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角番センパイ
(一級建築士)
私は受験歴3年を経て合格をつかみ取った一級建築士です。
学科試験には通過したものの、製図試験に2度目落ちして角番に昇格!?
そこからメンタルを鍛え上げ、角番スピリッツで合格をつかみ取りました。
(今では、こっそりブログ活動中。)
私は”夢を諦めない受験生”たちを応援します!
角番に昇格してしまった方、角落ちからの復活を目指す方に向けて「役に立つ知恵や技術」を投稿していきます。

一級建築士製図ブログ:採光補正係数を操作してランクⅣを回避する7つの方法

一級建築士製図試験 採光 採光補正係数

一級建築士製図試験において、最も重要視されるのは法規の理解です。

設計課題の用途によっては「採光」もその中のひとつに伸し掛かって来ます。

採光が要求される建物用途

  • 保育所
  • 集合住宅
  • 学校の教室

その用途に当たってしまった方は覚悟を決めて下さい。

  • 最短の手数で計算する方法は?
  • いつ、どのタイミングで検討するのか?
  • 採光アウトが発覚したときの対処法はあるのか?

採光を知るにはまず、「採光補正係数」を理解することからのスタートです。

この製図ブログでは、「採光の知識」から「採光補正係数」の計算方法、そして「ランクⅣを回避する7つの方法」に至るまで、3部構成でお伝えします。

製図の採光に少しでも不安のある方は、ブックマークの追加をお願いします!

D/H

「採光補正係数」

「セットバック」

こんな人におすすめ!

  • 採光の計算方法が分からない。
  • セットバックの出し方が分からない。
  • 採光補正係数を大きくする方法が知りたい。

D/H

「採光関係比率」

誰だ、おまえ?
D/Hだと!?

D/H×6-1.4

「採光補正係数」

・・おまえ・・
D/Hの差し金か?

床×1/10

「床面積の割合」

新しい登場人物か?

「セットバック」

「セットバック」

引っ掛かるものか!

D/H×D/H×D/H

「採光×D/Hバトル」

ランクⅣ!退場!

製図ブログについて

当ブログは、昨年の試験において悔しい思いをされた「角番生、角番からの復活の方」のモチベーションアップのため、プラスになる情報を発信していきます。

こちらから
採光の数値を確認できます。

「採光の法文」:法第28条、令第19条、令第20条

クリックすると開きます。

採光補正係数(令第20条)

算定式
住居系$$\frac{ D }{ H }*6-1.4$$
工業系$$\frac{ D }{ H }*8-1.0$$
商業系$$\frac{ D }{ H }*10-1.0$$
天窓の場合「×3」、縁側の場合「×0.7」)・・・数値の最大値は「3」、マイナスは「0」とする。
$$D:水平距離$$隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物
もしくは当該敷地の他の建築物までの距離
$$H:垂直距離$$開口部の直上にある建築物の部分までの距離
(建物の頂部から窓の中心までの距離)

法規のおさらいです。

法第28条、令第19条

建物の居室の種類床面積に乗じる割合
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校の教室、保育園の保育室$$\frac{ 1 }{ 5 }$$
住宅の居住のための居室$$\frac{ 1 }{ 7 }※$$
病院・診療所の病室、寄宿舎の寝室、下宿の宿泊室、児童福祉施設等の寝室(入所する者の使用するものに限る。)、児童福祉施設等(保育所を除く。)の居室のうちこれらに入所し、又は通う者に対する保育、訓練、日常生活に必要な便宜の供与その他これらに類する目的のために使用されるもの$$\frac{ 1 }{ 7 }$$
上記以外の学校以外の教室、病院・診療所・児童福祉施設等の居室のうち、入院患者・入所者の談話、娯楽等の目的のために使用されるもの$$\frac{ 1 }{ 10 }$$
引用:建築基準法

※2023年4月1日に施行される法規の概要


「住宅の居室に必要な採光上有効な面積は、原則として床面積の1/7以上。
ただし、照明設備の設置や有効な採光方法を確保する措置がなされている場合は、その居室の床面積の1/10までの範囲内とする。」

おさらい終わり。

目次

一級建築士製図ブログ:採光と採光補正係数の落とし穴

やらかしてしまった「ランクⅣ」

解いても解いても止まらない「ランクⅣ」

その結果はトラウマとなり、何度も受験生を苦しめます。

たった1室の採光が足りないだけで、全てが台無しになるなんて、心が折れそうですよね?

努力を水の泡にしないためにも、ここで立ち上がりましょう。

この記事で紹介する法規の内容は、「一級建築士製図試験に特化したものに集約」しています。

そのため、試験で問われる可能性の低い分野を一部割愛していることをご了承ください。

採光のペナルティの重さ

法規のペナルティとは?

