一級建築士製図試験への挑戦が始まりました。
しかし、「何枚描いても作図時間を短縮できない」
練習量だけでは、超えられない時間の壁がありますよね?
- 「定規の作図ではもう限界」
- 「フリーハンドは本当に速いの?」
- 「作図を速くするコツがあれば知りたい」
そのような方々へ「作図の重荷から解放される秘策」知りたくありませんか?
さまざまな作図法にトライした結果、2時間以内で描き切って製図試験に合格した私がお答えします。
「フリーハンドを始めようか迷っている」
「やってみたいけど資格学校のグループで孤立するかも?」
そんな不安をお持ちの方もいますよね?・・・あとで私の体験談を交えてお話しましょう。
作図はフリーハンド
きれいな線を引く
定規はもう要らない
こんな人におすすめ!
- 作図時間を短縮したい
- フリーハンドのコツを知りたい
- フリーハンドに向けて決心に迷っている
製図板を背負い続けて3年、
そろそろ合格したい!
製図試験の特訓、皆さん本当にお疲れ様です。
過酷な日々を送っていることは経験した私にもよく分かります。
受験生なら誰でも作図は速くなりたいですよね?
私は「高速2時間作図法」⇩ についても記事を紹介してます。(参考に)
プランを覚えなくても描ける!
一級建築士が教える本番に強い2時間スピード作図法|イラスト解説付き
そこに先立って、この内容を読んでいただくことで理解度がぐっと高まるでしょう。
記事のメニュー。
一級建築士への挑戦、製図試験は作図時間が勝負!
あなたの心の叫び!
- 「作図が速くなりたい」
- 「作図を早く済ませて課題を終わらせたい」
- 「作図を早くモノにしてエスキスの勉強がしたい」
- 「作図を速くしてエスキスに使える時間を増やしたい」
- 「作図を速くしてチェックの時間を十分に確保したい」
作図が速くなりたい!
そして試験に合格したい!
「作図が速くなりたい」と、私は何度この言葉を叫んだことか数えきれないくらい。
腱鞘炎は、もはや持病。
読者の皆さんがご存知の通り、一級建築士製図試験は所要時間6時間30分の苦しい戦いです。
【試験の構成】
- エスキス
- 計画の要点
- 作図とチェック
私はこの3種目で構成される製図試験のことを「頭脳トライアスロン」と呼んでいます。
製図試験は3種目の
頭脳トライアスロン。
ここでは製図試験の時間配分について確認しておきましょう。
理想的な時間配分
エスキス | 記述 | 作図 | チェック | |
---|---|---|---|---|
合格! | 2.5h | 1h | 2.0h | 1h |
あなたはどの状況?
エスキス | 記述 | 作図 | チェック | |
---|---|---|---|---|
合格! | 2.5h | 1h | 2.0h | 1h |
微妙? | 2.5h | 1h | 2.5h | 0.5h |
不安・・ | 2.5h | 1h | 3h | 終了 |
(最終チェックの時間の確保が合否の明暗を分けます。)
こんな人もいるのでは?
エスキス | 記述 | 作図 | チェック | |
---|---|---|---|---|
危険!? | 2h? | 1h | 3h | 0.5h |
合格できるかどうかは
神に祈るしかない。
誰もが「合格できる!」という景色に向かっていきたいはずです。
合格するための方程式
「エスキスの精度」+「作図時間の短縮」+「チェックの時間確保」=「合格できる!」
エスキスにかかる時間は、試験の難易度によっても左右されるため、分かりません。
しかし、作図時間だけはどの年度においても、それほど変わることはありませんよね?
本試験では、想定外の出題によりエスキスに時間が掛かったとしても、作図が速い人はそのスピードで巻き返せます。
受験生にとって作図時間の短縮はメンタルの強さであり、合格をたぐり寄せるためのエネルギーとなるでしょう。
作図への情熱は
誰にも負けないぜ。
一級建築士への挑戦、作図時間を短縮する3つの方法
記事の難易度:★★★☆☆
私がトライした作図法
- 並行定規
- ハンドドラフト
- フリーハンド
「何枚図面を描いても作図時間が縮まらない」と私も伸び悩んでいた時期がありました。
いつも作図は3時間切れなかった私ですが、色々な作図法にトライすることで2時間以内まで短縮することができました。
(1時間以上の短縮です、信じられません。)
早速ですが、作図時間を短縮する方法について3つ紹介します。
先に言っておきますが、「プランを覚える」なんてことは言いません。
それが出来れば
苦労しないって!
