スパンが決まらない!
今日も電卓を叩く手が止まらない。
消しゴムのカスが、机の上に積もっていく。
いつも悩まされるのが「小刻みに要求される個室の集団」
一級建築士製図試験で、何度つまづいて来たことでしょうか?
- Aタイプ:20㎡×3室
- Bタイプ:30㎡×3室
- Cタイプ:40㎡×2室
個室のサイズも室数もバラバラ。
均等スパンに押し込めば、真ん中が余白だらけになる。
- 変則スパンにすれば、柱が狂う。
- 壁が柱からズレると、なんとなく気持ち悪い。
- 何度もスパン割り「ガチャ」を回しては、深いため息をつく。
「こんなバラバラな部屋、グリッドに収めるなんて無理に決まってる」
・・私も角番時代、まさにエスキスで何度も詰みました。



ラーメン構造の限界だよ
でも今なら、断言できる。
スパン割りには確立された方程式があります。
このプロセスを追えば、凝り固まった感覚が必ず変わるはず。
その理論を正しく押さえれば、建物の骨格を決めるきっかけになるのです。


「X寸法×Y寸法=床面積」でパタン検討していませんか?
日常ルーティンみたいにやっている方、今すぐにやめて下さい。
そのやり方では、ますます迷いが増えて建物の骨格が決められません。
あなたのスパン割り決めの誤解を、この記事で完全に解いてみせましょう。


「一級建築士」


「製図」


「スパン割り」
こんな人におすすめ!
- 一級製図のエスキスで、スパンが決まらず電卓叩きが止まらない人
- 20㎡・30㎡・40㎡などサイズの異なる個室を収められずに止まってる人
- 「X寸法×Y寸法=床面積」のガチャを並べて、そこで立ち止まっている人



スパン割りならお任せ!


今日もスパンが決まらない!
- グリッドに部屋が収まらない。
- 使い所のないスペースが生まれる。
- PC梁のど真ん中に柱を立ててしまった。
スパン割り検討は、単なる柱の置き方だけではありません。
ゾーニング、後工程のプランニングまでを左右する骨格決めです。
ここを甘く見ると、エスキスが崩壊してしまう事にもなりかねません。
社会人受験生の限られた時間のなかで、やり直しを最小限に抑えるための考え方を伝授します。
スパン割りの初級編はこちら!




一級建築士試験、製図の要|スパン割りを決める要素


この動画を YouTube で視聴
・記事の難易度★★★☆☆
・スパン割りの難易度★★★☆☆


ここで、解説するポイント
- 均等スパンの使い分け
- 変則スパンへの切り替え
- 個室タイプのスパン軸を決める
必要な準備工程をサクッと解説
スパン割りを決める土台は「建築部分」
割り付けのまえに、まずこの範囲を確定させましょう。



おさらいです。








建築部分の求め方は、次の通り。
- 建築部分のX寸法=敷地の間口寸法からへり空きを引く
- 建築部分のY寸法=建築の最大外形の床面積÷X寸法で算出
- 建築可能範囲として求めたX×Yが「スパン割りの土台」となる
X寸法を先に決めてから、最大外形の床面積を割ってY寸法を出すのが基本です。
その後、敷地に残った部分で駐車スペースを確認し、足りなければY寸法を縮めましょう。


最大外形とは?
敷地条件やへり空き(外壁から敷地境界までの距離)、吹抜けなどの「仮想床」を除いた延べ面積から逆算して決定する建築可能面積のこと。
敷地上の建築部分は、敷地面積×建ぺい率による「最大建築面積」と、最大外形から求める「建築可能面積」を比較して、小さいほうの数値を採用して「建築部分」を決定します。
スパン割りを決める4つの要素


スパン割りを決める主な要素は次の4つ
- 吹抜け
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 規則的に配置する部屋
この記事で、特に焦点を当てるのが「規則的に配置する部屋」
ホテルや老人ホームのような用途では、大小さまざまな個室が並ぶもの。
「20㎡、30㎡、40㎡」といったバリエーションがあると、単純な均等スパンでは収まらないことも多いでしょう。



床面積の松・竹・梅
多様化ってヤツですか?
ここで、多くの受験生が陥るのが「とりあえず7m×7m」という決め打ち。
もちろん、スパン割り検討のきっかけとしては有効策ではありますが、面積が違う部屋を同じグリッドに押し込めば、必ずどこかに無理が生じます。


均等スパンの使い分け
ここで、均等スパンの特徴を整理します。
- チビコマと相性がよく、立体構成のイメージが掴みやすい
- 床面積をコマ数に換算しやすく、ゾーニングの精度が上がる
- スパン割り検討を始める「最初の一手」としての汎用性が高い


6m×7mや7m×7mといった経済スパンは、立体構成の大枠を捉えるきっかけとして有効なのです。
ただし、バリエーションのある個室が要求される課題では、これだけでは足りません。



とりあえず線引いて
均スパでやってみよう!


