーハンドの決意

一級建築士への挑戦、フリーハンドで作図時間を短縮(エピソード)

ハイブリッド作図法

一級建築士が教える本番に強い2時間スピード作図法|イラスト解説付き

そして肝心のエスキスは、資格学校で教えられたプロセスを起点に手探りで自分のかたちを築く。

当時のクラスメイトにはそれぞれが自己流でエスキスをやっている人も多く、気持ち的には楽でした。

課題を解いていくなか、私のエスキスもその経験値とともに探求心が芽生え、改善をこころみます。

初めてエスキスに取り組んだ当時のことを思えば、まったく別物といえるくらい飛躍的な進化を遂げたのです。

私は自分のやり方を信じて走りつづけて、最終的には自分のエスキスを完成させることができました。

ついに迎えた本番では自信を持って試験に臨み、手応えのある解答が出来たものの・・結果は不合格。

何が悪いんだよ!

復元図を採点した講師からも「とくに問題ない」という評価であったにもかかわらず、私はこの結果に納得は出来ませんでした。

不合格となった復元図をもとに、講師が見解した「落ちた要因の話」を聞いても説得力はなく、私には何の参考にもなりません。

まさに崖っぷち

そんなことより、私はとうとう「角番」という崖っぷちに追い込まれます。

「最悪の結末」が頭をよぎった私は、結果を受けたその日から年末年始の休日をすべて返上し、一心不乱に図面を描き始めます。

(クリスマスや正月など、あったものではありません。)

(自分のこころに話しかける)

作図するのは試験を終えて以来の3ヶ月ぶりでしたが、図面の描き方は身体がすべて覚えていました。

(これも練習量のたまもの。)

年越しの瞬間も並行定規と向き合っていた私は、部屋にある植物を見つめながら、ふと思いついたアイデアを方眼紙に描き始めます。

試験から解放された3ヶ月の空白の期間も、私の「エスキスへの探求心」は知らないうちに成長を続けていたのです。

頭の中でエスキスを構築するイメージを膨らませながら、方眼紙のうえでレイアウト設計を進めていくうちに、プランニングを完成させるまでの思考プロセスがすべて繋がります。

(その瞬間は今でも忘れられません。)

メラメラ、火がついてきたぞ。

私に「エスキスの神」が舞い降りて、覚醒します。

エスキスへの探求心が開花してモチベーションが一気に”復活”したのです。

一級建築士:角番復活ブログの名前の由来はここからです。)

俺はエスキス王になる!

その日以来、私は自らアレンジして作った課題をいくつもトライして「自分自身のアイデアを試しては感触を確かめ、そのたびにエスキスプロセスの改善をする」という日々に明け暮れました。

そのときの私は、自分が自分であることを受け入れ、自分の創造力や可能性を信じる決意をします。

「今までの経験値をもとに自らエスキスを構築して、その結果に対して全ての責任を持つ」ことで、私は吹っ切れたのです。

否定!改善!否定!

私のエスキスのアップデートは止まりません。

どれだけ改善しても、満足することなく「否定しては改善」サイクルを繰り返すことで、極限までブラッシュアップしていきます。

そして、磨き上げられたエスキスを引っ提げて、資格学校への通う日々が再開します。

私の改良エスキスは資格学校の講師からは当たりまえのように否定され、正しい方法を学ぶように注意されました。

恒例のあいさつ代わりと言ったところでしょうか?

(その指導が悪いとはいいませんが・・。)

「正しい方法のエスキスを学んだところで、マニュアル対応で処理されてしまうから」

という愚痴はさておき、私は資格学校の方針で解答したエスキスを毎週一枚だけ提出することで、納得させました。

(社会人として歩み寄るという姿勢も大切。)

資格学校で出題されるバリエーションのある課題に対して、私の改良エスキスは安定していました。

どのようなサプライズを仕掛けられても、一定以上の品質のプランが機械的にできるレベルに達していたのです。

エスキスの鬼

角番となり、背水の陣・マインドを秘めた私は「エスキスの鬼」と化しました。

どのような課題が出題されても、鬼と化した私のエスキスは手が止まることがありません。

いかなる課題も鬼エスキスという名の「ベルトコンベヤー」の乗せるだけ。

その結果、「合格プラン」という名の成果品が完成されて出てくる仕組み。

私が理想とした、まさに機械のように安定したエスキスプロセスを追求した結果です。

(エスキスマシンは課題を解くたびにメンテナンスが必要。)

エスキス対策を”完全武装”した鬼の私は、ついに迎えた3度目の正直となる本試験に挑みます。

私の「鬼エスキス」はビックリ玉を物ともせず、十分に力を発揮して「合格」をつかみ取ったのです!

リベンジ・達成!

一級建築士製図試験は私にとってエスキスについて学ぶことだけではなく、次の3つのことを教えてくれました。

  • 自分の可能性を信じること
  • 自分で責任を持って行動すること
  • やり続けることで超えられない壁はない

・・・以上が一級建築士の私のエスキス・エピソードでした。

このストーリーを読者の皆さんと共有し、これからの製図試験の特訓に向けて刺激になれば幸いです。

補足

  • 資格学校が指導するエスキスプロセスは基本的にすべて正しいものです。
  • 個人の主観で「試験に通用するか否か」を評価するものではありません。

1時限目:見えない要因(3選)

一級建築士:エスキスがまとまらない原因

エスキスがまとまらない受験生に向けて

まず始めに、エスキスがまとまらない人たちには共通点がいくつかあります。

ここで紹介するのは「見えない要因」について厳選したものを3つ挙げます。

本気でエスキスを克服したい方には必ず読んでいただきたいところなので、ぜひ目を通してください。

その①:時間内にまとまらない

記事の難易度:★☆☆☆☆

その ①

タイムマネジメントの時間配分が間違っている。

エスキスに掛けられる所要時間は150分(2時間30分)と言われています。

作図スピードに自信がある方はギリギリ3時間まで”ねばる”ことも可能ですが、それほど集中力は持続しません。

それに加えて2時間30分を経過すると、まわりの受験生が作図に動き始め、平常心を揺さぶられてしまいますよね。

まずい!(-_-;)

集中力の限界を考慮しても、エスキスの所要時間は中間チェックも含めて150分(2時間30分)が”最適”な目標といえるでしょう。

ところでエスキスの前半(左・半分)と後半(右・半分)との時間の振り分けについては、意識されていますでしょうか?

注目!

所要時間は150分なので150÷2=75分ずつ、と答えられた方は要注意です。

「前半:75分、後半:75分の時間配分ではダメ?」と思われるかもしません。

はっきり申しますと、それでは”落ちます”。その理由について3つお伝えしましょう。

要注意!

  • エスキスの重要な工程は前半に集中している。
  • エスキスの前半が不完全だと後半にしわ寄せが来る。
  • エスキスの前半の出来によって製図試験の合否が決まる。

・エスキスの重要な工程は前半に集中している

前半の工程

  • 課題文の読み取り
  • 情報収集と仕分けをする
  • 要求される機能を明確にする

エスキスの前半で主に必要な工程は以上の3つです。

いずれも「たったひとつのミスが命取り」になるものばかりですよね?

見落としや読み間違いがひとつでもあれば、合格の可能性はなくなってしまいます。

理想のタイムマネジメント

エスキスの前半は中間チェックも含めて最低90分は掛けることが理想です。

前半に時間をしっかり確保することで、後半の流れもスムーズになり時間を圧縮することが出来ます。

「前半:75分、後半:75分」の時間配分で取り組まれている方は、「前半:90分、後半:60分」を目指しましょう。

・エスキスの前半が不完全だと後半にしわ寄せが来る

後半に及ぼす影響

  1. 前半の積み残しが後半の作業にプラスされる
  2. 縮尺:1/400 のプランニングに集中できない
  3. 何度もプランの変更や修正を余儀なくされる

【前半の積み残しが後半の作業にプラスされる】

エスキスの前半でやるべきことを完結させないまま先に進んでしまうと、”しわ寄せ”が来ます。

「1/400のプランニングで考えれば何とかなる」という安易な気持ちで、先に進んではいませんか?

その結果、前半のやり残しが後半の作業にプラスされるため、判断が後手×2になってしまうのです。

【縮尺:1/400 のプランニングに集中できない】

1/400のプランニングにはフロア内の間取りを明確なかたちにするという本来の目的があります。

その目的の中に「前半でやり残した」ことが割り込んでくると、プランニングでやるべき事に集中できないのです。

先へ先へと早まる気持ちから中途半端な構想のまま後半に移ると、あとの作業量が増えてバタバタの”てんやわんや”になってしまいます。

もう手に負えない

【何度もプランの変更や修正を余儀なくされる】

前半でやり残した積み残しに手間をとられ、1/400プランニングに集中できなくなるのは当然の結果。

プランニングの変更や修正となると、焦る気持ちが強くなることから、どうしても消しゴムを使うようになりがちです。

そして、消しゴムを使っている間というのは作業だけでなく「思考が止まる」ため、プランニングが一向にはかどりません。

  1. 前半の積み残しに手間をとられる
  2. プランニングの変更や修正に追われる
  3. 消しゴムを使うことで思考が断続的になる

その結果、「プランがまとまらない」という悪循環に陥ります。

前半・後半のトータルで時間を縮める

一見、前半に掛けた時間のぶんだけ後半の作業がずれ込むように感じるかもしれません。

しかし、前半でやるべきことをきっちり完結させることで、後半のプランニングに費やす時間と労力は確実に減ります。

”段取り”に時間をしっかり費やした以上に後半の時間を圧縮すること。

その結果、前半と後半の「トータル」でエスキスに掛かる時間を縮めるという考え方が重要なのです。

・エスキスの前半の出来によって製図試験の合否が決まる

クライマックス

  • 課題文の読み取り
  • 情報収集と仕分けをする
  • 要求される機能を明確にする

製図試験の合否は「課題文の読み取りからエスキスの前半」の完成度に直結します。

試験開始のホイッスルが鳴った瞬間から、いきなり”クライマックス”を迎えるのです。

この序盤のクライマックスを乗り超えるために必要なスタミナこそが「思考力」となります。

最初の90分間まで思考力を維持できるかどうかが、運命の分かれ目といってよいでしょう。

思考力を持続させる

製図試験に合格するためには「最初の90分にすべてを掛ける」つもりで挑みましょう。

その出来によって、エスキス後半のプランニングは考えるものではなく、ただの”作業”に変わります。

最初の90分間まで集中できるスタミナ(思考力)を身につけることで、すべてのシナリオが機能してくるはずです。

思考力を身につける方法

製図試験の直前期にやるべきことは、その日までに実習した課題の見直しではありません。

試験開始から「課題文の読み取り~エスキスの前半」までのサイクルだけを何度も繰り返しましょう。

その反復によって「序盤のクライマックスを乗り超えるまでの必要な思考力(スタミナ)」が身につくのです。

時間配分の考え方まとめ

  • エスキスの前半は思考に費やす時間
  • エスキスの後半は作業に費やす時間
  • エスキスは思考の時間を増やし、作業の時間を縮める

その②:情報整理がまとまらない

記事の難易度:★★☆☆☆

その ②

情報の仕分けが出来ないまま、頭の中に抱え込んでいる。

ここを読み解く力が必要

  • 課題文の読み取り
  • 情報収集と仕分けをする
  • 要求される機能を明確にする

「エスキスの力は情報処理スキル」と言われますが、課題文に記載されている情報量は非常にボリュームがあります。

情報処理スキル

設計条件・敷地図・要求室・屋外施設・留意事項・特記事項・計画の要点など範囲が広いもの。

これだけのボリュームのある情報が大渋滞しては、脳みそはオーバーワークとなってパンクします。

では読み取った情報をなぜ、頭の中に「抱え込む」のか?