作図時間を短縮する方法
- 道具の種類を減らして無駄な動きを省くこと。
- 三角テンプレートをドラフト代わりに活用する。
- 綺麗に描くことをあきらめてフリーハンドでいく。
1.道具の種類を減らして無駄な動きを省くこと
図面をきれいに仕上げるために、製図道具を必要以上に増やしている方もいるかもしれません。
しかし、作図を速く仕上げるという視点から見るとそれは全くの逆効果となります。
アイテム数が増えた人
- 道具を探すのに時間が掛かる。
- 道具を持ちかえる手間が増える。
- 作業スペースが狭くて物を落とす。
シャーペンを持ち替えたり、道具を落として探している時間は、作図が一歩もまえには進みません。
道具が増えると
身体の負担も大きい。
道具の種類を減らした結果
- 作図に集中できる。
- 手間と時間のロスを減らせる。
- 物を落とすリスクを減らせる。
作図時間を短縮するには、道具の種類を最小限に抑えて時間のロスを減らすことから始めましょう。
2.三角テンプレートをドラフト代わりに活用する
この方法は、私が定規で作図をしていた頃に考案したものです。
(私が個人的につけた名称:ハンドドラフト)
作図工程の中でも最も時間を要する”壁線”を攻略するための手法となります。
- 左手に三角テンプレートを下向きに、右手にシャーペンを構える。
- タテ方向のラインは上から下に、ヨコ方向のラインは右から左へ線を引く。
- 三角テンプレートの移動はタテヨコに回転させるのではなく、水平移動だけにする。
タテ線とヨコ線は定規の直角部分を起点にして切り換える。
この作図法の最大の強みはタテ方向とヨコ方向の線を交互に引けること。
つまり、狭い範囲を集中的に作図することで壁線を効率的に書き込むことが出来るようになります。
タテヨコ線の動き
クリックすると開きます。
ここが大事です。
三角テンプレートの移動はタテヨコに回転させないこと。
タテ方向とヨコ方向の線を交互に書き込めるとはいっても、そのたびに定規の向きを回転させると、その動きの分だけロスが増えてしまいます。
テンプレートの移動は水平方向だけにすることで、定規の動きのロスを最小限に減らすことが出来る。
「三角テンプレートは水平移動だけにする」これが正解となります。
三角テンプレートを
身体の一部にしたい。
そんなことしたら
普通に生活できないよ。
無駄な動きの
ロスを減らすこと。
テンプレートの押え方によって線が少し傾くかもしれませんが、見栄えとしては気になりません。
この手法をマスターすることにより、少なくとも壁線の作図において並行定規は必要なくなります。
誰でもマネしやすい方法なので作図時間を短縮したい方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
必殺技、ハンドドラフト!
3.綺麗に描くことをあきらめてフリーハンドでいく
道具の種類を減らして無駄な動きを省く、その最たるものが「フリーハンド」となります。
作図時間を短縮するためなら図面の見栄えをあきらめることも、ひとつの選択といえるでしょう。
知っていますよね?
課題文には「フリーハンドでもよい」と書かれている。
マジっすか!?
フリーハンドは定規の概念にとらわれない自由な描き方ができます。
定規では成しえないポテンシャルを発揮できるフリーハンド作図ですが、受験生の中ではまだまだ少数派といえるでしょう。
フリーハンド作図法(3つのコツ)については記事の後半で、イラスト付きでお伝えします。
- 道具の種類を減らして無駄な動きを省くこと。
- 三角テンプレートをドラフト代わりに活用する。
- 綺麗に描くことをあきらめてフリーハンドでいく。
作図時間を短縮する方法としては、1.道具を減らすことから始めます。
1.がダメなら2. → 2.がダメなら3.という順序でトライしていくのが良いでしょう。
(手っ取り早く、フリーハンド一本勝負というのもアリです。)
作図は素手で勝負!
フリーハンドでいくぞ。
プランを覚えなくても描ける!