変則スパンへの切り替え
その一方、変則スパンにも次の強みがあります。
- いつも、決まったコマ数で勝負できる
- 大空間とその他のスパンを切り離して考えられる
- スパンの細かい振り分けによってプランを有利に進められる




40mしか取れない間口でも「7,7,6,6,7,7」とすれば、コマ数を維持できる。
さらに、大空間を9mスパンに切り離し、残りを7mスパンで割ることも可能です。
「均等スパンから変則スパンへ切り替える」柔軟さこそが、小さな個室をたくさん並べる課題では特に重要になります。





どこでスパンを調整するの?



通路・大空間・階段が入るところだね。
均等スパンから変則スパンへの切り替え例 -1






均等スパンから変則スパンへの切り替え例 -2






個室タイプのスパン軸を決める
スパン割り検討の軸決め
- 低層タイプ
建物のY方向を決めてから、X方向でスパンを調整する - 基準階タイプ
建物のX方向を決めてから、Y方向でスパンを調整する




「吹抜け、多目的ホール、屋上テラス」
それらがメインのゾーニング(低層)タイプでは、X方向のスパン数が多いので調整が効きやすい。



コアが入るところで調整できるよ!




個室がメインの基準階タイプでは、X方向のスパンによって部屋の幅が、ほぼ決まってしまいます。



個室の間口指定があれば即決です。
「ホテルや老人ホームのような規則的に配置する部屋」
要求室の室数と幅からXスパンが拘束されるため、Y方向で調整を図るのが、最も無駄のない検討手順といえるでしょう。




- X方向のスパン寸法=「床面積÷Y方向のスパン寸法」
- Y方向のスパン寸法=「床面積÷X方向のスパン寸法」
X寸法×Y寸法=床面積の考えを捨てる


「X寸法×Y寸法=床面積」のガチャ回し。
- パタンA:6×8=48㎡(約50㎡)
- パタンB:7×7=49㎡(約50㎡)
- パタンC:8×6=48㎡(約50㎡)
多くの受験生がやってしまいがちなことですが、今すぐやめて下さい。
それは、初年度生がスパン決めのコツを掴むための初歩ムーブに過ぎません。
リベンジ生である優等生のあなたが、ここに来て、やるべきことではないのです。



6×8、7×7、8×6
九九が役に立つときが来たぜ!
「X×Y」のガチャ回しを封印


「X×Y」ガチャは、洋服の寸法を面積だけで考えるのと同じこと。
・・生地の総量は足りている。
それでも、袖の長さと胴回りが身体に合ってなければ、服にはなりません。


実は、スパン割りも同じことなのです。
床面積の20㎡、30㎡、40㎡の合計は決まっている。
それでも、室の幅と奥行きがグリッドに噛み合わなければ、柱が狂い、壁がずれ、余白だけが残ります。



柱が、柱がズレてるよ~ 💦
- X方向のスパン寸法=「床面積÷Y方向のスパン寸法」
- Y方向のスパン寸法=「床面積÷X方向のスパン寸法」
「X×Y」の面積は単なる結果です。
決まっている面積になるように寸法ガチャを回すのは、袖の長さと胴回りを決めるまえに生地のタテヨコ寸法の計測を繰り返しているようなもの。
袖が通らず、胴回りにフィットしなければ、計測する意味がないですよね?


先に決めるべきは「部屋が収まる型」
・・ですが、基準階だけで「型」を出しても意味がありません。
後ほど説明する、1階2階の構成要素の収まりまで見なければならないのです。
「X×Y」ガチャを回すほど、型が決まらないまま選択肢が増える一方で、建物の骨格は決まりません。



例えられても、服着ないんだよね。
「この記事を書いた人からのお願いです。・・もう終わりにしませんか?」



何!?服を着ないことをやめろってこと?