それは”忘れ物をしてはならない”という防衛本能といえるでしょう。

もしくは、学科試験対策のように記憶に詰め込む習慣によるものかもしれません。

たったひとつの見落としが命取りになる試験ですから、どんな文字にも敏感に反応します。

そのプレッシャーから意識過剰となり、すべてを頭に抱え込むのです。

情報の仕分けが出来ないと・・・

多くの情報を脳に抱え込み、ワーキングメモリ(情報を処理する作業スペース)が圧迫される。

情報の仕分けが出来ないイメージ図

課題文から情報が流入してくる
どんなキーワードにも過剰反応する

課題文から膨大な情報量が押し寄せてくる
ワーキングメモリが圧迫される

情報に波に埋もれて思考停止(KO)

情報の波に埋もれてワーキングメモリが一杯になると、思考力が落ちてしまいます。

考えている途中に色々な文字や記憶がちらつくと、目のまえの作業に集中できないのです。

そこで、流入してくる課題文の情報をエスキスの各工程へとフォルダ分けする必要があります。

エスキスの工程

  • 法規
  • 機能図
  • アプローチ計画
  • ボリューム検討
  • 断面計画
  • 平面計画
  • スパン割り
  • プランニング
  • その他

情報をフォルダ分けすることで
ワーキングメモリにゆとりができる

情報のフォルダ分けにより、脳内のワーキングメモリにゆとりが生まれる。

頭のなかを常に空っぽにしておくことで、思考力を維持することが出来るのです。

ワーキングメモリを空けておくと
どんな状況にも対応できる

エスキスのコツ

情報の整理は、エスキスの工程ごとにフォルダ分けする。

フォルダ分けした情報は、エスキス用紙の各工程にメモ書きしておきましょう。

エスキス用紙にメモ書きすることで「紙に残る」ため、読み取った内容はとりあえず忘れても大丈夫。

頭の中から一度、情報を外に出すことでワーキングメモリが空っぽになり、目のまえの作業に集中できるようになります。

フォルダ分けした情報は
エスキスの各工程で必要な材料となる

エスキスのレイアウトをもとにメモ書き(フォルダ分け)した情報は、それぞれの工程を進めるにあたって必要な材料となります。

その工程に差し掛かかったタイミングにメモを読み返すことで、忘れ物対策としての役割も果たせるので精神的に楽になるでしょう。

(情報の仕分けに関しては、記事の後半で詳しく解説します。)

エスキスのコツ

情報の整理は、エスキスの工程ごとにフォルダ分けする。

その③:平面計画がまとまらない

記事の難易度:★★★☆☆

その ③

平面計画の検討をするにあたって必要な情報が不足している。

  • チビコマ
  • バイコマ
  • 1/1000プランニング

いずれも平面計画の検討には欠かせないツール。

ここがエスキスで行き詰まる”最大の難所”となります。

平面計画に突入した途端に「思考がフリーズする」という方もいるでしょう。

ところでチビコマ・バイコマを進めるにあたって、より所にしているモノは何でしょうか?

「課題文のマーカー部分をひたすら探しまわる」という方は要注意です。

平面計画の検討イメージ

平面計画で手が止まる理由としては、「必要な情報が不足している」ということ。

そのうえで平面計画の検討をするにあたって、必要な要素を4つ紹介しましょう。

平面計画に必要な4要素

平面計画の検討に必要なもの

  • 機能図
  • 配置計画
  • 立体構成
  • スパン割り

これらはすべて、平面計画の検討には欠かせない必要な要素。

平面計画の検討には、課題文の読み取りから抽出した4つの要素をすべて使う必要があります。

平面計画の検討で
ありがちな失敗例4つ

  • 利用者の動線とサービス動線が交錯する
  • 駐車スペースに必要な寸法を確保できない
  • 1階・2階のうえに基準階を乗せられない
  • スパン寸法が無柱空間や屋上テラスと合致しない

紹介した失敗例に、こころ当たりがありますでしょうか?

(ちなみに私は4つともコンプリートしています:笑)

いずれも「平面計画の検討に必要なもの」が欠落した結果によるものです。

原因としては、ひとつの方面だけを見て平面計画を進めてしまうからといえるでしょう。

平面計画の検討で重要なことは
色々な視点から建物の形を捉えること

平面計画の検討に必要なもの

  • 機能図
  • 配置計画
  • 立体構成
  • スパン割り

平面計画で失敗しない秘訣

色々な視点から必要なものを集結させて建物の形を決めていく。

平面計画のイメージ図

  1. 平面検討に必要な情報を集める
  2. 色々な視点から立体構成を決めていく
  3. どこから見ても整合性のある建物ができる

ルーリックキューブの例え

  1. 6面の色の配置を確認する
  2. 色々な角度から色を合わせていく
  3. どこから見ても色がそろった形ができる

平面検討の完成イメージ

平面検討で失敗しない秘訣は、必要な情報をすべてそろえること。

そのうえで、色々な視点から必要な情報を集めて総合的に建物の形を決めていきましょう。

始めは難しく感じるかもしれませんが、経験を積むことにより平面検討は克服できるはずです。

エスキスのコツ

色々な視点から必要なものを集結させて、建物の形を決めていく。

「エスキスは正解さがしではない」

このような言葉をすでに耳にしたことがある方もいるかもしれません。

年に一度しかチャンスのない設計製図試験に、”当てに行く”という一発勝負はあまりにも無謀の奇策といえます。

これが正当法

エスキスは課題文の要求から、プランが成立する「可能性」を選択すること。

エスキスの攻略は「建物全体のバランス」を考え、候補の中からより可能性の高いものを選ぶこと。

ベストな選択を当てに行こうとせず、無難な選択の連続によって合格プランを作り上げることは十分可能です。

建物全体のバランスを見ることなく、始めから正解さがしに決め打ちしようとする行為はいわゆる「ギャンブル」といってよいでしょう。

当てが外れた。

2時限目:基礎スキルと経験スキル

一級建築士:エスキスの力の正体とは?

記事の難易度:★★☆☆☆

良いプランを作る人には「センスや才能」を感じるかもしれません。

それと比較して「自分には才能がない」と諦めかけている人はまだ早すぎます。

エスキスにセンスや才能、アイデアは必要ない。

個人の感性、発想力、創造性といったものに採点基準はありません。

そのような能力を図ること自体、国家試験として成立しませんよね?

本質を知るためにはリアリティが必要、ここでは「エスキスの力の正体」を明らかにします。

エスキスの力の正体とは?

  1. どんな課題においても共通の考え方となる基礎スキル
  2. 課題の用途により分析と対策が必要となる経験スキル
  3. エスキスの力の正体とは基礎スキルと経験スキルの総合力

エスキスの力は「基礎スキル」と「経験スキル」の2タイプがあるのはご存知でしょうか?

資格学校に通っている受講生が、本試験に向けて実習を通して習得するのが「経験スキル」

試験本番に向けて「経験スキル」の習得に必死に取り組んでいる受講生がほとんどです。

資格学校としても最短ルートでひとりでも多くの合格者を輩出するため「経験スキル」に力を注ぐことになります。

そのような事情から「基礎スキル」については、余り意識がありません。

経験スキルと基礎スキルの違い

  • 本試験課題の用途に応じて備えておくのが「経験スキル」
  • 用途に関係なくエスキスの力を底上げするのが「基礎スキル」

ここからは「基礎スキル」と「経験スキル」のそれぞれについて、詳しく説明していきましょう。

基礎スキル

基礎スキルとは、どんな課題においても通用する一般的な「セオリー」

基礎スキルを鍛える

「どんな課題が来ても、合格プランが作れるエスキスが欲しい」これが皆さんの願望ですよね?

「吹抜け」「無柱空間」「屋外テラス」によって構成される用途には攻略法が確立されています。

単一的な用途を攻略するためのセオリーとなるものが「基礎スキル」

いかなる課題に対してもブレない「基礎スキル」を習得することで、エスキスの力を底上げすることが出来ます。

この記事の後半では基礎スキルを強化するためのコツを紹介しますので、必ずマスターして下さい。

後半で紹介

エスキスのコツ:3選(読み取り編)

エスキスのコツ:7選(プランニング編)

経験スキル

経験スキルとは、課題の特徴により個別の対策が必要となる「引き出し」

経験スキルは課題の用途によって異なる

「いかなる課題に対しても基礎スキルを習得することで、エスキスの力を底上げできる」

・・・と、さきほど申しましたが、「基礎スキル」だけでは合格にはあと少し届きません。

本試験で発表された課題用途の特徴、その性格によって個別の対策が必要となります。

さまざまなバリエーションのある課題から、実習を通して身につける「経験スキル」

「経験スキル」にマニュアルはなく、経験値によってのみ鍛えられるものです。

エスキスの力は総合力

エスキスの力の正体とは、基礎スキルと経験スキルからなる「総合力」

エスキスの力の正体

  • エスキスの底力は基礎スキル
  • エスキスの引き出しは経験スキル
  • エスキスの力の正体は基礎スキル+経験スキル

経験スキルと基礎スキル

「どんな課題が来ても合格プランが作れるエスキス」の正体が見えて来ましたでしょうか?

一般的な攻略法となる「セオリー」を習得したうえで、課題の特徴によって「引き出し」を確立する。

そのエスキスの答えとなるのが、「基礎スキル」で底上げして「経験スキル」を積みあげることです。

エスキスの力を強化する!

  1. シンプルな課題を通して「基礎スキル」を身につける。
  2. 本試験課題の対策として「経験スキル」を積みあげる。
  3. 「基礎スキル」と「経験スキル」からなる総合力を高める。

エスキスの力が足りない対策

エスキスの力が足りない対策

  1. 基礎スキルが足りていない場合は「セオリー」を習得する。
  2. 経験スキルが足りていない場合は「引き出し」を確立する。
  3. 短期決戦であれば「経験スキル」、長期対策であれば「基礎スキル」から習得する。

「エスキスが苦手、エスキスの力が足りない」と痛感している受験生に向けてお伝えします。

課題を通してエスキスの失敗が続く原因は、「基礎スキルが足りない」それとも「経験スキルが足りない」のどちらかを見極めるクセをつけるましょう。

あなたはどれ?

  1. 平面計画がまとまらない場合は「基礎スキル」の不足
  2. 集合住宅などの基準階の作り方が分からない場合は「経験スキル」の不足
  3. さまざまな解答例がフラッシュバックして混乱する人は「基礎・経験スキル」のどちらも不足

1.基礎スキルが足りない場合、早い時期から「セオリー」の習得を始めましょう。

2.経験スキルが足りない場合、試験対策となる課題の数をこなし、経験値を増やすことで補えます。

このケースにおいては一喜一憂する必要はありません。「引き出し」を作って備えておきましょう。

3.基礎スキルと経験スキルのどちらも不足している場合、計画的な改善が必要となります。

この場合に至っては本試験に向けての準備期間が「短期」か「長期」によって対策が異なります。

どちらかを選択する

短期決戦:経験スキルの習得に集中して「引き出し」を備えて、出来る限りの対策を取る。

長期対策:基礎スキルの習得から始めて「セオリー」を習得したうえで、短期決戦に臨む。

エスキスの力が足りない対策

  1. 基礎スキルが足りていない場合は「セオリー」を習得する。
  2. 経験スキルが足りていない場合は「引き出し」を確立する。
  3. 短期決戦であれば「経験スキル」、長期対策であれば「基礎スキル」から習得する。

3時限目:PDCAサイクル

一級建築士:エスキスの力の鍛え方

記事の難易度:★★★☆☆

エスキスの力の正体が明らかになりました。

では、「その力はどうやって手に入れるのか?」これですよね。

ここではエスキスの鍛え方と改善法について以下の3つをお話ししましょう。

エスキスは鍛えられる!