一級建築士が教える本番に強い2時間スピード作図法|イラスト解説付き
一級建築士への挑戦、フリーハンドの3つのメリットデメリット
記事の難易度:★★★★★
フリーハンドの作図は、挑戦したことがない人にとっては未知の領域といえるでしょう。
ここから先は、「フリーハンド作図法」について焦点を当てて説明していきます。
- フリーハンドは定規より作図が速い
- フリーハンドのメリット・デメリット
- フリーハンドで作図したほうが速いもの
フリーハンドは定規より作図が速い
「フリーハンドは平行定規よりも作図スピードが速い?」と不思議に思われるかもしれません。
イメージとしては定規を使ったほうが、速くて綺麗な図面が描けるような気がしますよね?
ここではフリーハンドが定規よりも作図スピードが速い理由について説明しましょう。
その理由については「作図環境」と「作図要領」の2つの側面があるといえます。
フリーハンド
本当に速いの?
・作図環境の違い
フリーハンド | 平行定規 | |
---|---|---|
図面の扱い | 図面は自由に動かせる | 図面は固定されている |
道具の扱い | 図面の上に物を置いても描ける | 図面の上に物を置くと描けない |
身体への負担 | 図面は自由に動かせるので 座ったままの姿勢で描ける | 図面を動かせないので 中腰のまま描き続けることもある |
姿勢は気合いで克服。
集中、集中!
フリーハンドは
座った姿勢で描ける。
【図面の扱い】
フリーハンドの大きな強みとしては”図面を自由に動かせる”ということ。
図面をてまえに寄せたり回転させることもできるので、姿勢を変える必要もなく作業性が高まります。
フリーハンドは
身体にもやさしい。
【道具の扱い】
平行定規では図面の上を定規がスライドする構造のため、製図板の上にも物を置くことができません。
そのためエスキス用紙は平行定規のとなりに広げて置くことになり、図面を描く最中に何度も体勢をずらして”プランのチラ見”をするようになります。
チラ、チラ・・・
作図に集中できない。
フリーハンドになると制約がないため、図面の上にエスキス用紙を広げることも出来ますよね?
製図板の上に消しゴムを転がしても支障がないため、修正する際にも消しゴムを探したりといった手間をとられません。
【身体への負担】
フリーハンドの作図では用紙を自由に動かせるので、座ったままの姿勢で図面を描きつづけることが可能です。
それに対して平行定規の場合は図面が固定されているため、平面図の位置によっては中腰のまま描き続けることになります。
長時間にわたって図面を描き続けた結果、腰を痛めるということもよくありますよね?
腰が、腰がつらい。
- 道具に使われる自分に疲れる。
- プランを覚えることを余儀なくされる。
- 腰の痛みに悩まされて作図の練習が継続しづらい。
平行定規の場合では、このような作図環境によるデメリットが大きいのです。
(私自身も並行定規を使っているときは、腰痛が持病となっていました。)
フリーハンドの作図に変えた場合、そのようなデメリットをすべて解消することが出来るでしょう。
もう腰が限界・・
明日は練習を休もう。
・作図要領の違い
フリーハンド | 平行定規 | |
---|---|---|
感触 | 感覚的 | 機械的 |
作業性 | 道具に縛られない | 道具の縛りが多い |
時間のロス | 線を引くスピードは速くない | 定規の移動に時間をとられる |
【感触】
「フリーハンドの作図はお絵描きみたい」という印象も強いかと思いますよね?
”自分のイメージ”と”図面を描く手の動き”がリンクしているため、作図の手が進みます。
そういった意味では”作図が楽しくなる”ことにより、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
フリーハンドは楽しいね!
鼻歌を歌いながら、
作図も楽しくなるさ♬
【作業性】
フリーハンドは道具の持ち替えや使いようなどの制約がありません。
その強みはなんといっても”壁線”を書くときに、”定規との差”が明確に出るのです。
壁線は不規則な短い線の集まりなので、線を引くスピードは遅くても自由に描き進められます。
プランを見ながら描きたい範囲を集中して描けるので、作業効率も良いといえるでしょう。
フリーハンドは
作図がとても楽になる。
並行定規はさまざまな局面において、道具の移動にしばりがあるのが定め。
そのために「タテ線とヨコ線をそれぞれ連続して描くという謎のルールにふり回される」ということが起こります。
「タテ線とヨコ線をまとめて描くことで並行定規を移動する回数を減らそう」という対策は何ともいえません。
そのような理不尽なルールにしばられる作図法なんて、やっても楽しくないですよね?