違う違う💦
X×Yガチャを終わりにしない?ってことだよ。


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一級建築士試験、製図の要|スパン割りで複数室を裁く方法


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・記事の難易度★★★★☆
・スパン割りの難易度★★★★★


それでは、ここから容赦なく本題にズバッと切り込みます。
Aタイプ20㎡、Bタイプ30㎡、Cタイプ40㎡の部屋をどう整合させるか?
ポイントは「それぞれの最大公約数となるスパン割りを導く」こと。
・・とはいっても、言葉が難しくてよく分からないと思いますので、図でお見せしましょう。



難しい言葉を使わないで下さい。
小さな個室を多く収納するポイント
- 部屋の間口寸法を出来るだけ3mに近づける(車椅子使用者用を除く)
- (条件に間口寸法指定がある場合は従う)
- 「7m×6スパン」で入りきらないときは「6m×7スパン」に切り替える
- (奥行き方向に室形状を伸ばした方が部屋を多く収納できる)






- 20㎡タイプ:2室セットで40㎡と扱い、7m×6mのグリッドに収める
- 30㎡タイプ:2室セットで60㎡と扱い、通路を含めて2グリッドに収める
- 40㎡・50㎡タイプ:1室で扱い7m×6m・7m×7mのグリッドに収める
(廊下幅を2m~3mとし、部屋の幅と奥行きの組み合わせを考える)
たとえば、X方向を7mスパンで統一すれば、20㎡と30㎡は幅方向に2室分、40㎡は1室分として割り付けられるのです。



なるほど!20㎡・30㎡のザコどもは
2室セットで1グリッドに収めるのか




X方向42mスパンは7×6?6×7?
まず始めに知っておいて欲しいこと。
それは、間口寸法「42m」による異なる使い分けです。
個室タイプの検討では、X方向のスパンを仮に決めておく必要があります。



「42m」のスパン割りに入ります。
X方向は「42m」を基準に考える
「42mをどう割り付けるか?」
ここが、建物の骨格決めの分かれ目です。
「6コマ×4コマ」のチビコマを使い、要求室の条件に習って部屋を並べてみて下さい。


X方向「42m」で決めることは次の通り
- 「7m×6スパン」で割り付ける
- 「6m×7スパン」で割り付ける
- 「6コマで収まるのか、それとも7コマ必要なのか」を見極める


まず始めは「6コマ×4コマ」の型にハメ込んで部屋を配置する。
そのとき、「あれ?コマが1つ足りない?」となったときには、割り付けを変更する。
「あと1コマ欲しい」となった場合は、「7m×6スパン」から「6m×7スパン」へ切り替える。


これは、要求室以外に100㎡程度の屋上テラスなどを確保したい場合でも、使える手法ですので、必ず覚えておきましょう。



床面積に合わせてグリッドを決める
「部屋の床面積÷Xスパン寸法=Y方向のスパン寸法」
Y方向のスパン寸法は、配置する部屋の床面積によって異なります。



42m 取れないときはどうするの?



通路・大空間・階段が入るところで縮めるのだ。
建物の間口寸法「42m」が取れない場合は「42mあるもの」として扱い、均等スパンでゾーニングを決めた後で「どこを縮めるのか?」を後から検討します。
部屋の配置とスパン割り検討




個室のスパン割りは、部屋を実際に置いてみなければ分かりません。
要求室の数と収まり具合によっては、個室のスパン割りに直結してきます。
X方向”42m”において「7m×6スパン」と「6m×7スパン」のどちらを採用するのか?
- 取っ掛かりは「7m×6スパン」
- コマが足りなければ「6m×7スパン」
・・この決める順番と感覚を、押さえておきましょう。



「7×6」「6×7」
42mは、どちらもいける。


X方向 42mで決めることを、もう一度整理します。
- 「7m×6スパン」で割り付ける
- 「6m×7スパン」で割り付ける
- 「6コマで収まるのか、それとも7コマ必要なのか」を見極める
スパン割りの2つのアプローチは、次の通りです。
- X方向を「42m」に設定して、要求室を均等スパンで割り当てる
- Y方向を建築部分から算出して、1階2階の要素を変則スパンで割り当てる
・・ここまで来て、X方向の軸が固まります。
そのうえで、20㎡・30㎡・40㎡を、最大公約数となる幅寸法とコマ数の使い分けで成形していくのです。
- X方向のスパン寸法=「床面積÷Y方向のスパン寸法」
- Y方向のスパン寸法=「床面積÷X方向のスパン寸法」
小さな個室を多く収納するポイント
- 部屋の間口寸法を出来るだけ3mに近づける(車椅子使用者用を除く)
- (条件に間口寸法指定がある場合は従う)
- 「7m×6スパン」で入りきらないときは「6m×7スパン」に切り替える
- (奥行き方向に室形状を伸ばした方が部屋を多く収納できる)
Y方向のスパン寸法は建物の外部で調整する