  • 手順を確立する。
  • 手間の数を増やすこと。
  • PDCAサイクルで改善する。

エスキスの力を磨く2つの習慣

まず始めに、エスキスを磨くための”正当法”をお伝えします。

ブラッシュアップに必要なことはただひとつ「手順の確立」だけです。

そして良いプランを作るための秘訣は「手間の数を増やすこと」のみといえます。

・手順を確立する

一級建築士製図試験は受験生のアイデアやクリエイティブを競う国家試験ではありません。

未知の課題を目のまえにして「やるべきことを丁寧にやっているか否か」を試される試験といってよいでしょう。

「ビックリ玉」と呼ばれるサプライズが盛り込まれた課題になるほど、その素質が大きく問われます。

・手間の数を増やすこと

ここでいう手間というのは、エスキスを進めるうえでの「工程の数」のこと。

エスキスの手間の数が多いほど、リスクを排除するフィルターが増えるということです。

その結果として、出来上がるプランの精度は「ランクⅠに近づく」といって良いでしょう。

エスキスの質を高めるには

  1. エスキスを進めるうえで、手間の数を増やす。
  2. 手間の数を増やすとともに、身体に定着させる。
  3. 身体に定着させるとともに、スピードを速くする。

エスキスの力を鍛えるサイクル

記事の難易度:★★★★☆

Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)をくり返す。

PDCAサイクル

  • 計画:Plan
  • 実行:Do
  • 評価:Check
  • 改善:Action

ここからはエスキスの力を鍛える話をしましょう。

どこでも聞いたことのある言葉ですが、エスキスにも応用が利きます。

エスキスは常にアップデート!

計画:Plan

まずは大前提として、資格学校から指導されるエスキスとは?

それは「先人たちが築き上げた、シンプルで誰でも成果の得られる」手引き書です。

このスタイルが土台となるので、まずは手引き通りに実践してみて下さい。

分からないポイントは頭で考えずに、決め打ちしても良いので進めましょう。

そしてPDCAサイクルに必要な材料となるもの・・それは「失敗の経験」です。

まずは実践!

  • お手本通りに手順を進めてみる
  • 手順を覚えるまで失敗を恐れず、繰り返し解いてみる
  • 手順を進めていく中で、失敗するポイントを把握する

”決め打ち”は悪いことではありません。

大事なのは始めから上手くやろうとしないこと。

失敗することが、PDCAサイクルのスタートとなるからです。

これまでに何度もつまずき、失敗した経験のある受験生なら材料は十分にそろっているはず。

その方々はすぐにでも、Plan(計画)に取り掛かりましょう。

Plan:計画

失敗をもとに、対策となる攻略法を組み立てる。

「失敗」という材料がそろったところで、エスキスを鍛える「目的」が明確になります。

ここで、PDCAサイクルのPlan(計画)について具体例をいくつか紹介していきましょう。

具体例

スクロールできます
失敗のポイントPlan(計画)
建物のかたちを
立体的に想像できない
建物のアイソメ図を起こし
内部構成を立体的に描いてみる
屋上テラスや大空間に
プランを崩されてしまう
屋上テラスと大空間をフロアごとに
並べる、又は重ねることから始めてみる
チビコマ・バイコマを
描き出すスペースが足りない
エスキス用紙を2枚使って(練習のみ)
そのうち1枚は平面検討の専用にしてみる
Plan(計画)

実行:Do

攻略法は、具体的な「目的」を持って実践してみる。

「失敗」から「攻略法を組み立てる」その次に「実行」に移します。

そのうえで大事なことは「何を検証するのか?」という明確な目的を持つこと。

攻略法を決めてから実行するまでは、出来るだけ日にちを空けないようにしましょう。

Plan(計画)からDo(実行)へ

PDCAサイクル

評価:Check

「計画したことを実際にやってみてどうでしたか?」自分に問いかけましょう。

ひとつの指標としては、「エスキスを改善できる可能性を秘めているか?」どうかです。

Check:評価

実践した結果を評価して、新たな可能性を模索してみる。

具体例

スクロールできます
失敗のポイントDo(実行)Check(評価)
建物のかたちを
立体的に想像できない
建物のアイソメ図を起こし
内部構成を立体的に描いてみる
立体構成が何となく想像できて
コア位置を考えるヒントにもなりそう
屋上テラスや大空間に
プランを崩されてしまう
屋上テラスと大空間をフロアごとに
並べる、又は重ねることから始めてみる
大きな空間の置き方によって
残りのスペースの使い方が見えて来る
チビコマ・バイコマを
描き出すスペースが足りない
エスキス用紙を2枚使って(練習のみ)
そのうち1枚は平面検討の専用にしてみる
用紙のスペースを気にすることなく
書き足していくうちに考えがまとまる
Check(評価)

紹介した具体例はいかがでしたでしょうか?

いずれも私が実際に計画したことを実践してきた記録になります。

「失敗」を克服するために計画したことを試してみると、想定外の発見もありますよね?

私のやってきたPDACサイクルの実例は、まだまだありますので共有しましょう。

まだまだある具体例

スクロールできます
失敗のポイントDo(実行)Check(評価)
機能図が描けないエントランスホールを
起点にして機能図を描いてみる
1階フロアの機能図は描けるが
2・3階との繋がりまでは分からない
問題用紙から
いつも目が離せない
問題用紙を小さく折って
エスキス用紙にテープで貼ってみる
成果は微妙、何とも言えない
要求室の部分だけ見えるようにしたい
平面計画になると
思考がフリーズする
問題用紙に記載してある敷地図に
そのままゾーニングスケッチしてみる
それほど手間が掛からない割には
平面計画のために得られる情報が多い
スパンの割りつけが
上手くいかない
過去問の解答例にある
スパン割りを参考にしてみる
廊下の幅を含んだスパン寸法にして
全体の割りつけを調整する方法もある
縮尺1/400のラフスケッチで
なぜかスケールアウトしてしまう
ラフスケッチに入るまえに
グリッドに囲まれた面積をメモする
グリッドにメモした数値(面積)が
部屋の収まりを検討する手助けになる
Check(評価)

改善:Action

改善点を書き出して、自分のエスキスにフィードバックする。

これまでに実践してきて自己評価を受けて、改善点を書き出していきましょう。

改善のための要素を追加して「自分のエスキスにフィードバックする」ことで、仕組みを強化します。

また要素を追加する一方で「このひと手間はもう必要ないのでは?」と感じたものは一度、省いてみましょう。

具体例

スクロールできます
Do(実行)Check(評価)Act(改善)
建物のアイソメ図を起こし
内部構成を立体的に描いてみる
立体構成が何となく想像できて
コア位置を考えるヒントにもなりそう
アイソメ図に出入口を追記して
そこを起点にして立体スケッチをする
屋上テラスと大空間をフロアごとに
並べる、又は重ねることから始めてみる
大きな空間の置き方によって
残りのスペースの使い方が見えて来る
大きなボリュームはグリッド数を
想定して向きや形状のパタン出しをする
エスキス用紙を2枚使って(練習のみ)
そのうち1枚は平面検討の専用にしてみる
用紙のスペースを気にすることなく
書き足していくうちに考えがまとまる
エスキスのレイアウトを調整して
平面検討に使えるスペースを大きくする
Act:改善

まだまだある具体例

スクロールできます
Do(実行)Check(評価)Act(改善)
エントランスホールを
起点にして機能図を描いてみる
1階フロアの機能図は描けるが
2・3階との繋がりまでは分からない
1階フロアの機能図と同じように
2・3階のホールを起点に機能図を描く
問題用紙を小さく折って
エスキス用紙にテープで貼ってみる
成果は微妙、何とも言えない
要求室の部分だけ見えるようにしたい
プランニングに集中するときに備えて
要求室の部分だけ見えるように貼り付ける
問題用紙に記載してある敷地図に
そのままゾーニングスケッチしてみる
それほど手間が掛からない割には
平面計画のために得られる情報が多い
敷地図に書き込みをしてイメージを
膨らませたあとに平面計画へと取りかかる
Act:改善

PDCAサイクル(まとめ)

私がやってきたPDCAサイクルをいくつか紹介してきました。

(まだまだ、実例はあります。)

このルーティンの燃料となるものは「失敗した経験」です。

失敗した経験値が多いほど、エスキスを向上できる可能性があるといえるでしょう。

エスキスを鍛えるサイクル

  • 失敗をもとに、対策となる攻略法を組み立てる。
  • 攻略法は、具体的な「目的」を持って実践してみる。
  • 実践した結果を評価して、新たな可能性を模索してみる。
  • 改善点を書き出して、自分のエスキスにフィードバックする。

これまでに失敗ばかりして苦しんできた方も、もう落ち込む必要はありません。

その失敗はすべて、エスキスを向上させるための「目的」となり燃料になるからです。

燃えあがれ!

エスキスで失敗したときは「やらかした!」という事態に落ち込むかもしれません。

これをチャンスと受け止めて「エスキスを鍛えるサイクル」を始める”きっかけ”にしてみてはいかがでしょうか?

エスキスの向上は日々の積み重ね

  • エスキスの力はマニュアルの反復だけでは向上しない。
  • エスキスの失敗は全て、エスキスを改善するための燃料になる。
  • 実戦的なエスキスとは、”失敗と改善の繰り返し”によってのみ作られる。

4時限目:情報処理スキル(3選)

一級建築士:エスキスのコツ(読み取り編)

読者の皆さん、課題文の「読み取り」はお好きですか?

回答「めんどくさい!文章なんて大嫌い!」ありがとうございます。

私自身も「読み取りは大嫌い」だったので、お気持ちはとても良く分かります。

読み取りは大嫌い!

なぜ、読み取りが嫌いになるか?

人は正体の見えないものに対して恐怖心を抱き、ストレスを感じるから。

ストレスの正体は「見えない恐怖心」です。

それさえ分かれば、対策を講じて”苦手意識を克服する”ことが出来るでしょう。

情報処理スキルの3原則

読み取りを克服する

読み取りを制する者は、エスキスを制する!

この言葉の通り、ここからは課題文の読み取りのコツについてお伝えしましょう。

「どうせマーカーで色分けかな?」「何色もルールを決めてやるの?」・・ありがとうございます。

マーカーは基本的に3色しか使いません。

その中でも特に、エスキスに重要な色は”1色のみ”です。

マーカーの色は3色まで、それ以上の色を増やすことはお勧めしません。

それでは改めて、”課題文の読み取りのコツ”についてお伝えしましょう。

エスキスの代名詞となる言葉は「情報処理スキル」、聞いたことがありますよね?

さきほど紹介した「基礎スキル」・「経験スキル」よりもっと重要なスキルとなります。

これが生命線!

読み取りを制する者は、エスキスを制する!

この言葉の通り、課題文の読み取り方によってエスキスの進行は大きく左右されます。

エスキスの代名詞となる「情報処理スキル」、その言葉を聞いても何となく難しく思えますよね?

「難しいことは”分解”して読み解く」ということで、3つのキーワードに分解します。

情報処理スキルの3原則

  1. 情報の先取り
  2. 情報の仕分け
  3. 情報の見える化

一級建築士製図試験のエスキスに必要な「情報処理スキル」を構成する3つの要素。

「情報の先取り」「情報の仕分け」「情報の見える化」いずれも想像できそうな言葉ですよね?

この三種の神器を備えることで、課題文の読み取りから”情報を裁くスキル”が身につきます。

そして、課題文の読み取りが「めんどくさい!文章なんて大嫌い!」から解放されることでしょう。

その①:情報の先取り

情報の先取り

記事の難易度:★★★★★

課題文の読み解りは受け身ではなく、先回りして攻める。

情報処理スキルを向上させる手っ取り早い方法とは?