考えるだけで
眼がまわりそう。
【時間のロス】
「フリーハンドの作図では線を速く描くことは出来ないのでは?」
線を引くスピードだけを考えると、定規のほうが速いように思えるかもしれません。
しかし、それ以上に平行定規の移動に要する時間ロスのほうが大きいということはご存知でしょうか?
フリーハンド | 平行定規 | |
---|---|---|
線を引く速さ | ゆっくり丁寧な速さ | 速い |
定規の移動に要する時間 | なし | 移動のロスが大きい |
並行定規のほうは
移動のロスが大きすぎる。
並行定規による作図要領のデメリットは「定規の移動ロスが大きい」ということ。
作図時間の短縮というと線を引くスピードに意識がいってしまいがちです。
しかし、線引きの動作を速くしても作図時間はあまり変わりません。
それよりも定規の移動ロスを減らすほうが作図時間の短縮効果は大きいといえるでしょう。
定規の移動に時間がとられる💦
フリーハンドは定規よりも作図が速いということはお分かりいただけましたでしょうか?
定規に縛られることなく、自由に描けるスタイルはモチベーションの維持にもつながるでしょう。
フリーハンド最高!
フリーハンドのメリット
メリットとその効果
メリット | その効果 |
---|---|
片手で描ける | もう一方の手が使える |
エスキス用紙を置ける | プランを覚える必要がない |
どこでも練習できる | すきま時間を活用できる |
・片手で描ける
フリーハンドは”片手のみ”で描けることが、ひとつのメリット。
シャーペンを握らない”もう一方の手”も常にフリーハンドとなります。
・エスキス用紙を置ける
”もう一方の手”も常にフリーハンドとなるとは「片手が空く」ということ。
そうなると、エスキス用紙を広げてプランを見ながら描くこともできるようになります。
図面の上もフリースペースとなり、消しゴムやテンプレートなども自由に置くことが出来るのです。
右手で描く人は
左手が自由に使える。
フリーハンドが
凄くうらやましい。
・どこでも練習できる
製図板がなくても図面が描けるのがフリーハンド。
方眼紙と作業スペースがあればパーツトレーニングなど、すきま時間を使った練習も可能ですよね?
作図においては、覚えたかたちをフリーハンドで”そのまま”アウトプットするだけなので、何も考える必要はありません。
もうプランは
覚えなくても良い。
フリーハンドのデメリット
デメリットとその影響
デメリット | その影響 |
---|---|
握力が必要 | 腱鞘炎になりやすい |
線が曲がりやすい | 採点には影響がない |
マニュアルがない | すべては自己責任 |
・握力が必要
フリーハンドで線を引くにはそれなりに握力が必要です。
そのため、フリーハンドだけで図面を描き続けると腱鞘炎になることがあります。
腕が吊りそう・・・
・線が曲がりやすい
フリーハンドは波打つような曲がった線になりがちですよね?
壁線を描くときの”柱から柱までの1スパン長さ”の線を引くときによく起こります。
しかし、これは見栄えだけの問題であって図面の採点上は特に影響はありません。
長い線となると
やっぱり描きにくい。
・マニュアルがない
フリーハンド作図の最大のデメリットはマニュアルが存在しないこと。
これは自分でフリーハンドを追求して自らマニュアルを作るしかありません。
すべては「自己責任」です。(定規の作図でも同じです。)
後半では「フリーハンドのコツ」についてお話しますので、そちらがマニュアルとなれば幸いです。
腕が、腕が・・
腱鞘炎になりそう。
フリーハンドで作図したほうが速いもの
- PS、EPS
- 壁線(間仕切り)
- 〇防の〇印
- 室内のレイアウト
- トイレなどの什器
- 植栽などの装飾
- 計画の要点のイラスト
フリーハンドで描いたほうが速いもの=「不規則な短い線の集まりで構成されるもの」
その作図対象について、次の4つを説明します。
- 壁線(間仕切り)
- 壁の補助線は要らない
- 室内のレイアウト
- 計画の要点のイラスト
・壁線(間仕切り)
平面図の間仕切り壁は、その施設によっては複雑な形状となる場合がありますよね?