ここで、取り扱う「インナーバルコニーと跳ね出しバルコニー」の使い分け。
部屋の奥行き寸法によっては、建物の内部に使いどころのないスペースが出来てしまうもの。
もちろん、そのスペースに目的や使い道があれば問題ありません。
ですが、プライベート空間での広すぎる廊下は「不経済な計画」と捉えられてしまいます。



ホテルの廊下なのに広すぎない?
通路でサッカーでもやるの?
インナーバルコニーで内部を調整する


奥行き寸法の調整は、建物の「外部」で行う
跳ね出しバルコニーを使えば、同じスパンでも有効奥行きを外側に伸ばせる。
面積が大きい部屋に対して、7mスパンに1.5~2mの出を設けることで、必要面積を確保できます。




一方、30㎡(2室で60㎡)タイプのような部屋が混ざると、20㎡と同じグリッドでは足りません。
そこで、2スパンを縦方向に並べて30㎡を2室セットで収めてみます。



ザコどもは2室セットで考えよう
用途のないスペース


すると、2スパンの奥行きでは通路側に使いどころのないスペースが生まれてしまいます。
ここに共用トイレなど用途があればよいのですが、ちょっと気持ち悪いですよね?



スペースに植栽でも置きませんか?



植栽を置いて誰が管理するんだよ
インナーバルコニーで奥行きを調整する
2グリッドの内部を調整する






そこで、インナーバルコニーを採用して無駄を解消するのです。
建物の通り芯をそろえつつ、内部の有効奥行きを少し短くすることで面積を抑える。
これにより、柱の位置は動かさずに部屋ごとの面積要求を満たせるのです。



おおお~!
そんな手があったか!?
この手法の利点は、次の通り
- X方向を均等スパンとし、単純な変則はY方向で調整できる
- 廊下側に無駄なスペースを作らないことで、内部を合理化できる
- 外壁面の凹凸をバルコニーで吸収して、構造計画をシンプルにできる
基準階の器を大きくとっておき、後からバルコニーで内部を調整する



平面の器を大きく取ってからの・・



インナーバルコニーでギュッと締める!
チビコマ検討で型をつくる




いずれの場合も、チビコマゾーニングで立体構成の「型」を先につくる。
均等スパンで吹抜け・無柱空間・屋上テラス・個室群の位置関係を成立させ、その型を崩さない範囲でスパンだけを成形していくのです。
バルコニーを跳ね出しにするときの注意点
廊下を含める


廊下を含めない


奥行きは2mずつ調整する
- 廊下をグリッドに含める/含めない
- バルコニーをグリッドに含める/片持ちにする
この4パターンを順番に試すことで、建築可能範囲のY寸法に帳尻を合わせられます。
20㎡・30㎡・40㎡が混在していても、最大公約数となるスパンを軸にして、バルコニーの出と入りだけで面積差を吸収するのです。



・・最大公約数って何ですか?



20㎡・30㎡・40㎡くらいを割り切れる共通の値のうち、
最も大きい数字が、X方向のスパンになるってことが言いたいんです!
バルコニーの跳ね出しに注意!






ここで、落とし穴に要注意!
インナーバルコニーから跳ね出しバルコニーに変えると?
そうすると、道路境界線や敷地境界線からのセットバック距離が短くなります。
道路斜線や法的採光の「離隔距離」に抵触しないか、必ず途中で再チェックしてください。



後から跳ね出すときに
絶対に絶対にチェックして下さい。
・・ここを怠ると、せっかく決めたスパン割りが法的に破綻してしまいます。
用途のないスペース


インナーバルコニーで内部を調整する


Y方向のスパンは「要求室のグリッドを決める作業」
それと同時に、「残り寸法で1階2階のスパンを決める最後の調整しろ」
その目標を先に明確にすることで、X方向のスパン寸法の選択肢がグッと絞られるのです。
下の階に合わせて基準階をつくる原則を守れば、小さな個室がたくさん並ぶ課題でも骨格はブレません。



タイトルは42mの題目だったけど、
掲載画像はサイズの都合で35mにしました。
一級建築士試験、製図の要|スパン割り方程式の最終奥義を解放!