製図試験における法令違反のペナルティとは、=「失格」を意味するもの。

それは、どれだけ魅力的なプランを作り上げたとしても「一発アウト!」ということ。

しかし、そのペナルティは法規の項目によって、減点の重みが異なることはご存知でしょうか?

法規のペナルティの重さ

  1. 集団規定
  2. 単体規定
    • 防火規定
    • 採光・換気
  1. 街並みの秩序を乱すもの
  2. 避難時において人命に関わるもの
  3. 施設を利用するにあたって快適さに欠けるもの
    • (最もペナルティが小さい)

意外かもしれませんが「採光」と「換気」は法令違反の中では「最も罪が軽い」ということ。

それよりも人命に関わる〇防〇特の書き忘れのほうが「重罪になる」ということです。

とはいえ、相対試験である以上は法令違反をしないに越したことはありません。

採光の神様、採光の仏様、
どうか角番の私をお助け下さい。

製図試験における採光の落とし穴

採光厳守の条件は、受験生のエスキスを苦しめます。

しかし、そんな採光規定にも「緩和」があることはご存知ですよね?

本試験で迷ったり、足元を救われないためにも、ここで押さえておきましょう。

セットバックが緩和される条件とは?

知っておきたい!

【採光の規制が緩和される周辺環境】

  • 公園・広場
  • 川・水面・線路
  • 歩行者専用道路
公園・広場
川・水面
線路・歩行者専道路

緩和される条件

将来にわたって宅地造成などの計画が無く、その環境が維持される”公的”なもの。

採光が緩和される敷地内においては、「セットバックの距離」がプラスされます。

嬉しいね。♬

道路・公園などの採光のセットバックの緩和

採光規定の緩和

  • 道路側のセットバックの起点は、道路の反対側の境界線から。
  • 公園や河川などのセットバックの起点は、その幅の「1/2」だけ外側とみなす位置から。

セットバックが緩和されない落とし穴(必読!)

要注意!

【採光の規制が緩和されない周辺環境】

  • 敷地内の並木通り
  • 個人が所有する空地
  • 駐車場、隣りの庭や池

間違えなように!

敷地内の並木通り
個人が所有する空地
駐車場、隣りの庭や池

ダメだから!

課題文の敷地図には、周辺環境が文字だけの場合と、細かく図示されているケースがあります。

その年によっては、公園や広場のように見える緑豊かな「お隣りの敷地」が描写されているのです。

やりやがったな

ここで騙されてしまっては、試験開始たった10秒で不合格の運命が決まってしまうことでしょう。

(並木通りや遊歩道に至っては、隣地との関係性によって扱いが変わることがあります。)

だまされるか!

緩和されない理由

所有者の意図で宅地造成や用途変更など、その環境が変わる可能性のある”私的”なもの。

  • 公園・広場
  • 川・水面・線路
  • 歩行者専用道路
  • 敷地内の並木通り
  • 個人が所有する空地
  • 駐車場、隣りの庭や池

製図試験における採光補正係数の落とし穴

採光補正係数の式

$$\frac{ (D) }{ H }*6-1.4$$

採光補正係数には落とし穴があります。

それは、「水平距離(D)の取り方」によるものです。

(以降、セットバックと呼ぶ)

ここでは住居系地域において、その落とし穴となる「セットバック」について解説していきましょう。

セットバック!

採光補正係数のセットバックの起点について

ここでは、採光の「セットバック」についてイラストで解説していきましょう。

採光補正係数が最も厳しくなるのは、デッドゾーンで表記してある低層部です。

隣地境界線に面しているため、セットバックが短いと採光補正係数は「1」より小さくなります。

さらに、バルコニーを跳ね出しすることにより後退距離の起点が変わります。

セットバック「D」は柱の出からではなく、バルコニーの壁面になることを忘れないで下さい。

おお!まずい・・
これは非常にやばいぞ!

道路はこっち!

あえて、「採光補正係数の限界に挑む」ことはありません。

隣地境界線に公園や広場がない限りは、バルコニーの付く居室は道路側に向けるのが無難な選択です。

採光補正係数の落とし穴!

バルコニーを後から付け足す場合は、法令違反(ランクⅣ)の危険信号!