フリーハンドは小回りが自由なため、入り組んだ壁線の部分も作図の手が入りやすいといえます。
このあたりの作業は並行定規に比べてもっとも差がつきやすい所なので、ぜひトライしましょう。
フリーハンドの特訓中。
・壁の補助線は要らない
並行定規を使って図面を描いている人は「壁の補助線はフリーハンドで」という方も多いですよね?
フリーハンドで図面を描くことを目指す人にとっては、壁の補助線そのものが必要なくなります。
その理由は、左手にエスキス用紙を持ったままプランを見ながら描けるようになるからです。
壁芯の
隅出しも要らなくなる。
・室内のレイアウト
トイレの室内レイアウトや什器などは、すでにフリーハンドを推奨している資格学校もあります。
並行定規のスタイルだと作図量に対して定規の移動回数が意外に多く、時間をとられますよね?
家具や什器などは適度なスケール感で描けてさえいれば、見栄えはそれほど気になりません。
適度なスケール感でOK。
・計画の要点のイラスト
近年では計画の要点についてもイラスト図が要求されることも多いですよね。
実はこのイラスト図に関しても「フリーハンドでもよい」と書かれていることはご存知でしょうか?
近年では、答案用紙Ⅱのイラスト枠にも”ドット”の点が印字されるようになりました。
ドットの点に沿ってフリーハンドで描くことで、そこそこ見栄えの良いイラスト図になりますので、ぜひ活用しましょう。
ハンドドラフトもある。
フリーハンドで作図したほうが速いもの
フリーハンドで描いたほうが速いもの=「不規則な短い線の集まりで構成されるもの」
一級建築士への挑戦、フリーハンドの3つのコツとは?
記事の難易度:★★★★★
ここから先の内容に関しては、私の”感覚”と”主観”の話になります。
フリーハンドで線を真っすぐ引くコツについて
フリーハンドで描く線はどうしても波打ったような線になってしまいがちですよね?
いくら作図時間を短縮するためとはいえ、出来る限りの見栄えには配慮したいもの。
そのコツを知るためにはまず、フリーハンドならではの”クセ”を知る必要があります。
「フリーハンドのクセを知ること」で対策をたてる、それがコツとなるのです。
- フリーハンドの描き方にはクセが出やすい
- フリーハンドのヨコ線とタテ線のクセについて
- フリーハンドのヨコ線とタテ線を真っすぐ引くコツ
・フリーハンドの描き方にはクセが出やすい
よくある例としては、描き始めからグッと握り込んでしまい線が膨らんでしまうこと。
(筆圧の強い人は心当たりがありますでしょうか?)
私自身もこのクセにはしばらく悩まされていました。
からだの仕組みから、どうしても物理的にそうなるのでしょう。
「線が歪んでいると性格まで曲がっている」と思われたくは無いですよね?
クセの対策
線を引くときのコツは「描き始めはゆるく、先に進むにつれて筆圧を強く」していく
線が膨らんでしまう人は、描き始めからグッと握り込むクセを改める必要があります。
「始めはスッと緩く、徐々にグッと押さえる」という感覚を身につけましょう。
この動作は日々の反復練習により身につけられるものなので直せます。
スッと緩く
シュッと引いて、
徐々にグッと押さえる
・フリーハンドのヨコ線とタテ線のクセについて
線が歪んでしまう理由としては「ヨコ線」と「タテ線」のそれぞれにクセがあります。
え!タテとヨコで
クセが違うの!?
ヨコ線のクセとは?
ここでは右利きの人を例に私の感覚も交えてお話ししましょう。
右利き人が描くヨコ線は「右上がりになりやすい」傾向があります。
描き手の肘をひらいた姿勢による身体の仕組みから、どうしてもそうなるのです。
タテ線のクセとは?
タテ線を引くときのクセとしては、線が内側に膨らむところ。
このクセを無理に補正しようと意識すると、今度は線が外側に膨らみます。
フリーハンドにも
メンテナンスが必要
・フリーハンドのヨコ線とタテ線を真っすぐ引くコツ
フリーハンドで線を引くうえで起こりやすいクセについて、お話してきました。
その話(クセ)を踏まえたうえでフリーハンドのコツをお伝えしましょう。
右利きの人に起こりがちな「線が右上がりになるクセ」
その動きに対抗するには、作図用紙そのものを傾けてしまいましょう。
え!それだけ!?
単純すぎるのでは?