・記事の難易度★★★★★
・スパン割りの難易度★★★★★★★★★★★★★★★




- Aタイプ:約20㎡×3室
- Bタイプ:約30㎡×3室
- Cタイプ:約40㎡×2室
5スパン×3スパンの器に収めてみました。
7mスパンを軸とした「20㎡・30㎡・40㎡」の異なるボリューム。
バラバラに見えた室面積も、同じモジュールに分解すれば、規則正しく配置できますよね。



トイレは室内を想定しておりますが、
共用トイレが必要な場合は、部屋がトイレに置き換わります。
・・しかし、これは未だ基準階だけしかお見せしておりません。


スパン割りの上級編はこちら!


本当に大事なのは、ここから!
1階2階の構成要素との収まりを見るフェーズに入ります。
基準階だけが綺麗に並んでも、それだけでは建物として成立しません。



広い視野が大切なのさ。
そのマス目を、そのまま下へ透過させる。
- 無柱空間の上に基準階が乗るか?
- 柱が無柱空間の真ん中に落ちないか?
- 3階に隣接する屋上テラスが収まるか?
- 既存建物があれば、距離が取れているか?
これらのポイント確認して、初めてスパン割りは完成します。
基準階は部品の組み立て、本番は1階2階に合わせて規格を選定することなのです。
ここまで、お伝えしたテーマ
- 要求室(単体)の面積ごとのパーツ
- パーツを組み合わせた基準階だけの配置
ここから、お伝えする最終奥義とは?
- スパン割り方程式は残り寸法から読む
- 残り寸法から逆算したX寸法の仕切り直し
- X寸法の変更により残り寸法がどう変わるか?
- X方向のスパン割りを相殺して帳尻を合わせる


これ以降は、門外不出の「スパン割り極秘メソッド」
ここまで読んで来れたあなたなら、必ず理解できるでしょう。
むしろ、ここを読んだ後に「そういうことか!」と点と点が結びつくはず。


スパン割りは底なしの沼のように奥が深いもの。
だからこそ、これを理解した人間だけが、エスキスで「決まった」と感じられる。
・・・私と一緒に、その感覚を掴みに行きましょう。
いっさい出し惜しみせずに解説をぶっ放していきますので、何とか食らい付いて来てください!



本気出していくよ!


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スパン割り方程式は残り寸法で決まる
基準階と下の階のミスマッチ


「残りの奥行き寸法が中途半端だと、下の階がダメになる」
それを避けるには「基準階のマス目越しに、低層階を見る」ということ。
下の階まで全部見込んで検討する方法と修正していく流れを解説していきましょう。



私に、ついて来れるかな?



先にイメージを伝えておきます。






「基準階と3階👆屋上テラスとのスパン調整」
「基準階と1・2階👇大空間とのスパン調整」









これから実践するイメージです。
このグリッド調整を先にやっておくことで、基準階だけでなく1・2階のプランが楽になります。
マーカー引きのルール
- 青マーカー:X方向のスパン割り要素
- 赤マーカー:Y方向のスパン割り要素
- 黄・緑マーカー:それ以外のいろいろ要素



色分けルールを決めておきます。


Y方向のスパン割り方程式
「要求室のグリッド」と「残り寸法」を両方みる。
点線で囲った残りスペースに入るものは、主に次の3つ。
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 既存建築物
「基準階のマス目越しに、奥行き16mの低層階を見る」
論より証拠、百聞は一見に如かず、ということで、ここでも図でお見せしましょう。



おさらいです。


「要求室のグリッド」と「残り寸法」
X方向のスパンを先に固定したうえで、室面積をXで割って必要な奥行きを出す。
建築可能部分のY寸法 ▲ 要求室のY寸法(通路も含めて)= 「残り寸法」
建築可能部分のY寸法からその奥行きを引いた残りが、1階2階の無柱空間や屋上テラスに使える寸法となります。



よ~く目に焼き付けて下さい。
ここから「残り寸法」が重要となります。
要求室の床面積
- Aタイプ:20㎡
- Bタイプ:30㎡
- Cタイプ:40㎡
マーカー引きのルール
- 青マーカー:X方向のスパン割り要素
- 赤マーカー:Y方向のスパン割り要素
- 黄・緑マーカー:それ以外のいろいろ要素
1.スパン割り方程式は残り寸法から読む
残りの奥行スペースには何が来る?