それは、課題文の読み取りに先立って「情報を握っておくこと」

まえもって情報を把握することで対策の可能性を狭めることが出来るからです。

それでは合法的に「課題文の読み取りに先立って情報を握る方法」についてお話ししましょう。

読み取りは先手必勝!

答案用紙Ⅰ・Ⅱに目を通しておく。

ここにヒントがある

  • 答案用紙Ⅰ:作図用紙
  • 答案用紙Ⅱ:計画の要点

答案用紙ⅠとⅡに目を通すことで、建物の情報を”ほどよい文字量”から得られます。

課題文の読み取りと違って文字量が少なく、それでなおかつ建物の大枠を捉えることが出来るのです。

作図用紙から読み取れる

  • 敷地図:接道条件
  • 断面図:地盤条件
  • 面積表:建物の階数と作図要求されるもの

・敷地図

作図用紙の敷地図を見ると「接道条件」「横断歩道」の位置を読み取れます。

これによってアプローチの経路、駐車場の位置、建物の配置計画まで想定ができるのです。

・断面図

作図用紙の断面図を見ると「地盤の支持層」「切断方向」の向きが読み取れます。

切断方向においては「南西 – 北東」などと書かれていれば、方位が傾いていることも分かるのです。

・面積表

作図用紙の面積表を見ると×3×4×5の表記から「建物の階数」が読み取れます。

凡例の枠を見ると「EW:耐力壁の要求」「○○値:要求される数値」などが、先に分かるのです。

・計画の要点

計画の要点から読み取れる

  • イメージ図:設計条件のテーマとなるもの
  • 構造計画:吹抜け、無柱空間、屋上庭園があること
  • 設備計画:ダクトスペース、吹抜け、無柱空間があること

このように、答案用紙ⅠとⅡに目を通すだけでも重要な情報がたくさん得られますよね?

課題文の読み取りと違って文字量が少なく、労力をかけることなく立体構成を捉えることも可能です。

(始めのインパクトもあって記憶にも残りやすい)

あたりまえのように課題文を開いて、情報の嵐へ突入すると溺れてしまいます。

読み取りに入るまえに重要な情報をつかむことで、建物の形状をイメージすることも出来るでしょう。

読み取りは先手必勝!

課題文は、要求図書の「特記事項」から先に読む。

答案用紙Ⅰ・Ⅱに目を通したあとに、問題用紙を開きます。

その情報の嵐の中で最初に見るべきもの、それは「要求図書の特記事項」

「特記事項」からは、建物に要求されるものを具体的に読み取ることが出来るのです。

その目的とは?

  1. 入ってくる情報量をコントロールできる。
  2. 必要最小限のキーワードから立体構成を想定できる。
  3. イメージした建築モデルが建物の形を決めるためのベースとなる。

情報の先取り

特記事項からキーワードを読みとる

ここから先は、サンプル課題より「実戦」を通して説明していきましょう。

ミッション・スタート!

引用元:建築技術教育普及センター

登場する「キーワード」

・屋外テラス・サービス動線・設置フロア・屋上庭園・大空間・設備スペース

建物イメージをつかむため、特記事項からキーワードを読みとります。

「特記事項だけでは建物のイメージがしづらい」という方は、先に敷地図を”チラ見”しておくと良いでしょう。

屋外テラス

・屋外テラス(地上)

建物の「配置計画」を左右する重要なキーワードです。

さきほど、作図用紙の敷地図より接道条件は確認しました。

(敷地図は課題文からチラ見でもOK。)

ここからは想像の世界になりますが、配置計画をイメージしてみましょう。

イメージ・・・

  1. 地上に屋外テラスが要求されている。
  2. 駐車スペースとの兼ね合いによってペア(併設)に出来れば、配置計画が楽になる。
  3. メイン道路に面して屋外テラス、アプローチと兼用できれば敷地スペースを有効利用できる。

サービス動線

・サービス動線

キーワードは「通用口」「搬入口」、この言葉は「サービス動線の要求」と置き換える。

敷地図から確認した接道条件と横断歩道、これによって駐車スペースも決まってしまいます。

イメージ・・・

  1. 「通用口・搬入口」とあればサービス動線
  2. 接道条件と横断歩道の位置から駐車スペースを想定
  3. サービス駐車場から敷地内通路を通って搬入する経路が見える
  4. 搬入ルートから通用口・搬入口、管理部門のゾーニングも見えてくる

設置フロア

・設置フロア

特記事項から、建物に要求されるキーワードを拾えることは分かりましたよね?

では、そのあとに知りたいことは?・・・そう、「何階に置くのか?」になります。

要求されるものは「何階に置くのか?」これも特記事項から読みとることが可能です。

注目!

注目して、お分かりいただけましたでしょうか?

特記事項には「2階平面図には」「3階平面図には」などと記載されてますよね。

「2階平面図に図示するものは2階フロアへ」「3階平面図に図示するものは3階フロアへ」

ヒントは至るところにあります。考えるまでもありません。

屋上庭園

・屋上庭園

建物の形状を大きく左右する重要な「キーワード」です。

設置フロアは「3階平面図には・・・屋上庭園を図示する」とありますので3階に確定となります。

イメージ・・・

  • 屋上庭園が要求されている。
  • 設置フロアは3階で、面積もそれなりに大きい。
  • おおきなボリュームは出入口から遠くて、平面の隅に置きたい。

大空間

・大空間

キーワードは「多目的展示室」

断面図の切断位置には「多目的展示室を含む」とあります。

断面図に図示するように要求してくる・・・ということは無柱空間とみなして良いでしょう。

多目的展示室は2層分の大空間として要求、設置フロアは不明ですが1階フロアに仮定します。

(1階フロアに仮定した根拠は、一般的な施設の形態や過去問の傾向からです。)

イメージ・・・

  • 多目的展示室は無柱空間。
  • 1・2階によって構成される大空間。
  • その一方で、屋上庭園が3階に要求されている。
  • 1・2階の多目的展示室のうえに3階の屋上庭園を重ねる。

イメージが出来ましたでしょうか?この時点で「建物の形状」と「ゾーニング」は、ほぼ確定します。

設備スペース

・設備スペース

屋上に要求される設備スペースも見落とせないキーワード。

プランニングには直接影響しませんが、集団規定(斜線制限)に関わるケースもあるのです。

ここでも過去問の経験と合わせて、想像力を膨らませます。

イメージ・・・

  1. 屋上に設備スペースの図示要求。
  2. 設備スペースの面積を指定してくるかもしれない。
  3. 設備スペースと塔屋の合計面積が、建築投影面積の8分の1を超えてくる可能性もある。
  4. その場合、斜線制限の高さに塔屋の高さがカウントされるので、後退距離の算定に注意。

建物イメージ

建物のイメージ

要求図書の特記事項だけで、多くのキーワードを拾いましたよね?

建物の形状を何となくでもイメージできれば上出来といえるでしょう。

いずれのキーワードも「建物の立体構成を決める重要な要素」となります。

なぜ、読み取りが嫌いになるか?

人は正体の見えないものに対して恐怖心を抱き、ストレスを感じるから。

「特記事項」より建物の配置計画・建物の形状・ゾーニングなど、その正体が見えて来ました。

ここからの課題文の読み取りを目のまえにして、恐怖心やストレスをまだ感じているでしょうか?

すでに克服できているはず、なぜなら情報を先取りしたことで「建物の正体が見えた」からです。

情報収集の結果

  • 地上に屋外テラス
  • サービス動線の要求
  • 3階に屋上庭園の要求
  • 1・2階(仮定)に無柱空間の要求
  • 屋上に設備スペースの要求(道路斜線に注意)

以上の情報のもとにイメージした「建築モデル」が建物の形を決めるためのベースになります。

そして、課題文の読み取りを進めるにあたって、より詳細な情報や数値が入って来るでしょう。

「特記事項」から、すでに多くの情報を握っているあなたであれば、裁き切れるはずです。

課題文の情報の内容によっては「建築モデル」の修正が必要になりますが、このイメージから大きく外れることはありません。

情報の先取りのメリット

  1. 入ってくる情報量をコントロールできる。
  2. 必要最小限のキーワードから立体構成を想定できる。
  3. イメージした建築モデルが建物の形を決めるためのベースとなる。

ところで読者の皆さんはお気づきでしょうか?

問題用紙を開いて、まだ要求図書の特記事項しか読んでいません。

それだけにも関わらず、数多くの重要なキーワードが得られましたよね?

この課題を「特記事項を読むことなく、いきなり設計条件から読み始める」とどうなるか?

  • 地上に屋外テラス
  • サービス動線の要求
  • 3階に屋上庭園の要求
  • 1・2階(仮定)に無柱空間の要求
  • 屋上に設備スペースの要求(道路斜線に注意)

ここまでの情報に加えてさらに・・・

  • 詳細な条件や数値
  • 大空間の天井高さ指定
  • 屋上設備スペースの面積
  • 駐車場の台数・その他 etc…

これだけの情報量が一度に流入してきます。

一級建築士試験「やばくない?」と感じますよね。

ほとんどの方がノイローゼになってしまうでしょう。

始めはこれくらいが良い

  • 地上に屋外テラス
  • サービス動線の要求
  • 3階に屋上庭園の要求
  • 1・2階(仮定)に無柱空間の要求
  • 屋上に設備スペースの要求(道路斜線に注意)

これくらいで丁度良いとは思いませんか?

そもそも最初から多くの情報量は必要ないのです。

読み取りの順序

  1. 作図用紙
  2. 計画の要点
  3. 要求図書の特記事項
  4. 設計条件
  5. 課題文の敷地図
  6. 屋外施設
  7. 本格的な読み取り

私がいつも実施している「読み取りルーティーン」です。

この順序で読み進めることで、入ってくる情報量を徐々にコントロールできるようになります。

情報量を抑制する

課題文の読み取りに順序をつけて、入ってくる情報量をコントロールする。

情報の先取り

建物を立体的にイメージするには?

さきほど「特記事項」からキーワードを拾って建物を立体的にイメージすることをお伝えしました。

それでも「建物を立体的にイメージ出来ない」という方に、ひとつの「コツ」をお話しましょう。

立体構成を決めるコツ

無柱空間と屋上庭園が要求されている場合、「重ねる」「並べる」のどちらかに決める。

「重ねる」「並べる」を決める

  • 無柱空間の設置フロアは基本的には1階
  • 屋上庭園の設置フロアが3階の場合は無柱空間に「重ねる」
  • 屋上庭園の設置フロアが2階の場合は無柱空間と「並べる」

「重ねる」「並べる」について、屋上庭園を視点に置いてイメージ図を使ってお話ししましょう。

設置フロア3階の場合

屋上庭園の設置フロアが3階の場合

無柱空間(多目的展示室)は1・2階で構成されるので、そのうえに3階の屋上庭園を重ねましょう。

重ねるメリット

  • 立体構成がシンプルになる。
  • コアを配置できる範囲が広がる。
  • スパン割りの整合性が確保しやすい。

設置フロア2階の場合

屋上庭園の設置フロアが2階の場合

無柱空間(多目的展示室)は1・2階で構成されるので、2階フロアで無柱空間と並べましょう。

その際には、管理部門も「ひとつの大きな部屋」と捉えると、管理部門のうえに屋上庭園を重ねることも出来ます。

立体構成を決めるコツ

  1. 屋上庭園の設置フロアを視点に無柱空間と「重ねる」「並べる」のどちらかに決める。
  2. 立体構成を考えるうえで、管理部門も「ひとつの大きな部屋」と捉えることができる。
  3. 屋上庭園、無柱空間、管理部門の「組み合わせ方」によって、立体構成を成立させる。

・その他、特記事項から読み取れる情報

読み取りまえに情報を握っておくことは重要です。

要求図書の「特記事項」から拾えるキーワードをまだまだ紹介していきます。

今年に発表される課題の用途に当てはまるものがあれば、「引き出し」に追加しておきましょう。

宿泊室

・宿泊室

ホテル、老人ホーム、集合住宅といった用途では「個室の並べ方」は重要なところです。

マーカー部分から宿泊室は「A・B・C」の3タイプ、Aは6室、Bは2室、Cは2室といったことが読み取れますよね?