ヨコ線を描くポイント
作図用紙そのものを右上がりに傾ける
”作図用紙のマス目の向きにとらわれず”に自然な動作で水平な線を引いてみましょう。
・・・自然な動作で真っすぐ線が引けませんか?
無理なく水平な線が
描けるような気がする。
忘れてませんか?
線を引くときのコツは「描き始めはゆるく、先に進むにつれて筆圧を強く」していく
完全に忘れてた。
真っすぐ引けなかった人は、さきほど⇧お伝えしたコツを思い出してトライしてみましょう。
方眼のマス目が傾いたことで「右上がりに線が向くクセ」と合わさって、マス目に沿った水平な線になるかと思います。
タテ線にもトライ
同じ要領で、タテ線を”作図用紙のマス目の向きにとらわれず”に自然な動作で線を引いてみましょう。
タテ線を描くポイント
線を手まえに引くときに手首を少しだけ浮かせてみる
タテ線を引くときに手首を少しだけ浮かせてみましょう。
そうすることで”手もとにゆとりができる”ため、線のずれが小さくなるかと思います。
少し慣れは必要ですが、こちらも日々の反復練習で身につけることが出来るでしょう。
おおお・・
新鮮な感覚。
フリーハンドの3つのコツ
- ヨコ線:作図用紙そのものを右上がりに傾ける
- タテ線:線を手まえに引くときに手首を少しだけ浮かせてみる
- 線を引くときのコツは「描き始めはゆるく、先に進むにつれて筆圧を強く」
この3つのコツを意識すればフリーハンドは変わります。
紹介したコツは、どれも真似しやすいものばかりですよね?
すきま時間のどこでも、紙と鉛筆さえあれば練習が出来るはず。
作図時間を短縮したい方はぜひ、反復練習を習慣にしましょう。
フリーハンドのコツ
特訓あるのみ!
フリーハンドで什器や家具をきれいに描くコツについて
フリーハンドを活用しましょう。
- トイレの便器の描き方
- カフェのテーブルの描き方
- フリーハンドで描ける線の長さ
・トイレの便器の描き方
フリーハンドで楕円の形を描くのは意外に難しいですよね?
楕円の描き方は、曲線の経路の真ん中から書き始めるようにすることで、自然な動作できれいな楕円が描けます。
・カフェのテーブルの描き方
カフェのテーブルはテンプレートを使って、丸椅子はフリーハンドという方も多いですよね?
フリーハンドで四角を描くときは、ひし形:◇にテーブルにすることで線のゆがみが”目立ちにくく”なります。
テーブルはひし形:◇のフリーハンド、丸椅子もフリーハンドとすれば道具はいっさい要りません。
・フリーハンドで描ける線の長さ
フリーハンドのコツにより作図のポテンシャルは飛躍的に高まりますよね?
どこまでも際限なくいきたいところですが、フリーハンドとはいえ限界はあります。
それは、真っすぐ描ける線の長さには限りがあるということ。
フリーハンドの限界長さ
フリーハンドで描ける限界の長さは「X方向6マス」「Y方向4マス」
短くない?
限界の長さについて「意外と短い」と思われますよね?
そこがフリーハンドの弱点とはなりますが、あくまでも線が”真っすぐ引ける”限界があるということ。
見栄えを気にしないのであれば、さらに距離を延ばすことは自由といえます。
フリーハンド
微妙かも・・
しかし「フリーハンド作図法で速く、なおかつ綺麗な図面を描きたい」という方であれば、この限界の長さは知っておきたいところですよね?
「X方向6マス」「Y方向4マス」という短い距離ではありますが、通り芯以外のほとんどのモノはこの長さで描き切れるでしょう。
それ以上の長い直線にはどう対応するのか?
ここで活用するのが三角スケールに付属している短い定規となる「副尺」になります。
ちっちゃい。
「こんな小さいヤツ、いったいどこで使うの?」というあの定規ですよね?