ここで、思い出して下さい。




均等スパンで、吹抜け・無柱空間・屋上テラス・個室群の位置関係を成立させる。
その型(作り上げた平面構成)を崩さない範囲で、スパンだけを成形していく。



チビコマの型はそのまま残す。
ボリュームをスパン寸法で調整する。
ここでは、基準階の個室群を先に決めています。
また、大きな吹抜けも想定していないため、無柱空間・屋上テラスのみを扱います。
1階2階のこれらを成立させるためには、奥行きの「残り寸法」を意識する必要があるのです。
「残り寸法に入るもの」
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 既存建築物
残りの奥行きスペースに注目する


スパン割り方程式はシンプル
「1階2階の構成要素の面積 ÷ X寸法」で、必要なYスパンが出せる。
「残りスペースに入るもの」
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 既存建築物
例えば、屋上テラス 約200㎡を7m×3スパンで割れば Y=約10m。
1階2階の無柱空間(約300㎡)を7m×3スパンで割れば Y=約14mになる。
・・つまりは「残りの奥行きスペースがどれくらい必要か?」を確かめる計算式なのです。



大空間の床面積÷X寸法=必要なY寸法


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マーカー引きのルール
- 青マーカー:X方向のスパン割り要素
- 赤マーカー:Y方向のスパン割り要素
- 黄・緑マーカー:それ以外のいろいろ要素
2.残り寸法から逆算したX寸法の仕切り直し
残りの奥行きスペースを調整する


基準階が成立しても、下の階が成立しなければ意味がありません。
この図は、下の階の収まりに合わせて、Y方向の奥行きをこれから調整するところ。
- 左:残り11m → 12mへ伸ばし、6m+6mの2スパンで区切る。
- 右:残り19m → 18mへ縮めて、6m+6m+6mの3スパンで区切る。
「Yの奥行きに入るもの」
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 既存建築物
残りの奥行き11mなら面積が足りない。
残りの奥行き19mなら面積が余り、大空間以外の部分が圧迫される。
足りない側はY寸法を伸ばし、余る側はY寸法を縮める。



先を見越してしっかり計算しておく
先に決めるのは下の階が成立する残り寸法で、基準階をその型に合わせにいくのです。
このグリッド調整を先にやっておくことで、基準階だけでなく1・2階のプランが楽になります。


「基準階に合わせて下の階をつくる」のではなく「下の階に合わせて基準階をつくる」
マーカー引きのルール
- 青マーカー:X方向のスパン割り要素
- 赤マーカー:Y方向のスパン割り要素
- 黄・緑マーカー:それ以外のいろいろ要素
X方向の割り付けを変更する


ここで、X方向の割り付けを変更します。
Y方向の残りスペースを直すために、室側の幅を動かすということです。



X寸法が変わればY寸法も変わる
- 左側は、残り11mを12mへ伸ばす。
- そのぶん、室側の幅を7m → 8mへ広げて、Y寸法を縮める
- 右側は、残り19mを18mへ縮める。
- そのぶん、室側の幅を7m → 6mへ狭めて、Y寸法を伸ばす。
「Yの奥行きに入るもの」
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 既存建築物




左:20㎡室
- X方向:7m → 8m
- 室のY方向:6m → 5m
(残りの奥行き11mを12mへ伸ばすため)
X方向7mのまま室のY方向6m → 5mだと、7m×5m=35㎡となり、中途半端になる。




右:40㎡室
- X方向:7m → 6m
- 室のY方向:6m → 7m
(残りの奥行き19mを18mへ縮めるため)
X方向7mのまま室のY方向6m → 7mだと、7m×7m=49㎡となり、中途半端になる。
室の床面積を保持してY寸法の修正


左:20㎡室
- X方向:7m → 8m
- 室のY方向:6m → 5m
右:40㎡室
- X方向:7m → 6m
- 室のY方向:6m → 7m



残りの奥行きスペースを変えるには、
X方向を変え、床面積を保ったままY方向を伸縮させるのだ。
マーカー引きのルール
- 青マーカー:X方向のスパン割り要素
- 赤マーカー:Y方向のスパン割り要素
- 黄・緑マーカー:それ以外のいろいろ要素
3.X寸法の変更により残り寸法がどう変わるか?
残りの奥行きスペースに調整が反映される


左:20㎡室
- X方向:7m → 8m
- 室のY方向:6m → 5m
- 残りの奥行き寸法:11m → 12m
右:40㎡室
- X方向:7m → 6m
- 室のY方向:6m → 7m
- 残りの奥行き寸法:19m → 18m
「残りの奥行きに入るもの」
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 既存建築物
「1階2階の構成要素の面積 ÷ X寸法」
ここでは、残り寸法が足りなかったり、中途半端に余ったりするときの対応をしました。
基準階だけ、個室の要求室だけでスパン割りが成立しても意味がありません。
X方向のスパンを調整すれば、Y方向の柱を調整して「残りスペース」の過不足を解消できる。
・・お分かりいただけましたでしょうか?