読み取れる情報

  • 個室のタイプの種類
  • タイプごとの部屋の数
  • フロアごとの部屋の要求

フロアごとの部屋の要求については、特記事項の図示要求から読み取ることが可能です。

  • 3階平面図には、A1・A2・・
  • 2階平面図には、B1・B2、C1・C2

このように特記事項だけでも相当な情報が得られますよね?

また、エスキスの読み取りにおいては中間チェックのときにも役に立ちます。

「特記事項」と「要求室の表」との両方から見ることで、思い込みによる間違いを防ぐことも出来るでしょう。

駐輪場

・駐輪場

よく忘れがちな自転車置き場。

駐車スペースと違って配置計画にあまり支障を与えません。

そのために「うっかり忘れていた」「作図のときに慌てて描き足した」なんてこともありますよね?

特記事項から「駐輪場」をチェックしていれば「自転車置き場はある」という意識付けになります。

勾配屋根

・勾配屋根

本試験のサプライズにより「勾配屋根」を要求してくるとは、想像もつかないですよね?

設計条件に気づかないまま「1/400プランニング断面スケッチ」で明るみとなり、2度見・3度見したなんてことも。

こちらも「特記事項の断面図」「設計条件」「計画の要点」などに、目を通しておきたいものです。

要求室の室名

・要求室の室名

特記事項から「室名」を読み取ることも出来ます。

「コンセプトルーム」など、馴染みのない室名とかもありますよね?

ここに一度だけ目を通しておくと、要求室の表を読むときの心の準備にもなるでしょう。

部屋の数とボリューム

・部屋の数とボリューム

特記事項に記載してある「室名」から読み取れる情報は、部屋の名称だけではありません。

読み取れる情報

  • 室名の数が少なければ、ボリュームの大きい大空間が要求される
  • 室名の数が多い場合は、ボリュームは小さく部屋の数だけが多く要求される
  • 前者であれば「廊下は直線状」となり、後者であれば「廊下はループ状」と想定できる

あくまでも想像からの見立てではありますが、まえもってイメージ出来るか出来ないかでは、格段の差につながるでしょう。

読み取りは先手必勝!

  • 答案用紙Ⅰ・Ⅱに目を通しておく。
  • 課題文は、要求図書の「特記事項」から先に読む。
  • 課題文の読み解りは受け身ではなく、先回りして攻める。

その②:情報の仕分け

情報の仕分け

記事の難易度:★★★★★

情報を裁く力は仕分けで決まる

課題文のキーワードはその都度、工程ごとにフォルダ分けする。

エスキスがまとまらない

情報の仕分けが出来ないまま、頭の中に抱え込んでいる。

さきほど「エスキスがまとまらない原因②」についての話の続きです。

情報の仕分けが出来ないと、脳のワーキングメモリが一杯となり思考力が落ちてしまいます。

「情報の仕分け」を身につけることで、脳に負荷を掛け続けることなく集中できるでしょう。

情報の仕分けイメージ

情報の仕分け例 ①

  • すぐに必要なもの
  • あとで必要なもの
  • エスキスの後半で必要なもの
  • プランニングの終盤で必要なもの

課題文からは多くの情報が津波のように押し寄せてきます。

しかしその情報すべてが「すぐに必要か?」というと、そうではありませんよね?

仕事のタスクに例えると、受注した物件を片っ端から何でも手をつけることは普通しません。

物件ごとの納期から考慮して「すぐやるべきもの」「○○までにやるもの」といったように仕分けしますよね?

情報の仕分けイメージ

情報を工程ごとに仕分ける

情報の仕分け(エスキス編)

空間構成4要素

  1. 建物の配置計画
  2. 建物の立体構成
  3. ゾーニング・動線
  4. 要求室等の計画

課題文に記載してある情報は「空間構成4要素」

空間構成4要素はさらに、エスキスの各工程に分類することが出来ます。

エスキスの工程

  • 法規
  • 機能図
  • アプローチ計画
  • ボリューム検討
  • 断面計画
  • 平面計画
  • スパン割り
  • プランニング
  • その他

エスキス用紙にメモ書きする

エスキスのレイアウトは資格学校の指導によって、工程ごとに決まっているかと思います。

課題文から読み取ったキーワードは、エスキスのレイアウトをもとに各工程の位置にメモしましょう。

エスキス・レイアウトへ仕分け

情報の仕分け例 ②

キーワード

エスキスの工程

屋上テラス

アプローチ

サービス動線

  • 法規
  • 機能図
  • アプローチ計画
  • ボリューム検討
  • 断面計画
  • 平面計画
  • スパン割り
  • プランニング
  • その他

空間構成要素のサンプルとして「屋上テラス」「アプローチ」「サービス動線」

この3つのキーワードを使って、エスキスのレイアウトをもとに各工程へとフォルダ分けします。

仕分けされたキーワードがフォルダ先において、どのように関わるのか?

「仕分け先のフォルダ / 仕分け先での扱い方」というかたちで伝えていきましょう。

屋上テラス

・屋上テラス

仕分け先のフォルダ仕分け先での扱い方
ゾーニングひとつのボリュームとして扱う
スパン割り形状・面積をスパンと整合させる
平面計画チビコマ・バイコマなどに組み込む
エスキスの各工程へ仕分け(例)

屋上テラスの仕分け先は「ゾーニング」「スパン割り」「平面計画」の3つ、条件によっては機能図とも関わりを持ちます。

吹抜け・無柱空間・ホテルの宿泊室についても仕分け先は同じ。

アプローチ

・アプローチ

仕分け先のフォルダ仕分け先での扱い方
機能図外部動線と内部動線の繋がりを図示する
ゾーニングカフェなどに直接アプローチさせる場合はゾーニングに反映させる
配置計画横断歩道の位置を考慮した、アプローチ経路を見込む
エスキスの各工程へ仕分け(例)

アプローチの仕分け先は「機能図」「ゾーニング」「配置計画」の3つ、主に内部動線との関わりに注意しましょう。

地上に設ける屋外テラス・ピロティ駐車場についても仕分け先は同じ。

サービス動線

・サービス動線

仕分け先のフォルダ仕分け先での扱い方
機能図サービス動線と利用者動線が交差しないような図を描く
ゾーニング動線交差を避けるため、駐車場に近接して管理部門をゾーニング
プランニング搬入口から管理部門内を通って、搬入できるように室を置く
エスキスの各工程へ仕分け(例)

サービス動線の仕分け先は「機能図」「ゾーニング」「プランニング」の3つ、ゾーニングが成立しないとプランニングも破綻してしまいます。

利用者動線に置き換えた場合、玄関ホールと他の部門との繋がりついても同じ位置づけとなる。

エスキス用紙にメモ書きする

課題文から読み取ったキーワードは、エスキスのレイアウトをもとに各工程にメモする。

情報の仕分け

情報の仕分けによりエスキスは変わる

情報の仕分けから得られるもの

  1. 課題文の読み取りから情報を裁くスキルが身につく。
  2. エスキス用紙の中だけで工程が進められるため、思考が連続する。
  3. 本試験において初めて見る要素に直面しても、冷静な対応が出来る。

1.課題文の読み取りから情報を裁くスキルが身につく

所見の人にとっては難しい話だったかもしれません。

キーワードからエスキスの各工程へと情報を振り分けることで、情報を裁く力が飛躍的に向上します。

2.エスキス用紙の中だけで工程が進められるため、思考が連続する

エスキス用紙にメモ書きすることで、その先の工程において必要な情報がすでにそろっているはず。

問題用紙に立ち返ることなくエスキスの中だけで作業が進められるため、「常に思考が連続する」ことになります。

「思考が連続する」ことで集中力も高まり、エスキスの精度も良くなり時間短縮につながるでしょう。

3.本試験において初めて見る要素に直面しても、冷静な対応が出来る

本試験で初めて見るキーワードに対しても、冷静に取り扱うことが出来るようになります。

初めての要素に対応する力

  1. 初登場のキーワードを分析して、フォルダ分けしてみる。
  2. そのキーワードがエスキスのどの工程に影響するのかが見えてくる。
  3. フォルダ分けした先の工程で、その要素を見込んでいつも通りの手順を進める。

「情報の仕分け」はいかがでしたでしょうか?

「エスキスの力は情報処理スキル」、その正体が少しでも見えてくるかと思います。

この仕分けが出来るようになるには、エスキスのキャリアを積む必要があるかもしれませんね。

「情報を裁く力は仕分けで決まる」、他の受験生と大きく差が生まれるところです。

このスキルは意識的に課題に取り組むことによって身につけられるので、必ずモノにしましょう!

情報を裁く力は仕分けで決まる

課題文のキーワードはその都度、工程ごとにフォルダ分けする。

課題文から読み取ったキーワードは、エスキスのレイアウトをもとに各工程にメモ書きする。

その③:情報の見える化

情報の見える化

記事の難易度:★★★☆☆

見えない物を形にする

  • 色分けすることで、複雑な情報を整理できる。
  • 視覚的な描写を加えることで、記憶に残りやすくなる。
  • 絵にする・図にすることで、情報を視覚的に素早く読み取れる。

機能図とは?

人の動線や部門の相互関係、広さなどをイメージ図で表現したもの。

・・・ざっくり説明するとこんな感じです。

「機能図なんて本当に必要?」という方もいるかもしれません。

イラストや図形というのは、文字や数値と比べて何倍もの情報量が得られます。

情報量の比較

文字・数値 < 図形 < イラスト

エスキスは非常に多くの文字や数値といった情報との戦いです。

その中で機能図というのは、「わずかな書き込みで多くの情報量が得られるツール」といえます。

作業の途中途中に機能図を見返すことで一瞬にして多くの情報を読み取れるため、エスキスを進めるときの”よりどころ”にもなるでしょう。

ここからは、「多くの情報量をコンパクトにまとめられる」分かりやすい機能図の書き方を紹介していきましょう。

書き込みの密度は少なくしてあるので「機能図なんてめんどくさい」という方でも心配ありません。

機能図の描き方のポイント

条件はシンボルマークに置き換えることで、書き込みが少なくなり得られる情報量は増える。

フロアレベルに線を引く

機能図はフロア別に階層分けすることで、全体イメージが立体的に把握できるようになります。

適当な間隔をとって、薄い線で水平ラインを引いておきましょう。

共用部門はかっこ( )で囲む

共用部門はかっこ( )で囲み、その中に条件指定のある室名を記入しましょう。

その際にはエントランスホールを起点にすることで、図が展開しやすくなります。

(アプローチは△マークで表現)

管理部門はかっこ( )で囲む

管理部門はかっこ( )で囲み、駐車場からのサービス動線を図示します。

共用部門( )と管理部門( )との相互関係が分かるように書くと、より分かりやすいでしょう。

吹抜けはシンボルで図示する

吹抜けは(エントランスホール)の上に線を伸ばしてシンボマークで図示します。

フロア別に階層分けしておくことで、位置関係が立体的にイメージできますよね?