後退距離「D」の起点がバルコニーの先端からに置き変わり、採光リスクが高まります。

バルコニーは「採光」と「高さ制限」にも影響してくるので、見直しを必ずしておきましょう。

やらかした!
バルコニーにやられたよ。

基準階のセットバックで、採光不適合を回避できる

基準階タイプになると、採光不適合のリスクはさらに高まります。

階数が増えれば増えるほど、「隣地境界線に面する低層部」に採光の制限が掛かるのです。

採光不適合に最もさらされる領域が、デッドゾーンで表記してあるところ。

どの課題においてもランクⅣに抵触するのは、この部分といってよいでしょう。

デッドゾーンを解消する最も有効な手法が「基準階のセットバック」になります。

高層部を1スパン後退させることで、隣地境界側からも採光が取れるようになるからです。

基準階をセットバック

セットバックが上手にハマれば、建物の表(道路)と裏(隣地)から採光が取れる。

さらに、後退させた屋根にトップライトを設けることで、隣地側での採光リスクは解消されるでしょう。

基準階のセットバックの条件

  • 基準階と1階2階部分に大きなボリュームの差があること。
  • セットバックした空間に「何を置くのか?」が決まっていること。
  • セットバックにより、コアの位置がプランニングの支障にならないこと。

採光に必要なセットバック距離の取り方の違い

建物用途によってはバルコニーが要求されるケースがあります。

セットバックの取り方は、バルコニーの要求があると配置の工夫が必要です。

その考えをお伝えするために、CADで作成したイラストを使って解説していきましょう。

手が込んでるね。

後退距離「D」の違い

要注意!

バルコニーが要求される場合は、想像力が必要です。

「バルコニーは跳ね出し、それともインナーバルコニーにするか?」によって、セットバックの取り方が変わって来ます。

ここは重要な2択です。

後退距離「D」の違い

「D」の取り方の違い

  1. インナーバルコニーにする場合は、柱の出から「D」を取る。
  2. 跳ね出しバルコニーにする場合は、へり空きを2m余分に取ってバルコニーの先端から「D」を確保する。

どちらの構想でセットバックを取るかを予め掴んでおきましょう。

そのイメージが曖昧だと、後になってバルコニーの取り方により、想定が狂って痛い目に遭います。

どちらを選ぶか迷うね。

採光関係比率

$$①D:隣地境界線からの距離-0.35(柱の出)$$$$又は-0.075(バルコニーの壁厚)$$

$$②H:0.6+4.0*階数+0.8(梁せい)+1.0(窓の中心)$$

$$③採光関係比率=\frac{ D }{ H }$$

Dから柱の出を引くのを
忘れないようにしましょう。

セットバックの取り方の違い

  • インナーバルコニーにする場合は、柱の出から「D」を取る。
  • 跳ね出しする場合は、ヘリ空きを2m余分に取ってバルコニーの先端から「D」を確保する。
  • どちらの構想でバルコニーを計画するかは、スパンの割り付けによって決まって来る。

採光に必要なセットバック距離を最短で導く方法

採光に関わる要素

  • 建物の高さ
  • スパンの寸法
  • 採光居室の床面積

この3つにより、建物の「後退距離」が決まります。

$$\{\frac{ D }{ H }*6-1.4\}*窓の面積S>床面積A*\frac{ 1 }{ 10 }$$

配置計画を進めるためには「採光のセットバックを早く知りたい!」

「D」を知りたい!
知りたい!知りたい!

しかし・・

  • 計算が複雑
  • 不確定要素が多い
  • 後で変わるケースもある

セットバックの距離はエスキスをかなり進めてみないと確定できません。

・・とはいっても、へり空きを決めないことにはエスキスが展開しないですよね?

ここではセットバックの距離を「最短で導く方法」についてお伝えしましょう。

どうするの?

セットバック距離を最短で導く計算方法

  1. 採光補正係数の計算式を「D」の式に置き換える。
  2. 建物の階数から、必要なセットバックの距離を算出する。
  3. スパン割りが決まった段階で、採光の適合性を再チェックする。

採光補正係数の計算式を「D」の式に置き換える。

採光補正係数の式

$$\{\frac{ D-0.35 }{ H }*6-1.4\}*窓の面積S>床面積A*\frac{ 1 }{ 10 }$$$$※0.35m=柱の出の寸法$$

OK!

D=の式に置き換えると?

$$\{\frac{ D-0.35 }{ H }*6-\underline{1.4}\}*\underline{S}>A*\frac{ 1 }{ 10 }$$$$→\frac{ (D-0.35) }{ \underline{H} }*\underline{6}>\{\frac{ A*\frac{ 1 }{ 10 } }{ S }\}+1.4$$$$→(D\underline{-0.35})>\{\frac{ A*0.1 }{ S }+1.4\}*\frac{ H }{ 6 }$$$$ → D>\{\frac{ A*0.1 }{ S }+1.4\}*\frac{ H }{ 6 }+0.35$$

ムリ。

$$D=\{\frac{ A*0.1 }{ S }+1.4\}*\frac{ H }{ 6 }+0.35$$

当然ながら、こんな式は覚える必要はありません。(^_^;)

覚えられない!という方の為に、私が「採光早見表」を作成しました。

  1. 採光補正係数の計算式を「D」の式に置き換える。
  2. 建物の階数から、必要なセットバックの距離を算出する。
  3. スパン割りが決まった段階で、採光の適合性を再チェックする。

建物の階数から、必要なセットバックの距離を算出する。

採光早見表

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