あと50回、説明してくれ!
このグリッド調整を先にやっておくことで、基準階だけでなく1・2階のプランが楽になります。


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4.X方向のスパン割りを相殺して帳尻を合わせる



あれ・・待てよ?
「X方向の間口を変えると、全体の割り付けが変わるんじゃない?」
「X方向を均等スパンで割っていたのに、割り切れなくなるんじゃない?」
そう、リベンジ生の優秀なあなたはきっと、こう思われたのではないでしょうか?



しっかりして下さいよ~



均スパ 無理じゃん
・・・その心配は、正しいです。
間口の総寸法は、伸ばしたり縮めたりが出来ません。
心配している通り、全部を8mには出来ませんし、6mにも出来ません。
X方向の寸法を変えるのは、全体ではなく、大空間などの構成要素が入る部分だけです。



ここで、誤解を解いておきましょう。
例えば、こう組み替える。






「7,7,7,7,7,7」→「8,8,8,6,6,6」
8mに開いた3スパンは、続きのスパンを6mに縮めて相殺する。


- 8m×5mのグリッドには20㎡×2室が入る
- (40㎡×1室も入る)
- 6m×5mのグリッドには30㎡×1室が入る
割り付けを相殺した部分には、その「X寸法に対応した部屋のパーツ」を組み直します。



なぬ!
例えば、こう組み替える。






「7,7,7,7,7,7」→「6,6,6,8,8,8」
6mに縮めた3スパンは、続きのスパンを8mに開いて相殺する。


- 6m×7mのグリッドには20㎡×2室が入る
- (40㎡×1室も入る)
- 8m×7mのグリッドには30㎡×2室が入る
割り付けを相殺した部分には、その「X寸法に対応した部屋のパーツ」を組み直します。
そのしわ寄せが最終的に、廊下側のスペースや屋外の跳ね出しバルコニーに集まって来るので、部屋とは関係ないところで整えるのです。



そういうカラクリだったか!?



ここにポイントをまとめます。
- 均等スパンをきっかけにX方向のスパン割りを仮決めする。
- 基準階を仮決めしたあと、1階・2階の構成要素に合わせて寸法を組み直す。
- 構成要素が入る奥行きをX寸法で調整して、残ったX寸法は、相殺する形で全体を整える。
「きっかけは均等スパン、着地点は変則スパン」
こうすれば、1階・2階との整合を取りながら立体構成が守られるのです。



私について来れましたでしょうか?


「基準階のマス目越しに、低層階を見る」
「残りの奥行き寸法が中途半端だと、下の階がダメになる」
この残り寸法に、無柱空間や屋上テラスが収まるかを必ず確認しましょう。
このグリッド調整を先にやっておくことで、基準階だけでなく1・2階のプランが楽になります。
「基準階に合わせて下の階をつくる」のではなく「下の階に合わせて基準階をつくる」
大空間の上に基準階を乗せる方法と注意点


無柱空間の上に基準階を乗せる方法
無柱空間の上部に基準階を乗せると、連続PC梁となります。
この形態は「著しく不経済な計画」となるため、好ましくありません。
・・とはいえ、この2つを上下階で重ねることで、建物全体が丸く収まるケースもあります。
そこで、蛇足ではありますが、稀なケースとして無柱空間の上に基準階を乗せる方法を紹介します。



悪いことも教えちゃうよ!
奥行き9mスパン


どうすれば、重ねられるのか?
9mスパンを採用すれば、PC梁でなく大梁で上の階を支えられます。
そうすることで、無柱空間(多目的ホール)の上に、基準階を重ねることが可能となるのです。
(大梁の上に柱を立てる必要もありません)


基準階を大空間の上に重ねる9mスパンの例





…そんな事が出来るのか?
ここでも、落とし穴に要注意!
無柱空間に要求される「辺長比」「縦横比」
2つのキーワードを課題文から探して必ずチェックして下さい。
もし、9mスパンを採用する場合は「辺長比」「縦横比」の指定を満たせない可能性が大です。