三角スケールの副尺を使うことで、10マスくらいの長さまで描くことができます。
- 製図板の上に転がしておく
- 左手にエスキス用紙と一緒に握りしめる
サイズも小さいので、扱いも便利なツールとなります。
「右手はフリーハンド」「左手には三角スケの副尺」という作図スタイルも可能でしょう。
テンプレートもあるぞ。
お疲れ様でした、まとめに入ります。
一級建築士への挑戦、フリーハンドの3つのコツ(まとめ)
合格するための方程式
「エスキスの精度」+「作図時間の短縮」+「チェックの時間確保」=「合格できる!」
エスキス | 記述 | 作図 | チェック | |
---|---|---|---|---|
合格! | 2.5h | 1h | 2.0h | 1h |
作図時間を短縮する方法
- 道具の種類を減らして無駄な動きを省くこと
- 三角テンプレートをドラフト代わりに活用する
- 綺麗に描くことをあきらめてフリーハンドでいく
フリーハンドの3つのコツ
- ヨコ線:作図用紙そのものを右上がりに傾ける
- タテ線:線を手まえに引くときに手首を少しだけ浮かせてみる
- 線を引くときのコツは「描き始めはゆるく、先に進むにつれて筆圧を強く」
フリーハンドの特性について
フリーハンドで描ける限界の長さは「X方向6マス」「Y方向4マス」
フリーハンドで描いたほうが速いものは「不規則な短い線の集まりで構成されるもの」
一級建築士への挑戦、フリーハンドで戦うことを決意する人へ
最後にフリーハンド作図に向けて「マインド」の話をさせていただきます。
定規ではなくフリーハンドで製図試験を戦うには相当の覚悟が必要といえるでしょう。
なぜなら、そのスタイルは「圧倒的に少数派」だからです。
資格学校によっては並行定規を使った作図を指導されることが多いかと思われます。
それ自体は、図面の描き方をいちから覚えるために誰もが通る道なので、間違いではありません。
しかし、どれだけ時間を犠牲にしても成果が見えないものは、正直しんどいですよね?
腰も痛くてつらい。
まわりの生徒が並行定規で作図練習をするなか、フリーハンドをやる人は孤立してしまいがち。
私は自宅学習のなかでフリーハンド作図を密かに練習して、その精度を徐々に高めていきました。
その作図スタイルを資格学校で初めて披露したときのことは今でもよく覚えています。
私のフリーハンドを見た講師の人は言葉を失ってしまいました。(^_^;)
フリーハンド禁止。
作図はクラスの中でもっとも速く描き終えることは出来たものの、その見栄えは決して褒められたものではありません。
講師からも”作図は我流”というレッテルを貼られてしまい、何かと指摘を受ける結果となりました。
とはいえ、私のなかではフリーハンドで戦う決意が固まっていたので心が揺らぐことはありません。
テコでも動かない。
私はとりあえず、講師の人に黙ってもらうため?に作図の課題は2枚提出することにしました。
「並行定規で描いたもの」と「フリーハンドで描いたもの」の合わせて2枚です。
それぞれに作図時間を記入して比較ができるようにしたところ、講師の人は何も言えなくなりました。
ちょっと言いづらいかも。
自分の意志を貫く人に伝えておきたいこと
自己主張も大事なことではありますが、指導者の方針を完全に無視してはいけません。
作図にしてもエスキスにしても、学校の方針に沿ったモノを1枚は提出していきましょう。
少しだけ”歩み寄る”スタンスを取ると「指導者は強制しづらくなる」のが、私の経験です。
フリーハンド作図法を習得することで、作図時間を短縮できることは確かといえるでしょう。
そして課題文には「フリーハンドでもよい」と記載されているので、全く問題はありません。
最後の決断は自己責任、まわりの環境に左右されずに”あなたの意思”を貫けるかどうかです。
断固たる決意!
並行定規を使ってもフリーハンドであっても、すべては自己責任です。
最終チェックの時間の確保のためにフリーハンドを選択するのは当然のこと。
モチベーションの維持のためだけにフリーハンドを選択するのもアリでしょう。
すべては合格のため。
フリーハンド作図法を身につけることで景色が変わります。
エスキス対策にもより多くの時間を割くことが出来るようになります。
何よりも精神的にゆとりをもって、試験に立ち向かうことができるでしょう。
フリーハンドを極めれば
私は無敵!無敵!無敵!
これからの時代、フリーハンドの作図法が主流となる日が来るかもしれません。
そうなると平行定規での作図は少数派におき変わってしまうでしょう。
ということは今からフリーハンドに挑戦される方は、”時代の先駆者”になります。
勇気と度胸のある挑戦者を私は応援しています。
フリーハンドで行ける!
フリーハンド魂で戦うぞ!
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