シンボルマークから吹抜けが認識できるようになれば、「吹抜け」の文字は省いても良いでしょう。

屋上テラスはイラストで表現する

屋上テラスは設置フロアが分かるよう図示しましょう。

個人の好みにもよりますが、木のマークを入れておくと「屋上テラス」の文字を省いても認識できるようになります。

日照条件は太陽のシンボルマーク

日照条件は太陽のシンボルマークで表現します。絵心は必要ありません。

シンボルマークで認識できるようになれば「日照」「自然採光」の文字は省いても良いでしょう。

屋外広場はかっこ( )で図示する

屋外広場( )で表現して、共用部門( )との繋がりが見えるように書きましょう。

(イラストは屋外広場と経由してアプローチできるように表現している。)

機能図をより便利なツールとするために

  • 条件はシンボルマークに置き換えることで、書き込みが少なくなり得られる情報量は増える
  • 4色ボールペンを使ってかっこ( )の色分けをすることで、部門ごとに区別がしやすくなる
  • 室名ごとに面積の数値を入れておくことで、エスキス用紙と問題文との差し替えを少なくできる

条件はシンボルマークに置き換え

文字はなるべく省き、イラストやシンボルマークで表現するようにしましょう。

そうすることで、機能図がコンパクトになって得られる情報量は多くなります。

かっこ( )は部門ごとに色分け

かっこは部門ごとに色を変えることで、ゾーニングの区別がしやすくなります。

色を変えながら機能図を書き込む場合は、4色ボールペンを使うことをお勧めします。

ここは重要!

室名に面積の数値をメモしておく

平面計画やプランニングを進めるときに部屋の面積を確認することはありませんか?

「部屋の面積はいくつだったかな?」と確認するには問題用紙の要求室の表を見返すことになる。

部屋をひとつひとつ置くごとに問題用紙に目を移していると、そのたびに意識が途切れてしまいます。

面積の数値をメモする

機能図は要求室の条件を読みながらエスキスに書きます。

その際には「室面積の数値」を合わせてメモしておきましょう。

後々の工程において、室面積を見返すための問題用紙との差し替えがなくなります。

その結果として集中できる状態が長く続くようになり、エスキスの向上につながるのです。

面積の数値をメモする

機能図を書く際には、部屋の室面積もメモしておくこと。

見えない物を形にする

  • 色分けすることで、複雑な情報を整理できる。
  • 視覚的な描写を加えることで、記憶に残りやすくなる。
  • 絵にする・図にすることで、情報を視覚的に素早く読み取れる。

5時限目:プランニングマスター(7選)

一級建築士:エスキスのコツ(プランニング編)

お待たせしました。お待たせし過ぎましたかね?

本題となるエスキスのコツ(プランニング編)についてお話していきましょう。

お待たせしました。

ここから先は、いわゆる「テクニック」の話になります。

エスキスのコツ(読みとり編)と合わせて活用することで、すべてが機能するでしょう。

後で必ずチェック!

一級建築士:エスキスがまとまらない受験生に贈るコツ(読みとり編)

その①:ゾーニングのコツ

記事の難易度:★★★☆☆

注目!

ゾーニングは、横断歩道の位置を起点にする。

敷地図を見たときには横断歩道の位置を必ず確認しましょう。

各フロアのゾーニングはすべて、横断歩道の位置により左右されるからです。

ゾーニングのコツ

  1. 横断歩道の近くに「出入口」を置く。
  2. 横断歩道から最も遠い位置に「大空間」を置く。
  3. 大空間と「管理部門」は並べて配置する。
  4. 横断歩道から離して駐車スペースを配置する。
  5. 「屋外テラス」はアプローチと兼用させる。
  6. ボリュームに沿って動線ラインを引く。
  7. 室面積の大きな部屋を一番奥に入れる。

ゾーニングは横断歩道の位置を起点に配置する順番があります。

ここからは、実践を通して説明していきましょう。

横断歩道の位置を確認する

横断歩道の位置を確認する

まず始めに、ゾーニングの起点となる横断歩道の位置を確認しましょう。

横断歩道の近くに出入口

横断歩道の近くに出入口を置く

出入口は建物の中央より少し”横断歩道に寄った位置”に置きます。

横断歩道から離して大空間

横断歩道から最も遠い位置に大空間を置く

自分自身が出入口に立ってみて、その目線から”最も奥の位置”に大きなボリュームを置きましょう。

大きなボリュームはまとめる

大空間と管理部門は並べて配置する

管理部門もひとつの大きな部屋(ボリューム)として捉えましょう。

大きなボリュームはまとめて配置することで、廊下のラインも真っすぐとなります。

駐車場を分けるパタン

駐車場を分けるパタン

敷地が2面道路に接道している場合は、基本的には利用者用とサービス用は別々に計画します。

駐車場をまとめるパタン

駐車場をまとめるパタン

敷地が2面道路に接道している場合でも、利用者用とサービス用をまとめることは可能です。

課題条件によっては、このような対応を迫られることもあるので考えに入れておきましょう。

どのようなケース?

  • 要求される駐車場の台数が少なく、1ヵ所にまとめられるとき
  • 北側に河川や公園などがあり、利用者の諸室に眺望の条件が指定されたとき
  • 敷地の幅が狭く、建築可能範囲を幅一杯(ヘリあき含む)まで広げたいとき

屋外テラスは横断歩道に寄せる

屋外テラスは横断歩道に寄せる

駐車スペースの横に屋外テラスを置くことで、配置計画がコンパクトに収まります。

屋外テラスはアプローチと兼用してもよい

「屋外テラス」はアプローチと兼用させる

あくまでの条件指定がないケースに限りますが、任意によりアプローチと兼用しても構いません。

北側に公園があったとしても条件指定がない場合は、道路側に屋外テラスを置くことをお勧めします。

屋外テラスはアプローチと兼用させたほうが、配置計画が全体的にコンパクトにまとまるからです。

後づけの理由として、「人通りが多いメイン道路に向けて、屋外テラスの賑わいを創出した。」とすれば自然ですよね?

動線ラインを引く

ボリュームに沿って動線ラインを引く

廊下は直線状となり、動線が短くなるように引きます。

部屋を配置するイメージ

室面積の大きな部屋を一番奥に入れる

プランニングの話にはなりますが、「大きな部屋は一番奥に入れる」という考え方は共通となります。

3階に屋上庭園
(大空間の上に重ねる)

3階に屋上庭園(大空間の上に重ねる)

屋上庭園が3階に要求されている場合は大空間の上に重ねるイメージをしておきましょう。

2階に屋上庭園
(大空間の横に並べる)

2階に屋上庭園(大空間の横に並べる)

屋上庭園が2階に要求されている場合は大空間の横に並べるイメージをしておきましょう。

・・・以上が「ゾーニングのコツ」となります。

横断歩道の位置を起点にしたゾーニングのコツは、片面道路や対面道路においても応用が利きます。

すべての課題に共通して使えるものなので、ぜひマスターしておきましょう。

ゾーニングのコツ

ゾーニングは、横断歩道の位置を起点にする。

その②:コアの位置を決める方法

記事の難易度:★★★☆☆

プランニングを進める途中で、コアが邪魔になって何度も移動した経験はありませんか?

コアのあるある話

  1. コアが邪魔で部屋が入らない。
  2. コアの位置を移動する。
  3. 他のフロアのコアも一緒に動く。
  4. 移動先のフロアでプランに支障が生じる。
  5. 移動先のプランを修正するが、またコアが邪魔になる。
  6. 移動先のフロアのコアの位置を移動する。
  7. 他のフロアのコアも一緒に動く。
  8. また移動先のフロアでプランに支障が生じる。
  9. また移動先のプランを修正するが、またコアが邪魔になる。
  10. また移動先のフロアのコアの位置を移動する。

・・・「いつまで続のか?この悪夢のルーティーン」

ここからは”失敗しない”コア位置の決め方をお伝えします。

コツを習得して悪夢のルーティーンとは、お別れしましょう。

もうコア位置で迷わない!

  • 1階の動線ラインを引く。
  • 2階の動線ラインを引く。
  • 1階と2階の動線ラインが上下階で交差する。
  • コアの位置の候補は動線ラインの交差部に沿わせる。
  • 奥にボリュームを置く場合のコア位置。
  • 手まえにボリュームを置く場合のコア位置。

コア位置のコツ

1階の動線ラインと2階の動線ラインを交差させて、コア位置の候補を絞り込む。

イラストで紹介するコア位置の決め方は「長辺入り」の建物の例です。

1階の動線ライン

1階の動線ラインを引く

メイン道路に対して直交するように、1階の動線ラインを引きます。

1階上部に2階の動線ライン

1階の動線ライン
2階3階の動線ライン

2階の動線ラインを引く

1階の動線ラインに直交するように2階の動線ラインを引きます。

1階と2階で動線ラインが交差する

1階と2階の動線ラインが上下階で交差する

  • 「長辺入り」アプローチの場合、1階と2階の動線ラインは上下階で交差する。
  • 「短辺入り」アプローチの場合、1階と2階の動線ラインは上下階で同じ方向となる。

コアの位置の候補は
動線ラインの交差部分

コアの位置の候補は4ヶ所

コアの位置の候補は動線ラインの交差部に沿わせる

階段とエレベーターは1階の通路からも2階の通路からも出入りする必要がありますよね?

そのことを踏まえて、上下階の動線ラインが交差する部分に目を向けましょう。

2階・3階の動線ラインについては、補足をひとつ入れておきます。

補足

動線ラインの位置は、大きなボリュームが道路側に向くか、反対側に向くかによって異なる。

奥にボリュームを置く場合
コア位置は動線の交差部の手まえ

コアラインは手まえ

奥にボリュームを置く場合

2・3階の動線ラインはメイン道路から”2スパン目”。

手まえにボリュームを置く場合
コア位置は動線の交差部の奥

コアラインは奥へ

手まえにボリュームを置く場合

2・3階の動線ラインはメイン道路から”3スパン目”。

動線ラインの位置は、大きなボリュームが道路側に向くか、反対側に向くかを考慮して決める。

コア位置のコツ

1階の動線ラインと2階の動線ラインを交差させて、コア位置の候補を絞り込む。

その③:平面検討ツールの使い分け

記事の難易度:★★★☆☆

資格学校のエスキス方針によって平面検討のツールは異なります。

平面検討を進めるにあたって、そのツールの機能を理解しているでしょうか?

ここでは平面検討に使うツールの一長一短の違いや、より良い使い方を提案していきます。

平面検討ツールの違い

  • チビコマ:用紙のスペースを節約しながら、多くのバリエーションが検討できる。
  • バイコマ:チビコマにより構築した平面計画から、より詳細な内部構成へと展開できる。
  • 1/1000プラン:配置計画との整合性を取りつつ、1/400プランを見越した検討ができる。

パフォーマンスは最強!