無柱空間の上に基準階を乗せる際は、この点に注意して取り入れて下さい。
あまり使うケースはありませんが、「知っているのと知らない」のとでは、結果に格段の差が出ます。



基本形は、こっち👇ですよ。
残りスペースに大空間を収めるのがベスト


お疲れ様でした、まとめに入ります。




一級建築士試験、製図の要|スパン割り方程式の最終奥義(まとめ)








スパン割り検討の軸決め
- 低層タイプ
建物のY方向を決めてから、X方向でスパンを調整する - 基準階タイプ
建物のX方向を決めてから、Y方向でスパンを調整する
スパン割りで複数室を裁く方法
- 20㎡タイプ:2室セットで40㎡と扱い、7m×6mのグリッドに収める
- 30㎡タイプ:2室セットで60㎡と扱い、通路を含めて2グリッドに収める
- 40㎡・50㎡タイプ:1室で扱い7m×6m・7m×7mのグリッドに収める


















小さな個室を多く収納するポイント
- 部屋の間口寸法を出来るだけ3mに近づける(車椅子使用者用を除く)
- (条件に間口寸法指定がある場合は従う)
- 「7m×6スパン」で入りきらないときは「6m×7スパン」に切り替える
- (奥行き方向に室形状を伸ばした方が部屋を多く収納できる)
基準階の器を大きくとっておき、後からバルコニーで内部を調整する
用途のないスペース


インナーバルコニーで内部を調整する


「基準階のマス目越しに、低層階を見る」
「要求室のグリッド」と「残り寸法」を両方みる。












要求室のグリッドと「残り寸法」を相互に見る


「Yの奥行きに入るもの」
- 無柱空間
- 屋上テラス
- 既存建築物
残りの奥行きスペースを調整する


X方向の割り付けを変更する


室の床面積を保持してY寸法の修正


残りの奥行きスペースに調整が反映される




- 8m×5mのグリッドには20㎡×2室が入る
- (40㎡×1室も入る)
- 6m×5mのグリッドには30㎡×1室が入る


- 6m×7mのグリッドには20㎡×2室が入る
- (40㎡×1室も入る)
- 8m×7mのグリッドには30㎡×2室が入る


「基準階に合わせて下の階をつくる」のではなく「下の階に合わせて基準階をつくる」
- 均等スパンをきっかけにX方向のスパン割りを仮決めする。
- 基準階を仮決めしたあと、1階・2階の構成要素に合わせて寸法を組み直す。
- 構成要素が入る奥行きをX寸法で調整して、残ったX寸法は、相殺する形で全体を整える。


ついて来れましたでしょうか?
スパン割り検討について、いっさい出し惜しみせず、解説してきました。
部屋の配置とコアの位置、1階2階との位置関係まで考えると、奥が深いですよね?
単なるゾーニングとは異なり、多様な要求に応えるスパン割りは、考える要素が多くて難しく感じるかもしれません。


スパン割りは底なしに奥が深い!
しかし、スパン割りを克服すれば、エスキスの型をほとんど極めたといえるでしょう。
スパン割りをヒントに建物の骨格を決めることができれば、エスキスは8割ほど完成したようなもの。
今回のポイントを3つにギュギュっとまとめると以下の通り👇です。



これだけ覚えて下さい。
- X方向は42mを軸に「7×6」「6×7」を先に決める
- Y方向は要求室の「グリッド」と「残り寸法」を同時に見る
- 残りの奥行きスペースの過不足は、X方向の割り付けで調整する


スパン割りは、やみくもな「ガチャ回し」ではありません。
建物の骨格を決めるための、構成要素をすべて押さえた方程式です。
方程式をモノにした瞬間、エスキスは「迷うもの」から「決めるもの」に変わります。
最大公約数を求める方程式というのは、確立された「修正の積み重ね」といえるでしょう。


社会人受験生の時間は、限られているもの。
スパン割り検討で削ることが出来た時間は、プランの精度に回してください。
骨格が決まれば、あとはゾーニングを型に流し込むだけ。
スパン割りを制すれば、エスキスの足踏み状態がきれいに解消されるでしょう。


次の課題で一度だけ、試してみてください。
その「一度」が、あなたのエスキスを変えます。
「今年こそ、決める」「絶対にスパン割りで決める」
その覚悟があるなら、あなたはもう十分に戦えるはずです!



スパン割り奥義、必ず極めてやる!
スパン割りを極める!













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