チビコマ

おそらく誰もが使っている検討ツールといってよいでしょう。

長所は、7m×6コマ → 6m×7コマといったように、スパン数(コマ数)の変更にも対応が効くこと。

基準階検討、スパン割り検討、平面検討のパタン出しに至るまで「汎用性の高い」ツールといえます。

長所

  • 作業性が良く手間が掛からない。
  • いくつものパタン出しが出来る。
  • スパン数の変更にも対応できる。

短所

  • 経済スパンにしか対応しない。
  • プランニングまでは出来ない。
  • 1/400への移行した際にタテヨコ比が狂う。

チビコマとの相性が良い

バイコマ

バイコマは「作業性の良さ」と「スケール感の精度」のバランスの取れたツールです。

また、チビコマからの平面検討図の移行がスムーズという点で、チビコマとの相性の良さも強みであるといえるでしょう。

その反面、用紙のスペースを消費するので書き切れない場合は「1階と2階のみバイコマ検討」というのもオススメです。

長所

  • チビコマで構築した結果を移行できる。
  • チビコマより詳細な平面計画ができる。
  • 長スパンにも3マス使って対応できる。

短所

  • 配置計画との整合性が取れない。
  • エスキス用紙のスペースを消費する。
  • 1/400への移行した際にタテヨコ比が狂う。

配置計画との整合性が取れる

1/1000プランニング

エスキスの段階から1/400プランニングを見越した手法であり、”上級者向け”のツール。

(変則スパンにも制限なく対応可)

タテヨコ比は1/400図と同じなので、テスト的にプランニングを実施することも有効な活用法です。

配置計画との整合性が取れることから、地上の屋外施設の要求に対しても対応力を発揮できる手法といえるでしょう。

長所

  • 配置計画との整合性が取れる。
  • プランニングはテスト的に実施できる。
  • 1/400プランニングへの移行はスムーズ。

短所

  • 検討図の書き出しに手間が掛かる。
  • スパン数の変更には対応できない。
  • パタン出しにはさらに手間が掛かる。

比較表

チビコマバイコマ1/1000プラン
汎用性非常に良い良い普通
作業性速い普通時間が掛かる
配置計画との調整難しい難しい可能
用紙の省スペース節約できる場所を取る節約できる
スパン変更などの対応対応できる対応できる対応は難しい
1/400プランへの移行バランスが崩れるバランスが崩れる移行しやすい
平面検討ツール比較表

平面検討ツールの違い

  • チビコマ:用紙のスペースを節約しながら、多くのバリエーションが検討できる。
  • バイコマ:チビコマにより構築した平面計画から、より詳細な内部構成へと展開できる。
  • 1/1000プラン:配置計画との整合性を取りつつ、1/400プランを見越した検討ができる。

それぞれの平面検討ツールの一長一短について代表的なものを3つずつ挙げてきました。

では、「どのツールを使って検討するのが一番良いのか?」ということが疑問になりますよね?

その答えに関してはチビコマ派、バイコマ派、1/1000プランニング派のそれぞれの視点があります。

それらを踏まえて、私なりに中立的な立場で答えを出しました。

これが答え

・チビコマ+バイコマの組み合わせ

・チビコマ+1/1000プランニングとの組み合わせ

平面検討ツールの使い方

  1. チビコマを使って書き足しを重ねて、平面計画の大枠をつくる。
  2. チビコマで構築した結果をバイコマ又は1/1000プランニングへ移行する。
  3. バイコマ又は1/1000プランニングを使ってリスクを出来るだけ排除する。

1.チビコマを使って書き足しを重ねて、平面計画の大枠をつくる

チビコマの強み

  • 作業性が良く手間が掛からない。
  • いくつものパタン出しが出来る。
  • スパン数の変更にも対応できる。

平面計画の大枠を構築するにあたって、チビコマの強みは全て活かしましょう。

エスキス用紙の限られたスペースの中で、書き足しを進めながら平面の大枠を作っていきます。

2.チビコマで構築した結果をバイコマ又は1/1000プランニングへ移行する

バイコマの強み

チビコマからバイコマへの移行がしやすい。

1/1000プランニングの強み

1/1000から1/400プランニングへの移行がしやすい。

※移行先のツールに関しては、資格学校の方針に合わせるのが無難と言えるでしょう。

注意点

チビコマだけで平面計画を完結させることはお勧め出来ません。

その理由は、「チビコマでは表面化できない」リスクがあるからです。

1/400プランニングに展開したときに、検討ミスが浮き彫りになることは良くあります。

3.バイコマ又は1/1000プランニングを使って、より詳細なところまで詰めていく

バイコマの強み

チビコマより詳細な平面計画ができる。

1/1000プランニングの強み

プランニングはテスト的に実施できる。

修正点は洗い出しておく

この時点では、プランニングを成立させる必要はありません。

あくまでもテスト的に部屋を入れてみて、修正点を洗い出しておくこと。

修正点をメモしておき、修正を反映させながら1/400図へと移行しましょう。

それぞれの検討ツールの強みを組み合わせた方法を紹介しました。

チビコマ!バイコマ!
ここの収まりは、1/1000だろ!

(チビコマ・バイコマ・1/1000 論争)

私としては「チビコマ」は絶対に外せません。

その不足を「バイコマ」又は「1/1000プランニング」で補うことが最適な選択といえるでしょう。

この工程における最大の目的は、1/400プランニングの入るまえの段階で「リスクを排除する」こと。

リスクを持ち越さないためには、チビコマ・バイコマ・1/1000プランニングのそれぞれ精度を高める。

それぞれの長所と短所、使いどころを見極めたうえで活用することで、より完成度の高い平面検討になるでしょう。

チビコママスター

平面計画の検討法

・チビコマ+バイコマの組み合わせ

・チビコマ+1/1000プランニングとの組み合わせ

  1. チビコマを使って書き足しを重ねて、平面計画の大枠をつくる。
  2. チビコマで構築した結果をバイコマ又は1/1000プランニングへ移行する。
  3. バイコマ又は1/1000プランニングを使ってリスクを出来るだけ排除する。

その④:スパン割り検討のコツ

記事の難易度:★★★★☆

平面計画の骨格をつくる過程で、さまざまな寸法を試しては検証するといった工程となります。

ここで時間をしっかり使って完成度を高めておくことで、それ以降はテンポよく走り抜けることが出来るでしょう。

スパン割りを制する

  1. 基準階の検討は、基準階だけでは成立しない。
  2. 建物の間口(X方向)寸法、又は 奥ゆき(Y方向)寸法のいずれかに基準を置く。
  3. 基準階のスパン割りと1・2階のスパン割りとを相互に突き合わせ、マッチングさせる。

スパン割りの決め方

  • 必要な要素を確認する。
  • 基準階の構成を決める。
  • 1・2階との整合性を確保する。
  • 基準階のスパン割りを仮決めする。
  • 1・2階とのスパン寸法の調整を図る。

要求室の特記事項

スパン割り検討に必要な要素とは?

  • 吹抜け
  • 無柱空間
  • 屋上庭園
  • 規則的に配置する複数の諸室

吹抜け以外は、いずれも「要求室の特記事項」に記載されているキーワードです。

スパン割り検討に入るまえに再確認しておくことで、条件の取りこぼしを防ぐ手助けになるでしょう。

基準階の構成を決める

基準階の構成を決める

まず始めに、基準階の部屋の配列をどのような構成にするのかを決めます。

ここが最も重要!

基準階の検討は、基準階だけでは成立しない。

スパン割り検討で失敗する例

  • 基準階だけを見て部屋の配列を決める。
  • 基準階だけを見てスパン割りを決定する。
  • 1・2階のゾーニングを意識していない。

スパン割り検討は低層階と基準階とで相互に確認しながら決めていく必要があります。

そのためには1・2階のゾーニングと見合わせて、基準階の構成を突き合わせるようにしましょう。

1・2階のゾーニング

1・2階との整合性を確保する

要チェック!

  • 屋上テラスの上部に基準階が重なっていないか?
  • 基準階の外形が1・2階の無柱空間に股がっていないか?
  • 基準階のコアの位置が1・2階の動線ラインと整合しているか?

いずれも起こりがちな、あるあるの「やらかした」失敗例です。

基準階のスパン割り

基準階のスパン割りを仮決めする

建築可能範囲と見合わせながら、部屋の配列と整合するスパン割りを仮決めします。

スパン割りを検討するポイント

建物の間口(X方向)寸法、又は 奥ゆき(Y方向)寸法のいずれかに基準を置く。

スパン割りは闇雲に色々と検討するのではなく、選択肢を絞り込むことが必要です。

いずれかに基準を置く

  • 建物の間口(X方向)寸法を決めてから、奥ゆき(Y方向)寸法を調整する。
  • 建物の奥ゆき(Y方向)寸法を決めてから、間口(X方向)寸法を調整する。

低層階のスパン割り

1・2階とのスパン寸法の調整を図る

基準階のスパン割りが仮決め出来れば、次に1・2階との調整を図りましょう。

スパン割り検討に必要な要素

  • 吹抜け
  • 無柱空間
  • 屋上庭園

立体構成の要素となる吹抜け・無柱空間・屋上庭園の位置やサイズ(面積)を突き合わせます。

基準階と低層階とを相互に試算しながら、マッチングするようなスパン寸法を探っていきましょう。

ここは手間と時間を要する工程にはなりますが、おろそかにすると後で必ず痛い目にあいます。

スパン割り検討のコツ

  1. 基準階の検討は、基準階だけでは成立しない。
  2. 建物の間口(X方向)寸法、又は 奥ゆき(Y方向)寸法のいずれかに基準を置く。
  3. 基準階のスパン割りと1・2階のスパン割りとを相互に突き合わせ、マッチングさせる。

その⑤:平面計画の進め方

記事の難易度:★★★☆☆

一発勝負ではない

  • 平面の検討は、一発勝負で決めようとしないこと。
  • 平面の検討は、消しゴムを使うことなく書き足しを重ねる。
  • 修正をする際は、修正まえの過程を残しながら可能性を絞り込む。

平面検討は一発勝負で決めるものではありません。

いくつかパタン出しをして、何度か調整を図りつつ修正を重ねて形にしていくもの。

その作業を進めるうえで、ひとつだけ守ってほしいことがあります。

消しゴムは使わない

注意!

消しゴムを使わないこと。

なぜ、消しゴムをつかうことがダメなのか?

それまでの思考プロセスが「リセット」されるからです。

エスキスがまとまらない人ほど消しゴムをよく使う傾向があります。

消しゴムは使えば使うほどクセになってしまうものですよね?

思考がまとまらない

  • 1から組み立てる
  • 消しゴムでリセット
  • また1から組み立てる

これの繰り返しなってしまうので、まとまらないですよね?

まったく使うことなくエスキスを仕上げるのは難しいですが、消しゴムに頼るクセは直しましょう。

平面計画の進め方(実践)

A-2サイズの用紙の中で平面検討に使えるスペースは限られています。

その中でチビコマ、バイコマ、1/1000プランニングは効率良く仕上げたいですよね?

ここからは消しゴムを使うことなく書き足しによってまとめる方法についてお伝えしましょう。

(イメージを分かりやすく伝えるための例としてバイコマを使っています。)

ポイント

  • その都度、「客観的な視点」で見返してみること。
  • 修正する場合は、その「足跡」を残しておくこと。
  • 自身のスケッチを赤ペンなどでセルフ添削してみる。

敷地図に書き込んでみる

ファーストスケッチ(1回目)

エスキス用紙に書き出すまえに、問題用紙に記載してある敷地図を活用します。

周辺環境も丁寧に記載されているため、配置計画との整合性は確保できるはず。

「1階フロアだけ?」と思われるかもしれませんが、その効果は十分といえるでしょう。

スケールにとらわれず、素案として書き出してみることで失敗リスクを排除できることもあります。

ごく薄の線でスケッチしてみる

セカンドスケッチ(2回目)

敷地図に描いたスケッチをもとに、エスキス用紙に転記します。

このときに修正案などがあれば、それを反映させながら書き写しましょう。

いきなりボールペンとかではなく、ごく薄の線でエスキス用紙に書くようにして下さい。

少しずつ濃い線で重ね書きする

スケッチの修正(3回目)

ごく薄の線で描いたうえから、少しずつ線を濃くして”上書き”しながら調整していきましょう。

集中している中での連続的な作業とはなりますが、精度を高めるポイントがひとつだけあります。

ワンポイント!

その都度、「客観的な視点」で見返してみること。

修正を重ねるたびに「客観的な視点」をもって見返すクセをつけておきましょう。

違う視点から見返すことで「少数派のプランになること」を避けることができるようになります。

修正箇所を色ペンで書き込む

スケッチの修正(4回目)

大きな修正が必要であれば、赤ペンなどで「セルフ添削」をしましょう。

自分が「他人のプランを添削する」つもりで、積極的に書き込むことでエスキスの精度も高まります。

ここがねらい!

赤ペンで添削するという行動によって、自然と”客観的な視点”に切り替わる。

ワンポイント!

修正する場合は、その「足跡」を残しておくこと。

修正が必要なときは消しゴムではなく、重ね書きによって修正した足跡を残しておくこと。

その理由は「自分がどのような考えで、どう筋道を踏んで修正したか?」を後で見返すためです。

もうひとつ枠をつくって清書する?

スケッチの修正(5回目)

敷地図への書き込みから、赤ペンの添削に至るまで計5回の平面検討をしてきました。

この段階で不安がある場合は、もうひとつ枠を描き出して6回目の検討をしてみても良いでしょう。

そのまま1/400プランへ移行する

1/400プランへの移行(5回目)

赤ペン添削をしてみて、その修正さえ出来れば「完璧なプランニングとなる」のであれば清書は不要。

その場合、1/400図へ移行すると同時に「添削部分の修正を反映させる」ことで、ひと手間を省けます。

ポイント

  • その都度、「客観的な視点」で見返してみること。
  • 修正する場合は、その「足跡」を残しておくこと。
  • 自身のスケッチを赤ペンなどでセルフ添削してみる。

平面検討をまとめるコツ

  • 平面の検討は、一発勝負で決めようとしないこと。
  • 平面の検討は、消しゴムを使うことなく書き足しを重ねる。
  • 修正をする際は、修正まえの過程を残しながら可能性を絞り込む。

その⑥:プランニングのコツ

記事の難易度:★★★☆☆

プランニングはパズルでは?と思ってませんか。

パズル感覚では、いつまでやっても解けません。

簡単な攻略法がありますので、ぜひ習得しておきましょう。

プランニングのコツ

部屋を置き、廊下を通し、部屋を置く。

  • 大きな部屋を置く。
  • 部屋に沿って廊下を通す。
  • 廊下に沿って残りの部屋を置く。

プランニングのコツ

プランニングのコツ

  1. 出入口の位置を決める。
  2. 大きなボリュームを奥へ入れる。
  3. ボリュームに沿って動線ラインを引く。
  4. 動線ラインに沿ってコアを配置する。
  5. 動線ラインに沿って部屋を配置する。

出入口の位置を決める

出入口の位置を決める。

まず始めに、プランニングの起点となる「出入口」の位置を決めます。

ゾーニングでもお伝えした通り、建物の中央より少し”横断歩道に寄った位置”が良いでしょう。

大きなボリュームを奥へ入れる

大きなボリュームを奥へ入れる。

自分自身が出入口に立ってみたうえで、出入口から最も遠い位置に大きなボリュームを置きます。

ボリュームに沿って動線ラインを引く

ボリュームに沿って動線ラインを引く。

ボリュームの位置が決まれば、動線ラインも決まります。

動線ラインに沿ってコアを配置する

動線ラインに沿ってコアを配置する。

スタンダードなコアの位置としては、建物の両端よりも1スパン内側に置きましょう。

そうすることで、両端に広い空間が出来ますので床面積100㎡ほどの部屋はそこに収まります。

動線ラインに沿って部屋を配置する

動線ラインに沿って部屋を配置する。

部屋を置き、廊下を通し、その後に残りの部屋を置いていきましょう。

シンプルな課題であれば、プランニングがあっという間に片付きます。

【直線状の廊下】

「ボリュームの大きい大空間が要求される」ケースの動線ライン。

【ループ状の廊下】

「ボリュームは小さく、部屋の数だけが多く要求される」ケースの動線ライン。

プランニングのコツ

部屋を置き、廊下を通し、部屋を置く。

室の収め方の違いについて

比較してみよう

  • 出入口を視点に大きな部屋を奥から配置した場合(左)
  • 出入口を視点に大きな部屋を手まえから配置した場合(右)

部屋の収め方を比較する

通路の形状に違いが生じる

共用部のゆとりに差が生まれる

通路の距離の差が効いてくる

エントランスホールにしわ寄せが来る

ここで差が生まれる!

  • 条件指定の部屋はコントロール出来ない。
  • その他の部屋についてはコントロールが出来る。
  • 出入口に視点を置き、奥から部屋を押し込んでいく。

部屋の置き方のコツ

出入口を視点に大きな部屋を奥から配置して、手まえに来るに連れて小さな部屋を配置する。

その⑦:プランニングの修正のコツ

記事の難易度:★★★☆☆

さきほどのプランニングのコツを踏まえて調整方法もお伝えします。

修正のコツまで習得していただければ、もはや「プランニングマスター」といってよいでしょう。

プランニングマスター

プランニング修正のコツ

  • 部屋と部屋を置き換える。(修正効果★★★)
  • まとめてスライドさせる。(修正効果★★★)
  • 部屋の向きを回転させる。(修正効果★★☆)
  • 部屋の形状を伸縮させる。(修正効果★☆☆)

ポイント

プランの修正は効果の大きい手法から手をつける。

「置き換え」・「スライド」から始めて→「回転」・「伸縮」の順番でおこなう。

置き換える

部屋と部屋を置き換える(修正効果★★★)

こんなときに使える

  • 廊下の経路がクランクしているとき。
  • エントランスホールのデコボコを修正したいとき。

スライドさせる

まとめてスライドさせる(修正効果★★★)

こんなときに使える

  • 同じフロアに共存するA部門とB部門との「境界」を移動させる。
  • 部屋がフロアに入り切らないときに、部屋を中央にスライドさせて奥にスペースをつくる。

回転させる

小手先の修正

部屋の向きを回転させる(修正効果★★☆)

  • サイズの大きな部屋であるほど効果は大きい。
  • 部屋を回転させることで、廊下のクランクが解消されることもある。

伸縮させる

小手先の微調整

部屋の形状を伸縮させる(修正効果★☆☆)

  • 修正の効果は薄く、最後に少しだけ微調整として使う。
  • 部屋が収まり切っていない段階では、その効果はほとんどない。

プランがまとまらない人の傾向とは?

あなたは大丈夫?

プランニングを進めるときに消しゴムが手放せない人は、修正のやり方が間違っているのかも。

「部屋の向きを回転させる」「部屋の形状を伸縮させる」を繰り返している人は当てはまります。

図星かも・・
どんまい。

狭い視野の中でプランニングをしていることで、この2つの修正を何度も繰り返してはいませんか?

これを繰り返すということは、効果の低い修正を繰り返しているだけなのでプランはまとまりません。

その方は視野を広げて、効果の高い修正法「部屋の置き換え」「まとめてスライド」に意識を傾けてみてはいかがでしょうか。

ポイント

プランの修正は効果の大きい手法から

「置き換え」・「スライド」から始めて→「回転」・「伸縮」の順番でおこなう

お疲れ様でした、まとめに入ります。

お疲れくん
お疲れ様でした。

一級建築士:エスキスがまとまらない原因まとめ

時間配分

  • エスキスの前半は思考に費やす時間
  • エスキスの後半は作業に費やす時間
  • エスキスは思考の時間を増やし、作業の時間を縮める

抱え込まない

情報の整理は、エスキスの工程ごとにフォルダ分けする。

必要な情報を全てそろえる

色々な視点から必要なものを集結させて、建物の形を決めていく。

エスキスは課題文の要求から、プランが成立する「可能性」を選択すること。

一級建築士:エスキスの3つのコツ(読み取り編)まとめ

スローガン

読み取りを制する者は、エスキスを制する!

情報処理スキル

  1. 情報の先取り
  2. 情報の仕分け
  3. 情報の見える化

情報の先取り

  • 答案用紙Ⅰ・Ⅱに目を通しておく。
  • 課題文は、要求図書の「特記事項」から先に読む。
  • 課題文の読み解りは受け身ではなく、先回りして攻める。

読み取りの順序

  1. 作図用紙
  2. 計画の要点
  3. 要求図書の特記事項
  4. 課題文の敷地図
  5. 屋外施設
  6. 設計条件
  7. 本格的な読み取り

課題文の読み取りに順序をつけて、入ってくる情報量をコントロールする。

立体構成を決めるコツ

  1. 屋上庭園の設置フロアを視点に無柱空間と「重ねる」「並べる」のどちらかに決める。
  2. 立体構成を考えるうえで、管理部門も「ひとつの大きな部屋」と捉えることができる。
  3. 屋上庭園、無柱空間、管理部門の「組み合わせ方」によって、立体構成を成立させる。

情報の仕分け

課題文のキーワードはその都度、工程ごとにフォルダ分けする。

課題文から読み取ったキーワードは、エスキスのレイアウトをもとに各工程にメモ書きする。

情報の見える化

  • 色分けすることで、複雑な情報を整理できる。
  • 視覚的な描写を加えることで、記憶に残りやすくなる。
  • 絵にする・図にすることで、情報を視覚的に素早く読み取れる。

読み取り力をアップさせる方法

【特記事項】

引用元:建築技術教育普及センター

トライしてみよう!

  • 特記事項を見て、敷地図を見る。
  • 特記事項を見て、屋外施設を読む。
  • 特記事項を見て、要求室の表を読む。

一級建築士:エスキスの7つのコツ(プランニング編)まとめ

ゾーニングのコツ

ゾーニングは、横断歩道の位置を起点にする。

コア位置を決めるコツ

1階の動線ラインと2階の動線ラインを交差させて、コア位置の候補を絞り込む。

(チビコマ・バイコマ・1/1000 論争)

平面検討ツールの比較

  • チビコマ:用紙のスペースを節約しながら、多くのバリエーションが検討できる。
  • バイコマ:チビコマにより構築した平面計画から、より詳細な内部構成へと展開できる。
  • 1/1000プラン:配置計画との整合性を取りつつ、1/400プランを見越した検討ができる。

平面検討ツールの使い方

・チビコマ+バイコマの組み合わせ

・チビコマ+1/1000プランニングとの組み合わせ

スパン割りを決める要素

  • 吹抜け
  • 無柱空間
  • 屋上庭園
  • 規則的に配置する諸室

スパン割り検討のコツ

  1. 基準階の検討は、基準階だけでは成立しない。
  2. 建物の間口(X方向)寸法、又は 奥ゆき(Y方向)寸法のいずれかに基準を置く。
  3. 基準階のスパン割りと1・2階のスパン割りとを相互に突き合わせ、マッチングさせる。
  • 建物の間口(X方向)寸法を決めてから、奥ゆき(Y方向)寸法を調整する。
  • 建物の奥ゆき(Y方向)寸法を決めてから、間口(X方向)寸法を調整する。

平面検討の進め方のコツ

  • 平面の検討は、一発勝負で決めようとしないこと。
  • 平面の検討は、消しゴムを使うことなく書き足しを重ねる。
  • 修正をする際は、修正まえの過程を残しながら可能性を絞り込む。
プランニングマスター

プランニングのコツ

部屋を置き、廊下を通し、部屋を置く。

出入口を視点に大きな部屋を奥から配置して、手まえに来るに連れて小さな部屋を配置する。

プランニングの修正のコツ

プランの修正は効果の大きい手法から手をつける。

「置き換え」・「スライド」から始めて→「回転」・「伸縮」の順番でおこなう。

エスキスは常にアップデート

「エスキスのコツ」を読破していただき、本当にお疲れ様でした。

バラエティーに富んだコツが多すぎて、すでに一杯一杯かと思われます。

そして、ここまで読破されたあなたは強靭なメンタルと集中力の持ち主です。

私のメンタルは
SRC構造より強い。

読み取りのコツ、プランニングのコツを習得して「エスキスが苦手」から解放されましょう。

あとは行動するだけ、反復練習あるのみ、一級建築士へのゴールはあともう少しです。

初試験の人、リベンジの人、角番の人、角落ちからの挑戦者すべて、私たちは応援しています。

最後まで記事を読んでいただき、本当にありがとうございます!

毎日がコツコツ、
私も頑張りますよ!

実践!

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